「加算の届出を忘れていた。今後必要な各種届出の期日や頻度も知りたい」——読者の方からこのようなご質問をいただきました。医療機関が行う施設基準関連の届出・報告は、①体制が変わった都度行うもの、②毎年決まった時期に行うもの、③改定年だけの時限ものの3種類に整理すると管理しやすくなります。本記事では、病院・診療所(医科)を中心に、年間の届出・報告スケジュールを1枚のカレンダーにまとめ、無料の管理用Excelカレンダーとあわせて提供します。

対象施設:病院・診療所(医科)中心。薬局・訪問看護ステーションに関係する項目は注記します。/情報時点:令和8年7月12日

この記事の3行まとめ

  • 届出・報告は「都度もの・毎年もの・時限もの」の3種類。まずこの区別から
  • 毎年ものの最大の山は8月——定例報告・ベースアップ評価料の実績報告書+中間報告書・回復期リハ実績指数報告が重なる「三重ピーク」
  • 令和8年度は8月3日期限の届出(様式98等)と9月30日期限の経過措置にも注意

1. 届出・報告は3種類に分けて管理する

施設基準まわりの「出すもの」は数が多く見えますが、性質で分けると次の3種類しかありません。

種類いつ代表例提出先
① 都度もの 体制が変わったとき(期日は「変わったら直ちに」) 新規届出・変更届・辞退届 地方厚生(支)局
② 毎年もの 毎年決まった月(8月がピーク) 定例報告、ベースアップ評価料の計画書・実績報告、回復期リハ実績指数報告、病床機能報告、医療機能情報提供制度の定期報告 地方厚生局または都道府県
③ 時限もの 改定年の特定の期限日 令和8年8月3日期限の届出、9月30日期限の経過措置 など 地方厚生(支)局

2. 都度もの|新規届出・変更届と「翌月1日ルール」

施設基準の新規届出・変更届・辞退届に「毎年何月」という定例の期日はありません。体制が変わったら、その都度すみやかに届け出るのが原則です。算定開始日は次のルールで決まります。

届出の受理タイミング算定開始日
各月の末日までに要件審査を終え、受理された場合翌月の1日から算定
月の最初の開庁日に要件審査を終え、受理された場合その月の1日から算定

(根拠:「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」保医発0305第7号・令和8年3月5日)

届出を忘れていた場合:改定時の当初期限(令和8年度は6月1日必着)を過ぎても届出は可能ですが、算定開始は上記ルールどおり受理月の翌月1日からとなり、遡っての算定はできません。1か月遅れるごとに算定機会を失うため、気づいた時点ですぐに管轄厚生局へ届け出てください。今回ご質問の多い電子的診療情報連携体制整備加算(旧・医療DX推進体制整備加算の後継)は、届出ガイド(様式・記入例)と廃止・移行まとめで手順を解説しています。

忘れやすい「逆方向」の都度届出:人員の退職などで要件を満たさなくなったときの変更届・辞退届も都度ものです。届出をせず算定を続けると、適時調査・定例報告の際に発覚し返還指導の対象になります。届出済み項目の一覧管理には「施設基準 届出ナビ」と「施設基準届出 総合ガイド2026」をご活用ください。

3. 毎年もの|年間カレンダー(令和8年度版)

毎年決まった時期に発生する報告を、年度の流れに沿って一覧にします。正式な期限・様式は毎年、管轄の地方厚生(支)局・都道府県が公表する案内で確認してください(本表の日付は令和7年度までの実績に基づく目安です)。

時期(目安)届出・報告対象提出先
6月末頃 ベースアップ評価料「賃金改善計画書」(当年度分)
令和7年度実績:6月30日〆切
ベースアップ評価料を算定する医療機関(医科・歯科)・訪問看護ステーション 地方厚生局(Excelをメール提出)
7月中 定例報告の案内公表をチェックし、届出済み項目の棚卸し・担当割り 施設基準を届け出ている全機関 ―(準備)
8月1日 定例報告の基準日(この時点の人員・実績で適合性を自己点検) 医療機関・薬局・訪問看護ステーション ―(基準日)
8月末頃 ① 定例報告の提出
令和7年度実績:8月29日〆切(関東信越厚生局)
② ベースアップ評価料「賃金改善実績報告書」(前年度分)+「中間報告書」(当年度分・令和8年度改定で新設)
継続算定機関は両方提出。書き方ガイド(様式100・月次管理表付き)
③ 回復期リハビリテーション病棟の実績指数報告(別紙様式45)
令和6年度改定で7月→8月に変更
①全届出機関
②ベースアップ評価料算定機関
③回復期リハ病棟入院料・特定機能病院リハ病棟入院料の届出機関
地方厚生局
10月1日 病床機能報告・外来機能報告の基準日(提出は例年10月〜11月末・G-MIS経由) 一般病床・療養病床を有する病院・有床診療所(無床診療所は対象外) 都道府県
1月頃〜 医療機能情報提供制度の定期報告(1月1日時点・報告期間は都道府県が1〜3月の間で設定・G-MIS経由) すべての病院・診療所・歯科診療所・助産所
薬局は「薬局機能情報提供制度」で同様の定期報告
都道府県
都度・月次 回復期リハ実績指数の算出(各年度4月・7月・10月・1月。低実績に該当した場合は都度報告)、マイナ保険証利用率など月次要件のモニタリング 該当する届出機関 ―(院内管理)

