施設基準を届け出ている保険医療機関・保険薬局・訪問看護ステーションは、毎年8月1日現在で施設基準の適合性を自己点検し、その結果を管轄の地方厚生(支)局へ報告します(定例報告)。従来は7月に行われていましたが、令和6年度から「8月報告」に変更されました。令和8年度は6月1日に改定が施行された直後の報告となるため、「新基準で届出し直した項目の初回点検」という特別な意味を持ちます。本記事では、対象・スケジュール・提出書類・自己点検の進め方・改定年ならではの注意点を、準備チェックリスト書式(無料DL)つきで解説します。
📋 関連ガイド:加算ごとの届出様式・添付書類は「施設基準 届出ナビ」、届出が必要な項目の全体像は「施設基準届出 総合ガイド2026」、施設基準のウェブサイト掲載義務は「施設基準のウェブサイト掲載義務2026」をご覧ください。
この記事のポイント
- 定例報告は令和6年度から「7月→8月報告」に変更(6月施行の改定にあわせた見直し)
- 毎年8月1日現在で施設基準の適合性を自己点検し、8月末までに管轄厚生局へ報告(令和7年度実績:8月29日〆切)
- 対象は施設基準を届け出ているすべての保険医療機関・保険薬局・訪問看護ステーション
- 令和8年度は6月の新基準届出直後の報告=新要件での初回セルフチェックになる
1. 定例報告とは|「7月報告」から「8月報告」へ
定例報告(施設基準の届出状況等の報告)は、施設基準を届け出ている保険医療機関等が、届け出た基準を引き続き満たしているかを年1回自己点検し、地方厚生(支)局へ報告する制度です。届出は「出したら終わり」ではなく、人員配置や実績要件を満たし続けていることを毎年確認・報告する義務があります。
従来は「毎年7月1日現在」で行われていましたが、診療報酬改定の施行が4月から6月1日に後ろ倒しされたことに伴い、令和6年度から「毎年8月1日現在」で確認し8月に報告する運用に変更されました。改定直後の6〜7月は新基準への届出直しが集中するため、その後の8月に適合性を確認する流れになっています。
2. 対象となる施設
施設基準等の届出をしている次の施設が対象です。管轄の地方厚生(支)局から案内が届くのを待つだけでなく、自院が対象かどうかを能動的に確認してください。
| 区分 | 対象 |
|---|---|
| 病院 | 基本診療料・特掲診療料の施設基準を届出しているすべての病院 |
| 医科診療所 | 有床・無床とも(届出がある場合) |
| 歯科診療所 | 届出がある場合(歯科外来環・か強診等) |
| 保険薬局 | 調剤基本料・地域支援体制加算等の届出がある場合 |
| 訪問看護ステーション | 機能強化型等の届出がある場合 |
3. スケジュール(令和8年度)
| 時期 | やること |
|---|---|
| 7月中 | 管轄厚生局の定例報告ページを確認(様式・〆切の公表)。届出済み施設基準の棚卸し・担当割り |
| 8月1日 | 基準日。この時点の人員配置・実績で適合性を自己点検 |
| 8月上旬〜中旬 | 報告書様式・判定シートの記入、添付書類の準備 |
| 8月末(管轄局の指定日) | 提出期限。令和7年度の関東信越厚生局は8月29日(金)でした |
※ 令和8年度の正式な期限・様式は管轄厚生局で要確認:提出期限・必要様式・提出方法は地方厚生(支)局ごとに公表されます(例年7月頃)。本記事の日付は令和7年度実績に基づく目安です。必ず自院の管轄厚生局の「定例報告」ページで令和8年度の正式な案内をご確認ください。
8月末は定例報告だけではありません:ベースアップ評価料の賃金改善実績報告書・中間報告書(「書き方ガイド(様式100・月次管理表付き)」)、回復期リハビリテーションの実績指数報告(別紙様式45)も例年8月末に集中します。定例報告以外も含めた1年分の届出・報告の期日と頻度は「医療機関の届出・報告 年間スケジュール」(管理用Excelカレンダー付き)にまとめています。
4. 提出書類と提出方法
提出物は施設種別・届出内容によって異なります。おおむね次の構成です。
- 報告書(定例報告の様式):施設種別ごとの様式を管轄厚生局のページからダウンロード
- 判定シート:医療機関コード等を入力すると、自院に必要な報告様式を確認できるシートが用意されている厚生局があります
- 添付書類:届出項目によっては勤務表・実績集計等の裏付け資料
提出方法(郵送・電子)も厚生局ごとに案内されます。控えの保管(提出書類一式のコピー)を忘れずに行ってください。適時調査や個別指導の際の基礎資料になります。
5. 令和8年度ならではの注意点(改定年の定例報告)
令和8年度の定例報告は、6月1日に改定が施行され、5〜6月に新基準での届出(届出直し)を行った直後の報告です。次の点に特に注意してください。
- 「新基準」で点検する:8月1日時点の適合性は、令和8年度改定後の要件で判定します。改定前の要件のままセルフチェックしないこと
