令和6年度(2024年)診療報酬改定で特定疾患療養管理料から分離・新設された生活習慣病管理料Ⅰ・Ⅱ。 高血圧症・糖尿病・脂質異常症を主病とする患者が対象で、療養計画書の作成と患者への丁寧な説明が要件です。 令和8年度(2026年6月)改定では署名要件の廃止・血液検査の頻度要件追加・電子カルテ情報共有サービスとの連携など5つの重要変更が加わりました。 Ⅰ・Ⅱの使い分け、療養計画書の書き方、特定疾患療養管理料からの移行実務、関連新設加算まで、クリニック・診療所向けに網羅します。

§1. 生活習慣病管理料の概要と新設の背景

令和6年度改定で何が変わったか

2024年(令和6年)6月の診療報酬改定で、厚生労働省は生活習慣病管理の評価を大きく再設計しました。 それまで特定疾患療養管理料の対象疾患だった高血圧症・糖尿病・脂質異常症の3疾病が、同管理料の対象から除外されました。 代わりに設けられたのが、生活習慣病管理料Ⅰ(包括型)と生活習慣病管理料Ⅱ(出来高型)という2段階の管理料体系です。

改定の背景

厚労省の問題意識は「生活習慣病に特化した継続的管理」の質を高めることにありました。 旧来の生活習慣病管理料(検査込みの包括管理料)は2022年時点で約20.3万件と利用が低調でした。 「計画書・署名の作成負担が重い」という現場の声が背景にあり、令和6年改定では特定疾患療養管理料からの移行先として生活習慣病管理料Ⅱ(333点)を新設し、現場への普及を図りました。

「特定疾患療養管理料の対象疾患から、生活習慣病である糖尿病、脂質異常症及び高血圧を除外する。」
(出典:別添1 医科診療報酬点数表に関する事項 p.369・令和6年度診療報酬改定の概要 p.39)

令和8年度改定(2026年6月施行)での位置づけ

令和8年6月1日施行の改定では、令和6年度に新設された管理料体系をさらに洗練させる変更が行われました。 署名要件の廃止・血液検査頻度の要件化・電子カルテ情報共有サービスとの連動など、5つの重要変更点が盛り込まれています(詳細は§8)。

補足:本記事に記載の点数・要件は、令和8年3月5日付 保医発0305第4号をもとに作成しています。 個別症例の算定可否は主治医・医療機関でご判断ください。

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§2. 生活習慣病管理料Ⅰ・Ⅱの違いと使い分け

点数と包括範囲の比較

区分 対象疾病・点数 検査等の取扱い 特徴
生活習慣病管理料Ⅰ 脂質異常症:610点
高血圧症:660点
糖尿病:760点
検査・注射・病理診断等を包括(別途算定不可) 高点数・包括型。検査が少ない安定患者向け
生活習慣病管理料Ⅱ 疾病によらず333点(一律) 検査・注射は出来高算定可能(包括されない) 低点数・出来高型。検査が多い患者向け

ポイント(使い分けの目安): 症状が安定して定期検査の回数が少ない患者にはⅠが有利です。 糖尿病でHbA1cや腎機能検査を月次・隔月で実施する患者にはⅡで出来高算定するほうが実態に合います。 なおⅡを算定した月から起算して6月以内はⅠを算定できないため、初回の選択は慎重に行ってください。

Ⅰで包括される主な費用

生活習慣病管理料Ⅰを算定した場合、以下の費用は所定点数に含まれ、別途算定できません。

区分 包括される内容
A001 外来管理加算(注8) 包括(同日算定不可)
第1部 医学管理等 大部分が包括(一部除外あり)
第3部 検査 包括(血液検査・心電図・尿検査等)
第6部 注射 包括
第13部 病理診断 包括
「当該患者の診療に際して行った『A001』の『注8』に規定する外来管理加算、第1部医学管理等(特定の管理料を除く)、第3部検査、第6部注射及び第13部病理診断の費用は全て所定点数に含まれる。」
(出典:留意事項 p.197)

Ⅱの取扱い

生活習慣病管理料Ⅱは第1部医学管理等の多くが包括されます。 ただしⅠと異なり、「第3部検査」「第6部注射」は包括されず出来高算定が可能です。 HbA1c測定・LDL-C検査・インスリン注射等を実施した月でもそれぞれ別途算定できます。

