電子的診療情報連携体制整備加算1・2・3の違いを比較表と判断フローで整理します。令和8年6月1日施行の本加算は、初診料に加算1(15点)・加算2(9点)・加算3(4点)の3段階が設けられ、施設のDX進捗に応じた算定が可能です。再診料は一律2点、入院加算(A207-5)は加算1・2のみで加算3はありません。旧加算からの自動移行はなく、再届出が必須(届出期限:令和8年5月7日〜6月1日必着)です。

重要:旧加算からの自動移行はありません

令和8年5月31日時点で医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算を届け出ている医療機関も、令和8年6月1日以降に本加算を算定するには改めて届出を行う必要があります(疑義解釈 問3より)。届出期限は令和8年5月7日〜6月1日(必着)です。

この記事のポイント

✓ 初診料の加算は1・2・3の3段階。再診料・外来診療料は区分なし・一律2点
✓ 入院加算(区分番号A207-5)は1・2のみ。加算3は入院加算なし
✓ 経過措置はCLINS接続IF(当分の間)とウェブ掲載(R9.5.31まで)の2種類

1. 結論|電子的診療情報連携体制整備加算1・2・3の違いを1分で把握

電子的診療情報連携体制整備加算は「医療DX推進体制整備加算」と「医療情報取得加算」を廃止・統合した新設加算です。算定場面(初診・再診・入院)によって区分の設け方が異なるため、まず全体構造を把握することが重要です。

項目 加算1 加算2 加算3
初診時(月1回) 15点 9点 4点
再診時(月1回) 一律 2点(区分なし)
入院時(入院初日) 160点 80点 該当なし
追加要件(要件8・9・10) 3つすべて必須 いずれか1つ以上 不要
電子処方箋(要件8) 必須 加算2のいずれか1つ 不要
電子カルテ導入(要件9) 必須 加算2のいずれか1つ 不要
CLINS診療情報活用(要件10) 必須 加算2のいずれか1つ 不要
告示の条文番号 初診料:A000 注15 / 入院加算:A207-5
再診料の注意点

再診料(A001)および外来診療料(A002)の電子的診療情報連携体制整備加算は1・2・3の区分がなく一律2点です。初診料の加算区分(1・2・3)とは別に管理されます。また、初診料の加算を算定した月は、同月の再診料・外来診療料の加算は算定できません。

2. 加算の全体像|旧加算廃止と新設の背景

令和8年度改定では、医療DX推進に係る複数の加算が整理・統合されました。

  • 廃止:医療DX推進体制整備加算(令和8年5月31日廃止)
  • 廃止:医療情報取得加算(同日廃止)
  • 新設:電子的診療情報連携体制整備加算(令和8年6月1日施行)

新加算は、オンライン資格確認の基盤整備にとどまらず、電子処方箋・電子カルテ情報共有サービス(CLINS)を活用した診療情報連携まで含む、より広範な医療DX体制を評価するものです。初診料においては、DXの進捗に応じて加算3(基礎)・加算2(中間)・加算1(最上位)の3段階で評価されます。一方、再診料・外来診療料は区分なし・一律2点、入院加算は1・2の2段階という構成になっています。

関連記事:加算の全体像(基本要件)について

本記事は加算1・2・3の比較に特化した詳細解説です。電子的診療情報連携体制整備加算の全体像(医療DX加算群の中の位置づけ・基本要件の詳細)は、当サイトの「電子的診療情報連携体制整備加算とは」(記事03)を併せてご覧ください。
また、薬局向けの電子的調剤情報連携体制整備加算(記事02)との違いも合わせて確認されることをおすすめします。

3. 共通要件(加算1・2・3すべてに必要)

加算の区分(1・2・3)にかかわらず、以下の7つの要件をすべて満たす必要があります。

番号 要件 補足
要件1 オンライン請求を行っていること
要件2 明細書を患者に無償で交付していること 明細書発行体制等加算との重複算定は不可
要件3 オンライン資格確認を行う体制を有していること
要件4 オンライン資格確認等システムで取得した診療情報を診察室等で閲覧・活用できる体制
要件5 マイナ保険証利用率が30%以上であること 算定月の3・4・5か月前のいずれかの実績で判定
要件6 マイナポータルの医療情報等に基づき、患者の健康管理相談に応じる体制
要件7 医療DX推進体制に関する事項等を院内の見やすい場所に掲示し、原則としてウェブサイトに掲載していること ウェブ掲載はR9.5.31まで経過措置あり
マイナ保険証利用率30%は先行対応が必要

