令和8年度診療報酬改定で新設された「回復期リハビリテーション強化体制加算」(80点/日)について、算定要件・人員配置・届出手続きを解説します。対象は回復期リハビリテーション病棟入院料1のみで、リハビリテーション実績指数48以上など厳しい条件が課されています。本記事で届出準備に必要な情報をすべて確認できます。

🏥 リハ加算の全体像はこちら:回復期リハ病棟の各種加算(強化体制加算・リハ栄養口腔連携体制加算・早期リハ加算)と実績指数の計算方法は「回復期リハビリテーション 加算ガイド」でまとめて確認できます。

この記事のポイント

  • 令和8年度改定で新設(80点/日)
  • 実績指数48以上・退院前訪問指導1割以上・排尿自立支援加算届出の3つが追加要件
  • 対象は回復期リハビリテーション病棟入院料1のみ

用語の定義 本記事で使用する用語は以下のとおりです。

  • 専従:当該業務のみに従事し、他の業務との兼務は原則不可
  • 専任:主たる業務として従事するが、他業務との兼務が可能
  • 常勤:当該医療機関の就業規則に定める週の所定労働時間を満たす雇用形態

1. はじめに|2026年度改定における回復期リハの方向性

令和8年度診療報酬改定では、回復期リハビリテーション病棟に対する要件が大幅に見直されました。改定の方向性は「成果の出るリハビリ体制への評価強化」と「離床を伴わないリハビリへの適正化」の2点に集約できます。

具体的には、リハビリテーション実績指数の基準が全区分で引き上げられました。回復期リハビリテーション病棟入院料1については改定前の40以上から42以上へと変更されています。さらに、入院料1〜4については土曜・休日を含む全日のリハビリ提供体制が施設基準として要件化され、より手厚い体制が求められるようになりました。

こうした改定の流れの中で新設されたのが「回復期リハビリテーション強化体制加算」です。入院料1の施設基準をベースとしつつ、さらに高い水準のアウトカムと体制を求める加算として位置づけられています。令和8年3月告示時点の情報をもとに、以下で詳しく解説します。なお、2026年改定の栄養・リハビリ関連の全体像は【2026年診療報酬改定】栄養・リハビリの算定要件変更と実務対応もあわせて参照してください。

2. 回復期リハビリテーション強化体制加算の概要(名称・点数・対象病棟)

項目 内容
正式名称 回復期リハビリテーション強化体制加算
点数 1日につき 80点(回復期リハビリテーション病棟入院料1に上乗せ)
対象病棟 回復期リハビリテーション病棟入院料1 のみ
新設・改定区分 令和8年度新設(令和6年度廃止の「体制強化加算」の実質的な再設)
算定開始 令和8年6月1日(施行日)

注意:本加算は回復期リハビリテーション病棟入院料1を届け出ている病棟に限定されます。入院料2〜5を届け出ている病棟、および回復期リハビリテーション病棟管理料の算定病棟は対象外です。

3. 回復期リハビリテーション強化体制加算の算定要件【最重要】

3-1. 4つの算定要件

本加算を算定するためには、以下の4要件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると算定できないため、各要件を正確に把握することが重要です。

要件番号 要件の内容 注記
要件1 回復期リハビリテーション病棟入院料1の施設基準をすべて満たし、届出済みであること 人員配置・アウトカム要件を含むすべての施設基準が前提
要件2 リハビリテーション実績指数が 48以上 であること 入院料1の基本要件(42以上)を大幅に上回る水準
要件3 直近6か月間に自宅へ退院した患者の 1割以上に退院前訪問指導を実施していること 「自宅」にはサービス付き高齢者向け住宅を含む(特養・老健・グループホームは含まない)
要件4 排尿自立支援加算に係る届出を行っている医療機関であること 病棟単位ではなく、医療機関単位での届出が必要

3-2. アウトカム要件詳細(リハ実績指数・在宅復帰率・重症患者割合)

リハビリテーション実績指数・在宅復帰率・重症患者割合の3つがアウトカム要件として定められています。

アウトカム指標 強化体制加算の基準 入院料1の基本基準
リハビリテーション実績指数 48以上 42以上
在宅復帰率 7割以上 7割以上(共通)
重症患者割合 3割5分(35%)以上 35%以上(共通)