Ⅰ・Ⅱどちらを算定する?使い分けの判断基準

結論から言うと、使い分けの軸は「その患者に検査・注射をどのくらい行うか」です。 Ⅰは点数が高い代わりに検査・注射が包括され、Ⅱは点数が低い代わりに検査・注射を出来高で別途算定できます。

Ⅰが向きやすいケース Ⅱが向きやすいケース
病状が安定し、検査が定期的・最小限(例:数か月に1回の採血程度)の患者。管理・指導が中心の外来 検査・注射の頻度が高い患者(例:インスリン注射、毎月の採血・複数項目の検査を実施)。検査分を出来高算定した方が総点数が上回りやすい
療養計画書の運用が院内で定着しており、包括でレセプトをシンプルにしたい場合 患者ごとの診療内容のばらつきが大きく、実施した分を積み上げたい場合

Ⅰ・Ⅱは患者ごとに選択できますが、月ごとに頻繁に切り替える運用は継続的な管理という趣旨に合いません。 自院の患者層で「1人あたりの平均的な検査・注射の実施量」を集計し、Ⅰの包括点数とⅡ+出来高の合計を比較してから方針を決めるのがおすすめです(点数は§2冒頭の比較表を参照)。

§3. 算定要件の詳細

算定対象施設・疾病

要件項目 内容
算定施設 許可病床数200床未満の病院 または 診療所
対象疾病(主病) 脂質異常症・高血圧症・糖尿病のいずれかを主病とする外来患者(入院中は不可)
算定頻度 月1回限り
療養計画書 作成・患者への説明・同意取得が必要(令和8年度改定で署名不要)
「別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関(許可病床数が200床未満の病院又は診療所に限る。)において、脂質異常症、高血圧症又は糖尿病を主病とする患者(入院中の患者を除く。)に対して、当該患者の同意を得て治療計画を策定し、当該治療計画に基づき、生活習慣に関する総合的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定する。」
(出典:保医発0305第4号 p.362-363)

主病の定義

「主病とは、当該患者の全身的な医学管理の中心となっている疾患をいう」
(出典:留意事項 p.15)

補足:主病の判定は「個々の患者の状態等に応じて医療機関において判断されるものである」とされています。 患者が高血圧症・糖尿病を合併している場合も、全身管理の中心となる疾患1つを主病として記録してください。

算定除外・算定不可となるケース

除外パターン 根拠
初診料(A000)を算定した同月 初診料算定月は算定不可
特定疾患療養管理料との同月算定 併算定不可(令和6年6月以降)
地域包括診療料 / 地域包括診療加算との同月算定 いずれか一方を選択
糖尿病主病 + 在宅自己注射指導管理料(C101)の算定 原則算定不可(令和8年改定で部分緩和あり)
Ⅱを算定した月から6月以内にⅠを算定 6月以内はⅠ算定不可
200床以上の病院 施設基準対象外

ポイント(令和8年改定・C101部分緩和): 糖尿病主病かつ在宅自己注射指導管理料(C101)を算定中の場合、従来は生活習慣病管理料が算定できませんでした。 令和8年6月以降は、「糖尿病以外の疾患に対する適応薬剤にかかるC101」であれば同時算定が可能となりました。 例:成長ホルモン製剤・関節リウマチの生物学的製剤(bDMARD)等の自己注射が対象です。 糖尿病に対するインスリン・GLP-1製剤のC101との同時算定は引き続き不可です。

§4. 療養計画書の書き方(実務)

公式様式(令和8年度改定で1枚に統合)

従来(令和6年度)は「初回用(別紙様式9)」「継続用(別紙様式9の2)」の2種類でしたが、 令和8年度改定で1枚に統合され、冒頭の「□初回 □継続」チェックボックスで区別する形式になりました。 電子カルテへの組み込みやレイアウト変更は施設任意ですが、記載項目は公式様式に準拠する必要があります。

様式番号 用途 タイミング
別紙様式9(令和8年度・統合版) 生活習慣病 療養計画書(「□初回 □継続」チェック式) 初回算定時・継続更新時とも共通。継続時は【目標の達成状況】欄(継続の場合のみ)を記入

統合様式(令和8年度版)の特徴:

  • 患者署名欄がありません(署名要件の廃止と整合。医師氏名欄のみ)
  • 「※血液検査結果を手交している場合は記載不要」の注記が様式内に組み込まれています
  • 【目標の達成状況】欄は継続の場合のみ記入します

