令和8年(2026年)6月1日施行の診療報酬改定では、施設基準で求められる「ウェブサイト(ホームページ)への掲載」が一段と強化されました。もともと令和6年度改定で、院内掲示している事項を原則として自院ウェブサイトにも掲載することが要件化され、その経過措置は令和7年5月31日で終了しています。令和8年度改定はこれをさらに進め、「制度があるか」だけでなく実績や実施状況といった『結果』の公表を求める加算が増えました。本記事は、ウェブサイト掲載が必要な事項・対象加算・掲載すべき項目・経過措置・指導監査での扱いを、医療機関の施設基準担当者向けに整理した実務ガイドです。
📋 改定2026の全体像はこちら:令和8年度診療報酬改定の施行スケジュール・届出が必要な施設基準・全カテゴリの改定一覧は「診療報酬改定2026 完全ガイド」でまとめて確認できます。施行直前・直後の実務は「6月1日施行 直前チェックリスト(記事64)」をご覧ください。
このページの要点:
- 原則は令和6年度から:院内掲示事項は、ウェブサイトを有する保険医療機関では原則ウェブサイトにも掲載する。経過措置(令和7年5月31日まで)はすでに終了しており、現在は必須です。
- 令和8年度は「実績の公表」へ強化:回復期リハビリテーションの実績指数、身体的拘束の最小化、口腔管理連携など、実施状況・結果の公表を求める加算が増えました。
- 掲載漏れは施設基準の未充足:ウェブサイト掲載は算定要件の一部です。未掲載は適時調査(適時調査・個別指導)で指摘・返還の対象になり得ます。
施設基準・明細書発行・医療DX・保険外負担・選定療養などの院内掲示を、ウェブサイトにも掲載。経過措置は令和7年5月31日で終了済み(現在は必須)。
回復期リハの実績指数・身体的拘束最小化・口腔管理連携など、結果の公表を求める加算が拡充。
§1 なぜ「ウェブサイト掲載」が施設基準に組み込まれたのか
患者が医療機関を選ぶ際に必要な情報(届け出ている施設基準、算定している加算、保険外負担など)を、来院しなくても確認できるようにする——これがウェブサイト掲載要件の趣旨です。あわせて、加算で評価される取り組みが「届出はしたが実態が伴わない」ものにならないよう、実施状況や実績を外部に見える形で公表させる方向に制度が進んでいます。
経緯を整理すると次のとおりです。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 令和6年度改定 | 院内掲示事項について、原則として自院ウェブサイトにも掲載することを要件化(ウェブサイトを有する保険医療機関が対象)。掲載には令和7年5月31日までの経過措置を設定。 |
| 令和7年6月1日以降 | 経過措置が終了。ウェブサイトを有する医療機関は、掲示事項のウェブサイト掲載が必須に。 |
| 令和8年度改定(6月1日施行) | 「体制の有無」だけでなく実績・実施状況の公表を求める個別加算を拡充。回復期リハの実績、身体的拘束最小化の実施状況などが対象に。 |
⚠️ よくある誤解:「うちはホームページを作っていないから関係ない」——これは半分正解で半分誤りです。掲示事項のウェブサイト掲載はウェブサイトを有する場合の義務ですが、令和8年度改定で新設・見直しされた一部の加算は、その加算を算定する条件として実績等の公表(=ウェブサイトの開設・掲載)を求めるものがあります。算定したい加算の施設基準を個別に確認してください。
§2【一般原則】掲示事項のウェブサイト掲載(令和6年度〜・現在は必須)
まず土台となるのが、院内掲示している事項を原則ウェブサイトにも掲載するという一般ルールです。対象となる主な掲示事項は次のとおりです。
| 掲示・掲載すべき主な事項 | 補足 |
|---|---|
| 届け出ている施設基準・入院基本料に関する事項 | 看護配置・夜勤体制など、入院基本料に関する院内掲示の内容 |
| 明細書発行体制等加算に関する事項 | 明細書の無料発行体制・希望しない場合の取扱いなど |
| 医療情報取得・活用、医療DX推進体制整備加算に関する事項 | オンライン資格確認・電子処方箋・マイナ保険証の利用に関する掲示 |
| 保険外併用療養費・保険外負担(特別の料金)に関する事項 | 選定療養・特別の療養環境(差額ベッド)等の料金表 |
| 長期収載品の選定療養に関する事項 | 先発医薬品を希望する場合の特別の料金の取扱い |
運用のポイント:
- 対象はウェブサイトを有する保険医療機関。ホームページがある以上、院内掲示と同じ内容を掲載するのが原則です。
- 掲載場所は、患者が見つけやすいページに。料金・施設基準のページにまとめておくと管理しやすくなります。
- 院内掲示の内容を変更したら、ウェブサイト側も同時に更新します。掲示とウェブの食い違いは指摘対象になり得ます。
§3【令和8年度の強化点】「実績・実施状況の公表」が要件化された主な加算
令和8年度改定では、体制の届出に加えて結果を公表することを施設基準に組み込む動きが強まりました。代表的な例を挙げます(点数・要件の詳細は各通知・各個別記事をご確認ください)。
| 加算・入院料 | 公表が求められる主な内容 | 公表頻度の目安 |
|---|---|---|
| 回復期リハビリテーション病棟入院料 | 退棟患者数、入棟時・退棟時の日常生活機能(状態区分別の内訳)、リハビリテーション実績指数 | 少なくとも3か月ごと |