補足:重症患者の定義見直し(令和8年度改定)
重症患者の定義が一部変更されました。FIM20点以下の患者は重症患者の対象から除外されます。一方、高次脳機能障害を伴う頭部外傷・脳腫瘍・脳炎・急性脳症、および脊髄損傷が重症患者として新たに追加されました。届出前に自院の重症患者割合を新定義で再計算することをお勧めします。

リハ実績指数の計算式

リハビリテーション実績指数は以下の計算式で算出します。

実績指数 = 分子 ÷ 分母

【分子】
各患者の(退棟時FIM運動項目 − 入棟時FIM運動項目)の総和
+ 歩行・車椅子またはトイレ動作が入棟時5点以下から退棟時6点以上に改善した場合、各項目につき1点加算
※改善加点はどちらか1項目のみでも対象(疑義解釈で明確化)

【分母】
各患者の(在院日数 ÷ 算定上限日数)の総和

【除外規定】
除外できる患者は入棟患者の20%まで

ポイント:実績指数48の意味
実績指数48は入院料1の基本要件(42)より6ポイント高い水準です。例えば在院日数30日・上限日数90日の患者が毎月入棟する病棟では、1人あたり平均16点以上のFIM改善を達成している水準に相当します。現状の実績指数を定期的に計測・管理する体制が不可欠です。

3-3. 提供体制要件(土曜・休日リハ)

本加算の前提となる入院料1の提供体制要件として、以下が求められます。令和8年度改定で土曜・休日を含む全日のリハ提供体制が施設基準として要件化された点に注意してください。

提供体制要件 令和8年度(改定後) 改定前
リハビリ提供日 土曜・休日を含む全日(施設基準として要件化) 同左(入院料1)
土曜・休日の1日平均リハビリ提供単位数 平均3単位以上 平均2単位以上

注意:休日リハビリテーション提供体制加算(60点)は、令和8年度改定により入院料1〜4では入院料本体の施設基準として包括化されました(入院料1・2はもともと対象外、入院料3・4は加算対象外となり要件化)。改定後に単独で算定可能なのは入院料5および回復期リハビリテーション病棟管理料に限られます。

3-4. 多職種連携要件(リハ・栄養・口腔)

入院料1の施設基準として定められている多職種連携要件についても確認が必要です。

  • 入棟後48時間以内に管理栄養士がGLIM基準を用いて栄養評価を実施すること
  • 管理栄養士を含む多職種で入棟時・定期的に栄養状態の評価と計画見直しを行うこと
  • 口腔管理の体制を整備していること(入院料1・2の共通要件)
  • 多職種カンファレンスへの参加、リハビリ実施計画書の作成、摂食嚥下訓練の立ち会い等をみなし単位として算定できる(新設:20分=1単位)

4. 既存加算との関係(新旧対照)

加算名 令和8年度の取扱い 備考
体制強化加算(旧) 令和6年度に廃止済み 本加算が実質的な後継加算として令和8年度に新設
回復期リハビリテーション強化体制加算(新設) 新設(80点/日) 入院料1のみ対象・実績指数48以上が必要
休日リハビリテーション提供体制加算(60点) 入院料1〜4では本体に包括化・単独算定不可 入院料5・管理料は引き続き対象
リハ・栄養・口腔連携体制加算(継続) 加算1(150点)と加算2(90点)の二段階に再編 加算1:休日リハ提供割合8割以上・ADL低下割合3%未満
加算2(新設):休日リハ提供割合7割以上・ADL低下割合5%未満
排尿自立支援加算 継続(強化体制加算の算定要件として要届出) 医療機関単位での届出が必要

補足:実績指数要件の引き上げ(全区分)

入院料区分 改定前 改定後
入院料1 40以上 42以上
入院料2 なし 32以上(新設)
入院料3 35以上 37以上
入院料4 なし 32以上(新設)

5. 必要な人員配置【超重要】

本加算の算定には、回復期リハビリテーション病棟入院料1の施設基準で定められた人員配置がすべて求められます。以下の表で職種ごとに確認してください。

職種 人数要件 専従・専任 常勤要件 配置場所
医師 1名以上 専任 常勤 当該病棟
看護職員 13対1以上
(うち7割以上が看護師)
常勤換算による 当該病棟
看護補助者 30対1以上 当該病棟
理学療法士(PT) 3名以上 専従 常勤 当該病棟
作業療法士(OT) 2名以上 専従 常勤 当該病棟
言語聴覚士(ST) 1名以上 専従 常勤 当該病棟
管理栄養士 1名以上 専任 常勤 当該病棟担当
社会福祉士 1名以上 専従 常勤 当該病棟