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令和8年度改定の統合様式(□初回 □継続チェック式)に準拠した療養計画書を、そのまま印刷・入力して使えるExcelで無料配布しています。記入例と運用ポイント(交付頻度・血液検査記載の省略条件・患者サマリー入力によるみなし)のシート付きです。

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必須記載項目

項目 高血圧症 糖尿病 脂質異常症
患者氏名・生年月日・主病 必須 必須 必須
血圧の値 必須 推奨 推奨
HbA1c・血糖値 — 必須 —
体重・BMI・腹囲 必須 必須 必須
目標(達成目標・行動目標) 必須 必須 必須
重点指導領域(食事・運動・喫煙・節酒等) 必須 必須 必須
服薬指導 必須 必須 必須
多職種記入欄(管理栄養士・薬剤師・看護師等) 推奨 推奨 推奨
「糖尿病の患者については血糖値及びHbA1cの値を、高血圧症の患者については血圧の値を必ず記載すること。」
(出典:留意事項 p.197)

交付・更新頻度

「当該療養計画書の内容に変更がない場合はこの限りでない。ただし、その場合においても、患者又はその家族等から求めがあった場合にも交付するものとするとともに、概ね4月に1回以上は交付するものとする。」
(出典:留意事項 p.197)

ポイント:療養計画書は概ね4月(4か月)に1回以上交付が必要です。 計画内容に変更がある場合はその都度更新・交付してください。 4か月以上間隔が空いた場合は再交付が必要です。

患者署名の取扱い(令和6年→令和8年の変遷)

時期 署名要件
令和6年6月〜令和8年5月 初回は患者の署名必須。2回目以降は医師が理解確認を記載すれば省略可
令和8年6月以降 署名不要。患者の同意確認(口頭等)で算定可
「生活習慣病管理料(Ⅰ)及び(Ⅱ)の療養計画書について、患者及び医療機関の負担を軽減する観点から、患者の署名を受けることを不要とする。」
(出典:令和8年度診療報酬改定の概要 p.225)

SMARTな目標設定の例

療養計画書の「目標」欄は、患者が行動変容できる具体的な内容で記載します。

疾病 目標例
糖尿病 「HbA1c 7.0%以下を3か月以内に達成」「1日の糖質摂取量を150g以内にする」
高血圧症 「1日の塩分摂取量を7g未満に減らす」「週3回30分以上のウォーキングを行う」
脂質異常症 「体重5kg減(BMI22以下)を3か月以内に達成」「揚げ物を週2回以内にする」

電子カルテ情報共有サービスによる代替(令和8年改定新設)

「患者の求めに応じて、電子カルテ情報共有サービスにおける患者サマリーに、療養計画書の記載事項を入力した場合、療養計画書の作成及び交付をしているものとみなす。」
(出典:令和8年度診療報酬改定の概要 p.225)

電子カルテ情報共有サービスを活用している施設では、患者サマリーへの入力が紙の計画書交付に代わる手段となります。 この場合、血液検査項目の計画書への記載も不要とされています。

§5. 特定疾患療養管理料からの移行実務

移行スケジュール

時期 変更内容
2024年(令和6年)6月1日 特定疾患療養管理料から高血圧症・糖尿病・脂質異常症が除外。生活習慣病管理料Ⅰ・Ⅱへ移行
2026年(令和8年)6月1日 令和8年度改定施行。5大変更点が適用される(詳細は§8)

収益への影響

特定疾患療養管理料(診療所225点・月2回まで)から生活習慣病管理料Ⅱ(333点・月1回)への移行では、 点数上は月に換算すると若干増加する場合があります。 一方で療養計画書の作成・更新という管理工数が増える点に留意が必要です。

既存患者の切替え対応

令和6年6月以降の定期受診時から、既存患者についても生活習慣病管理料での算定に切り替えます。 初回の算定時に療養計画書(別紙様式9)の説明と同意確認を行い、以降は同じ様式の「□継続」にチェックのうえ【目標の達成状況】欄を記入して定期的に更新してください(令和8年度改定で初回用・継続用は1枚に統合されました)。

注意(よくある誤算定パターン):