| 身体的拘束最小化(最小化推進体制に関する評価) | 身体的拘束を最小化する方針、実施している取り組み、実施状況(直近の実施率の推移を含む) | 定期的に更新 |
| 口腔管理連携に関する加算 | 歯科医療機関との連携体制、訪問歯科診療の対応可否、連携先歯科医療機関名 等 | 体制変更時に更新 |
| オンライン診療(情報通信機器を用いた診療) | 向精神薬等の初診処方を行わない体制であること、安全な実施のためのチェックリスト等の掲示・掲載 | 体制に応じて掲示・掲載 |
補足:回復期リハビリテーション病棟入院料2・4には、リハビリテーション実績指数に係る施設基準について令和8年9月30日までの経過措置が設けられています(後述)。新設の回復期リハビリテーション強化体制加算については「回復期リハビリテーション強化体制加算(記事39)」もあわせてご確認ください。
⚠️ 個別加算の公表要件は各通知で確認を:ここで挙げた公表内容・頻度は代表的な例です。加算ごとに「何を・どの頻度で・どこに」公表するかが施設基準で定められています。算定する加算については、必ず令和8年3月5日付の保医発0305第7号(基本診療料)・第8号(特掲診療料)および疑義解釈で要件の原文を確認してください。
§4 ウェブサイトに掲載する項目のチェックリスト
自院のウェブサイトを点検する際の確認項目です。算定している加算に応じて取捨選択してください。
(A) すべての医療機関(ウェブサイトを有する場合)
- ☐ 届け出ている施設基準・入院基本料に関する事項を掲載しているか
- ☐ 明細書発行体制等加算に関する事項を掲載しているか
- ☐ 医療情報取得体制・医療DX推進体制整備加算に関する事項を掲載しているか
- ☐ 保険外併用療養費・特別の料金(差額ベッド等)の料金表を掲載しているか
- ☐ 長期収載品の選定療養(先発薬を希望する場合の特別の料金)について掲載しているか
- ☐ 院内掲示の内容とウェブサイトの内容が一致しているか(更新漏れがないか)
(B) 該当する加算を算定する場合(令和8年度の実績公表系)
- ☐ 回復期リハビリテーション病棟:退棟患者数・状態区分別内訳・実績指数を3か月ごとに公表しているか
- ☐ 身体的拘束最小化:方針・取り組み・実施状況(実施率の推移)を公表しているか
- ☐ 口腔管理連携:歯科医療機関との連携体制・連携先を掲載しているか
- ☐ オンライン診療:向精神薬の初診処方を行わない体制・チェックリスト等を掲示・掲載しているか
掲載日・更新日を残す:公表系の項目は「いつ時点の実績か」が重要です。各ページに掲載日・対象期間・次回更新予定を明記しておくと、適時調査の際に運用実態を示しやすくなります。
📄 無料ダウンロード:施設基準ウェブサイト掲載チェックシート
上記の点検項目を一覧化し、「自院該当・掲載状況・掲載先URL・最終更新日・担当者」を記録できるチェックシートを無料でご利用いただけます。施設基準の管理表と一体で運用すると掲載漏れを防げます。
§5 経過措置|令和8年9月30日までに整えるべきもの
ウェブサイト掲載・公表に関連する施設基準のうち、令和8年度改定で経過措置が設けられている代表例です。経過措置=対応不要ではなく、期限までに体制を整える猶予です。
| 対象 | 経過措置の期限 | 注意点 |
|---|---|---|
| 回復期リハビリテーション病棟入院料2・4のリハ実績指数に係る施設基準 | 令和8年9月30日まで | 期限後は実績指数の基準を満たし、公表していることが必要 |
| 訪問看護医療情報連携加算のウェブサイト掲載 | 令和8年9月30日まで | 期限までに所定事項をウェブサイトに掲載する |
| 掲示事項のウェブサイト掲載(一般原則) | 令和7年5月31日で終了済み | 現在は猶予なし。未掲載は施設基準未充足の状態 |
⚠️ 一般原則の経過措置はすでに終了:掲示事項のウェブサイト掲載の経過措置(令和7年5月31日まで)は終了しています。「まだ猶予がある」と考えていると、現時点で施設基準を満たしていないことになります。ウェブサイトを持つ医療機関は、まずこの一般原則の掲載状況を最優先で点検してください。経過措置の全体像・9月30日までの逆算スケジュールは「経過措置タイムライン(記事69)」、6月施行直後の実務は「6月1日施行 直前チェックリスト(記事64)」が参考になります。
§6 未掲載・掲載漏れがあるとどうなるか(指導・適時調査での扱い)
ウェブサイト掲載・公表は、多くの場合施設基準(算定要件)の一部として定められています。つまり、掲載していないことは「要件を満たしていない=その加算・入院料を算定する根拠を欠く」状態になり得ます。
- 適時調査・個別指導での指摘:掲示・ウェブサイト掲載は調査で確認されやすい項目です。掲示はあるがウェブサイトにない、内容が古い、といった食い違いも指摘対象になります。
- 返還リスク:要件を満たさない期間に算定していた分は、自主返還を求められる可能性があります。
- 是正のしやすさ:ウェブサイト掲載は比較的短時間で是正できる項目です。日常的に「院内掲示を変えたらウェブも更新」を徹底すれば、リスクは大きく下げられます。
実務のコツ:施設基準の管理表(届出一覧)に「ウェブサイト掲載の要否」「最終更新日」の欄を追加し、届出と一体で管理すると漏れを防げます。担当者の異動時にも引き継ぎやすくなります。
§7 よくある質問(FAQ)