利用率は算定月より3〜5か月前の実績を使用します。6月算定開始を目指す場合は、1〜3月の実績が問われます。受付での声かけ徹底・カードリーダーの動線最適化・予約リマインドへの記載追加など、早期から利用促進に取り組む必要があります。

4. 加算1・2・3の差分要件(追加要件8・9・10)

加算2・1には共通要件(要件1〜7)に加えて、以下の3つの追加要件が課されます。加算3はこれらの追加要件を必要とせず、共通要件のみで算定可能です。

追加要件の内容

番号 要件の内容 加算2 加算1
要件8 電子処方箋の発行体制(院外処方:電子処方箋または引換番号付紙で情報登録/院内処方:管理サービスへ登録) いずれか1つ以上 すべて必須
要件9 電子カルテの導入(ア:安全管理ガイドライン準拠 / イ:電子処方箋管理サービス接続IF / ウ:CLINS接続IF / エ:厚労省認証電子カルテ製品) いずれか1つ以上 すべて必須
要件10 CLINSから取得される診療情報を活用する体制、または「地域医療情報連携ネットワーク活用+診療情報提供料Iの検査・画像情報提供加算等の届出」 いずれか1つ以上 すべて必須
要件9ウ(CLINS接続インターフェース)の経過措置

電子カルテ情報共有サービス(CLINS)との接続インターフェースに係る要件(要件9ウ)については、当分の間、当該基準を満たしているものとみなす経過措置が設けられています(ただし、速やかに導入に努めることが求められます)。この経過措置に期限の定めはなく、CLINS側の整備状況に応じた対応が求められます。

5. 入院加算1・2(区分番号A207-5)

入院加算は初診料の加算とは別の区分番号(A207-5)で設定されています。入院加算に加算3は存在しません。入院加算1・2は外来加算1の要件をベースとしたうえで、以下のセキュリティ要件が追加されます。

セキュリティ要件 入院加算2 入院加算1
医療情報システム安全管理責任者の配置 設置のみ 専任の配置
サイバーセキュリティ研修 年1回以上 年1回以上(受講記録・実施日・内容の文書保管)
オフラインバックアップ(電子カルテ・医事・PACS等の多重化) 不要 必須
サイバーインシデント対応BCP策定+訓練 必要(訓練年1回以上) 必要(訓練年1回以上)
入院加算の点数まとめ

入院加算1は入院初日に160点、入院加算2は入院初日に80点を算定します。従来の「診療録管理体制加算1」が要求していたセキュリティ要件が本加算に統合・移行された形です。

6. 段階別の判断フロー|どの区分を目指すべきか

自院がどの区分(加算1・2・3)を目指すべきかを、以下のフローで確認してください。

段階選択の判断フロー

Q1. 要件8・9・10のすべてを満たしているか?
 ├─ Yes → 加算1を目指す(初診15点・入院160点)
 └─ No → Q2へ

Q2. 要件8・9・10のいずれか1つ以上を満たしているか?
 ├─ Yes → 加算2を目指す(初診9点・入院80点)
 └─ No → Q3へ

Q3. 共通要件(要件1〜7)を満たしているか?
 ├─ Yes → 加算3を算定(初診4点・再診のみ2点・入院加算なし)
 └─ No → マイナ保険証利用率30%達成・ウェブ掲載等から着手

年度途中でDX整備が進んだ場合は、加算3→加算2→加算1へのステップアップが可能です。要件充足時点で変更届を提出することで、より上位の区分に移行できます。逆に、マイナ保険証利用率30%を継続的に下回る場合はランクダウンの変更届が必要になります。

7. 経過措置スケジュール

本加算の経過措置は「CLINS接続IFの当分の間みなし規定」と「ウェブサイト掲載のR9.5.31まで猶予」の2種類です。段階(1・2・3)によって経過措置の内容が異なるわけではありません。

時期 主な事項
2026年3月下旬 令和8年度診療報酬改定の告示・通知公布
2026年4月〜5月初旬 施設基準の確認・届出区分(加算1〜3)の選定・書類作成
2026年5月7日 6月1日算定開始のための届出締め切り(必着)
2026年5月31日 医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算の廃止
2026年6月1日 電子的診療情報連携体制整備加算の算定開始
2027年5月31日 ウェブサイト掲載の経過措置期限(R9.5.31をもって終了)
期限未定(当分の間) CLINS接続IF(要件9ウ)の経過措置継続。速やかな導入に向けた準備が求められる
ウェブサイト掲載の経過措置は令和9年5月31日で終了