  • 特定疾患療養管理料と生活習慣病管理料の同月二重算定(令和6年6月以降は不可)
  • 生活習慣病管理料Ⅱを算定した月から6月以内にⅠを算定してしまうケース
  • 療養計画書の作成・説明なしで算定(計画書なし算定はレセプト査定対象)
  • 主病が3疾病以外の患者へ誤って適用(主病の確認が必要)
  • 月2回以上算定(月1回限りを遵守)
  • 200床以上の病院で算定(対象施設外)

レセプト記載の留意点

レセプト摘要欄に関する厚労省の具体的な記載指示は現時点では公式には明示されていません。 一般的には療養計画書の交付年月・様式番号等を摘要欄に記録する運用が行われています。 詳細は審査支払機関・所在地の厚生局にご確認ください。

関連情報:薬価改定2026 解説 / バイオ後続品使用体制加算2026

§6. リフィル処方箋・服薬指導との連動

生活習慣病患者の長期処方とリフィル

高血圧症・糖尿病・脂質異常症の安定患者では、28日以上の長期投薬やリフィル処方箋の活用が推奨されています。 令和8年度改定では、長期投薬・リフィル対応可能であることをウェブサイトに掲載することが原則要件となりました(詳細は§8 変更点5)。

リフィル発行月の算定

補足:生活習慣病管理料は診察した月のみ算定できます。 リフィル処方箋の2回目・3回目使用で薬局に行っても、医師の診察がない月は算定対象外です。 翌月以降に診察した際に改めて月1回算定します。

薬局薬剤師との連携

生活習慣病管理料の算定施設では、薬局薬剤師との情報共有が管理の質を高めます。 療養計画書に薬剤師の服薬指導記録欄が設けられており、薬局からのフィードバックをカルテや計画書に共有する運用が推奨されています(必須ではありません)。 電子処方箋の活用により、処方情報の共有もよりスムーズになります。

§7. 包括される検査・注射等の整理(Ⅰ)

生活習慣病管理料Ⅰで別途算定できない主な管理料

管理料番号 管理料名称 取扱い
B001-20 糖尿病合併症管理料 Ⅰに包括・別途算定不可
B001-22 がん性疼痛緩和指導管理料 Ⅰに包括・別途算定不可
B001-24 外来緩和ケア管理料 Ⅰに包括・別途算定不可
B001-27 糖尿病透析予防指導管理料 Ⅰに包括・別途算定不可
B001-37 慢性腎臓病透析予防指導管理料 Ⅰに包括・別途算定不可

注意:生活習慣病管理料Ⅰを算定した月は、糖尿病合併症管理料・糖尿病透析予防指導管理料等が別途算定できません。 合併症管理を行っている糖尿病患者の場合、Ⅰ・Ⅱの選択および他の管理料との関係を事前に整理してください。

血液検査・主要検査の頻度要件(令和8年改定)

令和8年6月以降、生活習慣病管理料Ⅰでは原則として6月に1回以上の血液検査等の実施が要件化されました。 包括算定であっても検査を実施しないことは認められません。

疾病 主な検査指標 最低実施頻度
糖尿病 HbA1c・空腹時血糖・腎機能(eGFR・Cr)・肝機能等 6月に1回以上
高血圧症 血圧・腎機能・電解質等 6月に1回以上
脂質異常症 LDL-C・HDL-C・TG・肝機能等 6月に1回以上

Ⅱでの検査取扱い

生活習慣病管理料Ⅱでは第3部検査が包括されないため、血液検査・心電図・尿検査等を実施した分は出来高で別途算定できます。 糖尿病患者でHbA1cを毎月測定している場合など、検査頻度が高い患者にはⅡのほうが実態に合った算定となります。

§8. 令和8年度改定での主要変更点(2026年6月施行)

令和8年6月1日施行の診療報酬改定では、生活習慣病管理料について5つの重要変更が行われました。

変更点1. 療養計画書の患者署名要件の廃止

項目 令和6年度(〜2026年5月) 令和8年度(2026年6月〜)
署名要件 初回は患者署名必須。継続は医師確認記録で省略可 署名不要。患者の同意確認のみで算定可
「生活習慣病管理料(Ⅰ)及び(Ⅱ)の療養計画書について、患者及び医療機関の負担を軽減する観点から、患者の署名を受けることを不要とする。」

あわせて公式様式も見直され、初回用(別紙様式9)・継続用(別紙様式9の2)の2種類から、 「□初回 □継続」チェック式の統合1枚(別紙様式9)に変更されました。統合版には患者署名欄がありません(§4参照)。