注意:社会福祉士の配置要件変更(令和6年度改定)
社会福祉士は令和6年度改定で「専任」から「専従」に強化されました。他業務との兼務は原則認められません。入院料1を届け出ている病棟で、社会福祉士が専任配置のままになっていないか今一度確認してください。

補足:管理栄養士の役割
管理栄養士は入棟後48時間以内にGLIM基準を用いた栄養評価を実施することが求められます。「13_リハ栄養口腔連携評価表.xlsx」(別紙様式7の2準拠)をそのまま活用できます。

6. 必要な届出・施設基準

届出に必要な書類

  • 施設基準の届出様式(様式43:令和8年度改定に伴い記載欄が改定)
  • 人員配置を証明する書類(雇用形態・勤務状況等)
  • 実績指数の計算根拠となるデータ(直近3か月分以上)
  • 退院前訪問指導の実施記録(直近6か月分)
  • 排尿自立支援加算の届出確認書類

提出先は地方厚生(支)局長です。届出後に実績基準を下回った場合は速やかに報告し、加算の取り下げを行う必要があります。

届出前チェックリスト

  • 回復期リハビリテーション病棟入院料1の届出が完了している
  • リハビリテーション実績指数が48以上であることを確認した
  • 直近6か月の自宅退院患者のうち1割以上に退院前訪問指導を実施している
  • 退院前訪問指導の対象「自宅」にサービス付き高齢者向け住宅が含まれることを確認した
  • 排尿自立支援加算の届出が医療機関単位で完了している
  • 医師(専任・常勤1名)の配置を確認した
  • PT(専従・常勤3名以上)の配置を確認した
  • OT(専従・常勤2名以上)の配置を確認した
  • ST(専従・常勤1名以上)の配置を確認した
  • 管理栄養士(専任・常勤1名以上)の配置を確認した
  • 社会福祉士(専従・常勤1名以上)の配置を確認した(専任ではなく専従)
  • 土曜・休日の1日平均リハビリ提供単位数が3単位以上であることを確認した
  • 重症患者割合(新定義)が35%以上であることを確認した
  • 様式43を最新版で準備した
  • 地方厚生(支)局の提出方法・期限を確認した

7. 算定の実務フロー(入棟〜退棟)

実際の運用では、入棟から退棟まで以下の流れで加算要件を管理します。

【入棟時】
患者入棟
  ↓
入棟後48時間以内:管理栄養士がGLIM基準による栄養評価を実施
  ↓
入棟時FIM運動項目を評価・記録
  ↓
多職種(医師・看護師・PT・OT・ST・管理栄養士・社会福祉士)でカンファレンス実施
  ↓
リハビリ実施計画書・栄養管理計画書・口腔管理計画書を作成

【入院中】
週次〜隔週:リハビリ実施・FIM評価の更新
  ↓
土曜・休日を含む全日:リハビリ提供体制を維持(平均3単位以上/日)
  ↓
定期的な多職種カンファレンス(みなし単位として算定可)

【退棟準備期】
退棟が自宅(またはサービス付き高齢者向け住宅)の場合
  ↓
退院前訪問指導の実施(出来高:入院後早期・退院直前の2回算定可)
  ↓
退棟時FIM運動項目を評価・記録

【退棟後・実績管理】
実績指数の計算(月次・四半期)
  ↓
在宅復帰率・重症患者割合の確認
  ↓
退院前訪問指導実施割合の確認(1割以上を維持)
  ↓
基準を下回った場合:地方厚生局へ報告・加算の取り下げ

補足:離床なきリハビリへの減算(令和8年度改定)
ポジショニング・拘縮予防のみで離床を伴わないリハビリ(20分以上)については、所定点数の90/100に減算されます。医師が医学的に離床困難と判断し診療録に記載した場合は除外されます。リハビリ計画書への離床目標の明記と医師のカルテ記録が重要です。