- 6月に届出し直した項目の整合:6月の届出内容(人員数・実績値)と8月1日時点の状況にズレがないか確認。届出後に人員が欠けた場合は、定例報告とは別に変更・辞退の届出が必要です
- 経過措置中の項目:経過措置を利用している基準は、経過措置の期限と充足見込みを整理しておく(「経過措置タイムライン2026」参照)
- ウェブサイト掲載義務との同時点検:令和8年度は施設基準のウェブサイト掲載も強化されています。定例報告とあわせて掲載内容の点検を推奨します(解説記事・点検シート(無料))
6. 定例報告の確認項目|何を確認されるのか
定例報告で確認されるのは、届出済みの施設基準ごとの「8月1日現在の適合性」です。報告様式に記載する確認項目は、大きく次の3分類に整理できます。
| 確認項目の分類 | 具体例 | 照合する自院資料 |
|---|---|---|
| ① 人員配置に関する項目 | 職種別の員数(常勤換算)、専従・専任の別、常勤・非常勤の別、夜勤体制など、届出した基準の配置要件 | 8月1日時点の勤務表・出勤簿・辞令 |
| ② 実績に関する項目 | 基準が求める実績値(重症患者割合・実績指数・算定回数・利用率など)の直近実績 | 実績集計表・レセプトデータ |
| ③ 届出内容・運用に関する項目 | 届出時からの変更の有無、院内掲示・ウェブサイト掲載などの運用要件の実施状況 | 受理通知・届出控え、掲示物、自院ウェブサイト |
実際の記載項目は「施設種別×届出基準」ごとに様式が異なります。管轄厚生局の判定シートで自院に必要な報告様式を特定し、様式の項目に沿って上記①〜③の資料と突合してください。届出基準の棚卸しから項目突合までの段取りは、無料の定例報告チェックリスト(書式42)にまとめています。
7. 適合性セルフチェックの進め方
- 届出済み基準の棚卸し:受理通知・届出控えから、届出中の施設基準を一覧化(基準名・届出日・受理番号)
- 要件の再確認:各基準の人員配置(専従/専任・常勤/非常勤)・実績要件を最新の告示・通知で確認
- 8月1日時点の実態と突合:勤務表・実績集計と要件を突き合わせ、「適合/不適合/要確認」を判定
- 不適合が見つかった場合:速やかに管轄厚生局へ相談し、変更・辞退の届出を検討(放置して算定を続けると返還リスク)
- 報告書の作成・提出・控え保管
📥 準備チェックリスト(無料DL):上記の段取りと「届出済み基準の棚卸しリスト」をまとめた書式を用意しました。
42_施設基準定例報告チェックリスト.xlsx(Excel・無料)
8. よくある質問(FAQ)
Q1. 定例報告はいつまでに提出しますか?
毎年8月1日現在で適合性を確認し、8月末(管轄厚生局の指定日)までに提出します。令和7年度の関東信越厚生局は8月29日が期限でした。令和8年度の正式な期限は管轄の地方厚生局の案内でご確認ください。
Q2. なぜ7月から8月に変わったのですか?
診療報酬改定の施行が6月1日に後ろ倒しされたことに伴い、改定直後の届出直しが落ち着いた8月1日を基準日とする運用に、令和6年度から変更されました。
Q3. 報告しないとどうなりますか?
定例報告は施設基準を届け出ている施設の義務です。未提出の場合は管轄厚生局からの照会・指導の対象となり得ます。また、自己点検で不適合を放置したまま算定を続けると、後日の適時調査等で診療報酬の返還につながるリスクがあります。
Q4. 改定年(令和8年度)も定例報告は必要ですか?
6月に新基準で届出し直した直後でも、8月1日現在の適合性の確認・報告は必要です(管轄厚生局の令和8年度の案内に従ってください)。むしろ新要件での初回セルフチェックとして重要です。
Q5. 様式はどこで入手できますか?
管轄の地方厚生(支)局のウェブサイトに「定例報告」のページがあり、施設種別ごとの報告様式・判定シート・提出方法が公表されます。当サイトの「施設基準 届出ナビ」もあわせてご活用ください。
Q6. 定例報告の確認項目は何ですか?
届出済みの施設基準ごとに、①人員配置(員数・専従/専任・常勤/非常勤等)②実績(重症患者割合・実績指数などの数値要件)③届出内容・運用(届出時からの変更の有無・掲示等)の適合性を8月1日現在で確認します。実際の記載項目は施設種別と届出基準ごとに様式が異なるため、管轄厚生局の判定シートで自院の該当様式を特定して点検してください。
参考・一次情報
- 各地方厚生(支)局「施設基準の届出状況等の報告(定例報告)」ページ(関東信越・北海道・東北・九州 等)
- 関東信越厚生局「令和7年度定例報告について」(8月1日現在・8月29日期限)
- 診療報酬の算定方法・基本診療料/特掲診療料の施設基準等(令和8年厚生労働省告示・保医発通知)
※ 本記事は令和7年度までの実績と令和8年度改定の整理に基づく解説です。令和8年度の定例報告の正式な期限・様式・提出方法は、管轄の地方厚生(支)局の公表資料で必ずご確認ください。