⏰ 8月は「三重ピーク」:定例報告・ベースアップ評価料の実績報告書+中間報告書・回復期リハ実績指数報告がすべて8月末に集中します。いずれも根拠となる勤務表・賃金台帳・実績データの集計に時間がかかるため、7月中の準備開始を強くおすすめします。定例報告の自己点検の進め方は「施設基準の定例報告2026」で詳しく解説しています。

4. 時限もの|令和8年度の「今年だけの期限」

改定年は、経過措置や猶予期間の期限が年度の途中に設定されます。令和8年度に残っている主な期限は次のとおりです。

期限内容詳細記事
令和8年8月3日(月) ①入院基本料等の減算の免除(様式98)②ウイルス・細菌核酸多項目同時検出(SARS-CoV-2含む)の施設基準届出 ③通院・在宅精神療法 注13の減算対象外となる届出——8月診療分以降も算定・免除を続けるための届出期限 疑義解釈まとめ(その1〜9)
令和8年9月30日 ①回復期リハビリテーション病棟入院料2・4の休日リハビリ提供要件の経過措置期限 ②施設基準のウェブサイト掲載義務の経過措置期限 休日リハビリテーション提供体制加算/ウェブサイト掲載義務
令和9年5月31日 旧・医療DX推進体制整備加算の名称で行っている掲示・ウェブサイト掲載を、後継加算(電子的診療情報連携体制整備加算等)の名称・内容へ更新する経過措置期限 医療DX推進体制整備加算の廃止と移行

令和8年度改定の経過措置の全体像は「経過措置タイムライン2026」にまとめています。

5. 無料ダウンロード|年間届出・報告管理カレンダー(Excel)

本記事のスケジュールを、施設でそのまま使える管理表にしました。担当者・提出状況・提出日を記録でき、都度ものの届出(変更届など)の履歴管理シートも付いています。

📥 書式43:施設基準 届出・報告 年間管理カレンダー

  • シート1「年間カレンダー」——毎年もの・時限ものを月順に一覧化。担当者と状況(未着手/準備中/提出済)を記録
  • シート2「都度届出の記録」——新規届出・変更届・辞退届の提出日・受理日・算定開始日を履歴管理

Excel形式でダウンロード(無料)

6. 年間管理を回す体制づくり

  • 担当と代行者を決める:8月の三重ピークは1人では回りません。定例報告・賃金関係・リハ実績で担当を分け、カレンダーに記名しておきます
  • 「都度もの」を拾う仕組み:人事異動・退職・機器変更の情報が施設基準担当に届くルート(人事からの定期連絡など)を作ることが、変更届漏れ防止の最重要ポイントです
  • 引き継ぎ資産にする:書式43のカレンダーに毎年の実際の〆切・提出日を記録しておくと、担当交代時にそのまま引き継ぎ資料になります

施設基準の届出管理・マニュアル整備を外部の手も借りて進めたい場合は、料金・サービス案内もご覧ください。書式や手順書の施設カスタマイズを承っています。

FAQ|よくある質問

Q1. 8月に重なる報告は何がありますか?

①施設基準の定例報告(8月1日現在・8月末〆切)、②ベースアップ評価料の賃金改善実績報告書(前年度分)と中間報告書(当年度分・令和8年度改定で新設)、③回復期リハビリテーション病棟の実績指数報告(別紙様式45)が8月末に集中します。いずれも管轄厚生局が公表する当年度の案内で正式な期限を確認してください。

Q2. 届出を忘れていた・期限を過ぎた場合はどうなりますか?

改定時の当初期限を過ぎても届出は可能です。ただし算定開始は「届出が受理された月の翌月1日」(月の最初の開庁日に受理された場合はその月の1日)からで、遡っての算定はできません。届出前の期間にすでに算定してしまっている場合は、返還・取り下げが必要になる可能性があるため、管轄の地方厚生局に相談してください。

Q3. 病床機能報告は診療所も必要ですか?

病床機能報告・外来機能報告の対象は一般病床・療養病床を有する病院と有床診療所です。無床診療所は対象外です。一方、医療機能情報提供制度の定期報告(毎年1月頃・G-MIS)は無床診療所を含むすべての病院・診療所が対象です。

Q4. 提出先はどこで見分ければよいですか?

診療報酬(施設基準)に関するもの——新規届出・変更届・定例報告・ベースアップ評価料の計画書/実績報告・実績指数報告——は地方厚生(支)局です。医療法に基づくもの——病床機能報告・外来機能報告・医療機能情報提供制度——は都道府県(G-MIS経由)です。

参考文献・出典

  • 「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(保医発0305第7号・令和8年3月5日)
  • 関東信越厚生局「ベースアップ評価料に係る『賃金改善計画書』及び『賃金改善実績報告書』について」
  • 関東信越厚生局「回復期リハビリテーション病棟入院料及び特定機能病院リハビリテーション病棟入院料における実績指数等に係る報告」
  • 厚生労働省「病床機能報告」(毎年10月1日時点・都道府県へ報告)
  • 厚生労働省「医療機能情報提供制度について(医療機関向けページ)」(定期報告・G-MIS)
  • 関東信越厚生局「令和7年度定例報告について」(8月1日現在・8月29日期限)

※ 本記事は令和8年7月12日時点の情報および令和7年度までの実績に基づく解説です。各報告の正式な期限・様式・提出方法は毎年変わり得るため、必ず管轄の地方厚生(支)局・都道府県の当年度の案内でご確認ください。