変更点2. 生活習慣病管理料(Ⅰ)への血液検査要件追加

「生活習慣病管理料(Ⅰ)について、原則として、必要な血液検査等を少なくとも6月に1回以上は行うことを要件とする。」

ポイント:検査を包括算定するⅠでも、質の担保のために6か月に1回以上の血液検査実施が必須となりました。 「検査しなくていい分、Ⅰがお得」という運用は令和8年6月以降は認められません。

変更点3. 電子カルテ情報共有サービス・患者サマリー連携

「療養計画書について、患者の求めに応じて、電子カルテ情報共有サービスにおける患者サマリーに、療養計画書の記載事項を入力した場合、療養計画書の作成及び交付をしているものとみなす。」

電子カルテ情報共有サービスの「患者サマリー」に療養計画書相当の情報を入力すれば、紙の計画書交付と同等とみなされます。 この場合、血液検査項目の計画書への個別記載も不要です。 マイナポータル経由で患者自身が情報にアクセスできる仕組みと連動しています。

変更点4. 在宅自己注射指導管理料との同時算定(部分緩和)

ケース 令和6年度 令和8年度(緩和後)
糖尿病主病 + 糖尿病適応薬剤(インスリン等)のC101 算定不可 引き続き算定不可
糖尿病主病 + 糖尿病以外の適応薬剤(bDMARD・成長ホルモン等)のC101 算定不可 同時算定可能(新規緩和)
「糖尿病を主病とする患者に対して、併存する糖尿病以外の疾患に関する在宅自己注射指導管理を適切に推進する観点から、糖尿病に対する適応のある薬剤以外の薬剤にかかる在宅自己注射指導管理料の算定を可能とする。」

変更点5. 28日以上長期投薬・リフィル処方箋のウェブサイト掲載要件

項目 令和6年度 令和8年度
掲載方法 見やすい場所への院内掲示 ウェブサイトへの掲載(原則)
「患者の状態に応じ、28日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、当該対応が可能であることをウェブサイトに掲載していることが原則として求められる。」

注意:令和8年6月以降、クリニック・診療所のウェブサイトに「28日以上の長期処方・リフィル処方箋に対応しています」等の記載がない場合は要件を満たさない可能性があります。 自院のウェブサイト掲載状況をご確認ください。

関連情報:医療DX・施設基準届出の完全ガイド

§9. 関連新設加算(令和8年度改定)

充実管理加算(新設)

生活習慣病管理の質をデータで評価する新加算です。 外来データ提出加算を届け出ている医療機関が、データに基づく管理実績に応じて3段階の加算を算定できます。

区分 点数 対象医療機関
充実管理加算1 30点 データ実績上位20%の医療機関
充実管理加算2 20点 上位50%の医療機関
充実管理加算3 10点 それ以外(基本参加施設)

補足:充実管理加算の正式な算定要件詳細は業界解説ベースの情報をもとにしています。 正確な算定要件は厚労省告示・通知をご確認ください。 データ提出実績による段階評価という基本的な仕組みは確認されています。

電子的診療情報連携体制整備加算(新設)

医療DX推進の観点から新設された加算で、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスの活用体制を評価します。

区分 点数 要件概要
加算1 15点 電子処方箋発行体制 + 電子カルテ情報共有サービス活用実績
加算2 9点 電子処方箋発行体制
加算3 4点 マイナ保険証利用体制

詳細は 電子的診療情報連携体制整備加算(医科版)解説・ 加算1・2・3の比較 をご参照ください。

外来データ提出加算の見直し

生活習慣病管理と密接に連動する外来データ提出加算も令和8年度改定で見直されました。

項目 内容
対象疾患拡大 糖尿病・高血圧症・脂質異常症・慢性心不全・慢性腎臓病・認知症のうち1疾患以上
入力負担軽減 検査数値入力等を削除(入力項目の簡素化)
届出スケジュール 令和8年11月20日まで:様式7の10 届出
令和9年4月1日まで:様式7の11 届出 → 届出月から算定可能

ポイント:充実管理加算の算定には外来データ提出加算の届出・実績が前提となります。 令和8年度改定でデータ提出対象が拡大されたため、これまで対象外だった施設でも届出が可能になった場合があります。 自施設の対象疾患・患者数を確認した上で、早めに届出スケジュールを組むことをお勧めします。

関連情報:医療DX・施設基準届出の完全ガイド / 薬価改定2026 ハブ

§10. よくあるご質問(FAQ)

Q1. 生活習慣病管理料Ⅰ・Ⅱの違いは何ですか?