8. リハ・栄養・口腔連携との接続点

リハ・栄養・口腔連携体制加算との関係
回復期リハビリテーション強化体制加算と「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」は並行して算定できます。リハ・栄養・口腔連携体制加算は令和8年度改定で二段階(加算1:150点・加算2:90点)に再編されました。入院料1の算定病棟では、強化体制加算の取得と同時に加算1の要件達成を目指すことで、より高い収益を確保できます。

以下の書式がリハ・栄養・口腔連携の実務で活用できます。

9. よくある届出不備・査定パターン

実際の届出や算定において、以下のような不備・査定が見られます。事前に確認しておくことで、差し戻しや返戻を防ぐことができます。

不備・査定パターン 原因・内容 対策
実績指数の計算誤り FIM運動項目の評定者間信頼性が低い、評価タイミングのばらつき FIM評価者認定・定期的な評価者間調整(ICC確認)の実施
社会福祉士の専従要件未達 令和6年度改定前の「専任」配置のまま届出 雇用契約・業務分担表を専従に修正し直後に再届出
退院前訪問指導の割合算出誤り 2回訪問を2人としてカウントしている(実際は1人としてカウント) 疑義解釈通り「1人2回訪問は1人としてカウント」で計算し直す
退院前訪問指導の対象判断誤り サービス付き高齢者向け住宅への退院を「施設」として除外している サ高住は「自宅」に含めて集計する
排尿自立支援加算の届出漏れ 病棟ごとの加算届出と混同し、医療機関単位の届出を失念 排尿自立支援加算の届出が「医療機関単位」であることを管理部門で確認
重症患者割合の定義誤り 令和8年度改定前の定義(FIM20点以下含む)で計算している 新定義(FIM20点以下除外・高次脳機能障害等追加)で再計算する
土曜・休日の提供単位数不足 改定後の基準(3単位以上)を旧基準(2単位以上)と誤認している 土曜・休日のシフト・提供実績を月次で集計し管理する

10. 当サイトの関連書式

本加算の届出・運用に役立つ書式を無料で提供しています。以下からダウンロードしてご活用ください。

書式名 用途 ダウンロード
GLIM基準による低栄養評価シート 入棟後48時間以内の栄養評価(管理栄養士が使用) Excel形式でダウンロード
リハ・栄養・口腔連携 入棟時評価表 別紙様式7の2準拠の入棟時評価 Excel形式でダウンロード
リハ・栄養・口腔連携 計画書 別紙様式7の4準拠の連携計画書 Excel形式でダウンロード
多職種カンファレンス記録(リハ・栄養・口腔) みなし単位算定のエビデンスとなるカンファレンス記録 Excel形式でダウンロード
FIM評価・実績指数計算シート 運動FIM・認知FIM評価および個別患者の実績指数の簡易算出(令和8年度改定対応) Excel形式でダウンロードWord形式でダウンロード

書式のカスタマイズ(病棟名・様式の統合・電子化対応など)が必要な場合は、お気軽にご相談ください。施設ごとの状況に合わせた対応が可能です。
また、入退院支援加算1と2の違いや、入退院サマリー・入退所時加算の種類と算定要件についても解説しています。退院調整の体制整備と併せてご確認ください。

11. まとめ

回復期リハビリテーション強化体制加算(80点/日)は、令和8年度改定で新設された加算です。入院料1の施設基準をすべて満たしたうえで、リハビリテーション実績指数48以上・退院前訪問指導1割以上・排尿自立支援加算の届出という3つの追加要件が求められます。

特に実績指数48という基準は、入院料1の基本要件(42)を大幅に上回るため、FIM評価の精度管理と実績指数の定期モニタリングが届出取得・維持の鍵を握ります。

また、令和8年度改定ではさまざまな関連要件が同時に変更されています。重症患者の定義変更、土曜・休日のリハビリ提供単位数の引き上げ、離床なきリハビリへの減算など、複数の改定内容を同時に把握して対応することが求められます。

届出を検討している病院は、本記事のチェックリストで現状を確認し、不足している要件から優先的に整備を進めてください。

参考文献

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(令和8年3月告示)
  • 厚生労働省告示「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年3月)
  • 厚生労働省通知「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月)
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定における疑義解釈資料の送付について(その1)」
  • 中央社会保険医療協議会 総会「令和8年度診療報酬改定答申書」(令和8年2月)
  • 厚生労働省「回復期リハビリテーション病棟入院料の届出様式(様式43)」(令和8年度版)