Q. 自院のホームページがありません。それでもウェブサイト掲載は必要ですか?
A. 一般原則(掲示事項のウェブサイト掲載)は「ウェブサイトを有する場合」の義務のため、ホームページがなければこの一般原則は対象外です。ただし、令和8年度改定で実績等の公表を要件とする一部の加算は、その加算を算定するなら公表手段(ウェブサイト等)を整える必要があります。算定したい加算の施設基準を個別に確認してください。
Q. SNS(公式アカウント)や予約サイトのページでも「ウェブサイト掲載」になりますか?
A. 患者が容易に閲覧でき、内容を自院が管理・更新できる自院のウェブサイトに掲載するのが原則です。第三者運営のページのみで代替できるかは取扱いが分かれるため、自院ウェブサイトへの掲載を基本としてください。
Q. 回復期リハの実績指数は、どのくらいの頻度で更新すればよいですか?
A. 少なくとも3か月ごとの公表が目安です。直近の対象期間と算出値、次回更新予定を明記しておくと運用実態を示しやすくなります。正確な対象範囲・算出方法は施設基準の通知でご確認ください。
Q. 院内掲示はしていますが、ウェブサイトには載せていません。問題ありますか?
A. ウェブサイトを有する医療機関では、掲示事項のウェブサイト掲載の経過措置が令和7年5月31日で終了しているため、現在は原則として掲載が必要です。早急にウェブサイトへ掲載してください。
§8 まとめ|まず一般原則、次に算定加算の公表要件
ウェブサイト掲載対応は、次の優先順位で進めると効率的です。
- 一般原則の点検(最優先):掲示事項(施設基準・明細書発行体制・医療DX・保険外負担・長期収載品選定療養)をウェブサイトに掲載しているか。経過措置は終了済みのため、未掲載は今すぐ是正。
- 算定加算の公表要件:回復期リハの実績、身体的拘束最小化、口腔管理連携、オンライン診療など、自院が算定する加算ごとの公表項目・頻度を確認。
- 経過措置の期限管理:回復期リハ入院料2・4の実績指数、訪問看護医療情報連携加算などは令和8年9月30日が目安。逆算して整備。
- 更新運用の仕組み化:「院内掲示を変えたらウェブも更新」を施設基準管理表に組み込み、掲載日・更新日を記録。
あわせて整えたい届出書式:施設基準の届出には、共通様式として診療報酬改定届出書(Excel・書式01)を無料でご利用いただけます。各加算の届出様式は厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」および各地方厚生(支)局のページから取得してください。
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- 6月1日施行 直前チェックリスト(記事64) — 届出・経過措置・掲示の全体チェック
- 疑義解釈その1〜その7まとめ(記事66) — 施設基準の細部の取扱い
- 回復期リハビリテーション強化体制加算(記事39) — 実績指数と新設加算
- DX・施設基準届出 — 医療DX関連加算群の届出
参考文献・一次情報
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号)
- 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第8号)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)/基本診療料の施設基準等(告示第70号)/特掲診療料の施設基準等(告示第71号)
- 療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令の一部改正等(掲示・ウェブサイト掲載に関する規定)
- 疑義解釈資料の送付について(その1〜その7/令和8年3月23日〜5月29日)
- 令和8年度診療報酬改定の概要【医科全体版/入院・外来/リハビリテーション】(厚生労働省保険局医療課)
※ 本記事は令和8年6月1日施行時点の情報にもとづく実務解説です。掲載・公表が必要な事項、対象加算、頻度、経過措置の詳細は加算ごとに異なります。算定にあたっては、必ず最新の告示・通知・疑義解釈の原文をご確認ください。個別の判断に迷う場合は管轄の地方厚生(支)局へご確認ください。