Ⅰは検査・注射・病理診断まで包括算定の高点数管理料(脂質異常症610点・高血圧症660点・糖尿病760点)です。 Ⅱは検査等を包括しない出来高算定型で333点(疾病によらず一律)です。 検査頻度が少ない安定患者にはⅠ、検査が多い患者にはⅡが向きます。 なお、Ⅱを算定した月から起算して6月以内はⅠを算定できないため、選択は慎重に行ってください。

Q2. 特定疾患療養管理料との同時算定はできますか?

不可です。令和6年6月以降、特定疾患療養管理料の対象疾患から糖尿病・脂質異常症・高血圧症は除外され、 これら3疾病を主病とする場合は生活習慣病管理料Ⅰ・Ⅱでの算定となります。 主病が3疾病以外(脳血管疾患・狭心症等)の場合は引き続き特定疾患療養管理料を月2回算定可能ですが、 その場合は生活習慣病管理料Ⅱの併算定はできません。

Q3. 療養計画書の患者署名は令和8年改定後も必要ですか?

令和8年度改定(2026年6月以降)で署名は不要になりました。 「患者の署名を受けることを不要とする」と告示で明示されており、医師の理解確認のみで算定可能です。 ただし療養計画書自体の作成・交付は引き続き必要です。 電子カルテ情報共有サービスの患者サマリーへの入力による代替も可能です。

Q4. 生活習慣病管理料(Ⅰ)では血液検査をどのくらいの頻度で実施しますか?

令和8年度改定で「原則として6月に1回以上」が要件化されました。 Ⅰは検査を包括算定しますが、質の担保のため最低限の検査実施頻度が設定されています。 糖尿病患者ではHbA1c、高血圧症患者では血圧・腎機能、脂質異常症患者ではLDL-C等の 主要指標の継続評価が必須です。

Q5. 患者サマリーに療養計画書を入力すれば紙の交付は不要ですか?

令和8年度改定で「患者の求めに応じて、電子カルテ情報共有サービスにおける患者サマリーに、 療養計画書の記載事項を入力した場合、療養計画書の作成及び交付をしているものとみなす」と告示で明示されました。 患者サマリーはマイナポータルで患者に情報提供する仕組みで、紙の計画書交付を電子的に代替できます。 ただし患者の求めに応じた場合の代替措置であるため、患者が希望しない場合は従来通り紙での交付が必要です。

Q6. 充実管理加算とは何ですか?

令和8年度改定で新設された加算で、生活習慣病管理の質を実績データで評価する仕組みです。 脂質異常症・高血圧症・糖尿病それぞれで、加算1(30点・上位20%医療機関)・加算2(20点・上位50%)・ 加算3(10点・それ以外)の段階評価となっています。 データ提出による「質の見える化」が前提で、外来データ提出加算の届出・実績を踏まえて算定します。 詳細な算定要件は厚労省告示・通知をご確認ください。

Q7. リフィル処方箋を発行している場合の算定はどうなりますか?

生活習慣病管理料は月1回限りの算定なので、リフィル発行で診察しない月は算定対象外です。 診察した月のみ算定可能です。 なお令和8年度改定で「28日以上の長期投薬・リフィル処方箋の対応が可能であることを ウェブサイトに掲載」が原則要件となりましたので、 院内掲示だけでなく自院ウェブサイトへの掲載も必要です。

記事に関するご質問・算定実務の個別相談は、お気軽にお問い合わせください。 また、療養計画書の書式整備・運用マニュアルのカスタマイズもご支援しています。

関連記事:

参考文献

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定における改定事項について」(保医発0305第4号・令和8年3月5日)別添1 医科診療報酬点数表に関する事項 p.362-363・367
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要」p.225
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリスト」
  • 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定における改定事項について」別添1 医科診療報酬点数表に関する事項 p.369
  • 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要」p.39
  • 厚生労働省 別紙様式9「生活習慣病 療養計画書」(令和8年度改定・初回/継続統合様式。旧:初回用 別紙様式9/継続用 別紙様式9の2)
  • 中央社会保険医療協議会(中医協)議事録(令和6年度改定関連)