院内掲示のみで算定を継続している場合、令和9年6月1日以降は要件未充足となり算定できなくなります。遅くとも令和9年5月末までに、医療DX推進体制に関する事項をウェブサイトに掲載する必要があります。また、旧加算(医療DX推進体制整備加算)の文言のまま掲載し続けることも、要件未充足と判断される可能性があります。

8. 届出・施設基準

届出方法

保険医療機関等電子申請・届出等システムによるオンライン申請が可能です。書面での提出も引き続き受け付けています。

主な届出書類

書類 主な記載内容
特掲診療料の施設基準に係る届出書 施設名・管理者名等の基本情報
電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準に係る届出書 オンライン資格確認状況・マイナ保険証利用率・CLINS接続状況・電子処方箋状況・セキュリティ責任者(入院加算の場合)
院内掲示・ウェブサイト掲載の確認資料 掲示内容の写し・スクリーンショット等
具体的な様式番号について

新設加算のため、旧様式(様式5の7等)に代わる新様式が告示・通知で定められています。具体的な様式番号は各地方厚生局のウェブサイトで最新のものをご確認ください。

届出前の確認チェックリスト

以下の項目を届出前に確認してください。

  • 【全区分共通】
    • オンライン請求の実施を確認している
    • 明細書の無償交付を実施している(明細書発行体制等加算は届出していない)
    • オンライン資格確認の体制が整備されている
    • 診察室等でオンライン資格確認の情報を閲覧・活用できる
    • マイナ保険証利用率30%以上の実績がある(算定月の3〜5か月前)
    • 患者の健康管理相談に応じる体制を整備している
    • 医療DX推進体制に関する事項を院内掲示している
    • ウェブサイトへの掲載を行っている(またはR9.5.31までの経過措置を確認している)
  • 【加算2のみ】
    • 要件8(電子処方箋)・要件9(電子カルテ)・要件10(CLINS活用等)のうち少なくとも1つを満たしている
  • 【加算1のみ】
    • 要件8・9・10のすべてを満たしている
  • 【入院加算1のみ】
    • 医療情報システム安全管理責任者を専任で配置している
    • オフラインバックアップ(電子カルテ・医事・PACS等の多重化)を実施している
    • サイバーインシデント対応BCPを策定し、年1回以上の訓練を実施している
    • セキュリティ研修の受講記録・実施日・内容を文書で保管している

9. 既存DX加算との重複算定

本加算と同時に算定できる加算・算定できない加算を整理します。

加算・管理料 同時算定 理由・根拠
明細書発行体制等加算 × 不可 本加算の要件に明細書無償交付が含まれるため(告示原文「別に算定できない」)
医療DX推進体制整備加算 廃止 令和8年5月31日廃止・本加算に統合
医療情報取得加算 廃止 同上
在宅医療DX情報活用加算 ○ 可 算定場面が異なるため直接の制限規定なし
電子的調剤情報連携体制整備加算(薬局) ○ 可(参考) 薬局側の加算であり、医療機関の請求には影響しない
明細書発行体制等加算との重複排除に注意

本加算を届け出た場合、明細書発行体制等加算は算定できなくなります。レセプトコンピュータの設定で明細書発行体制等加算が自動付与されている場合は、ベンダーに依頼して設定を変更する必要があります。

同一月内の算定ルール

疑義解釈において以下のルールが明確化されています。

  • 初診料の本加算を算定した月は、同月の再診料・外来診療料の本加算は算定不可(逆も同様)
  • 同一医療機関内で複数の診療科を同月受診した場合も、医療機関単位で月1回の算定

10. よくある算定漏れ・査定パターン

パターン1:「旧加算の届出があるから大丈夫」と思い込む

最も多いと想定される誤りです。令和8年5月31日以前に医療DX推進体制整備加算を届け出ていても、令和8年6月1日以降に本加算を算定するには必ず再届出が必要です(疑義解釈 問3)。届出なしに算定した場合は査定・返還の対象になります。

パターン2:マイナ保険証利用率の判定時期の誤り

利用率は「算定月の3・4・5か月前」のいずれかで判定します。6月に算定する場合は1〜3月のいずれかの月の実績が必要です。当月や前月の数値を使おうとするのは誤りです。30%を下回る月が続く場合はランクダウンの変更届を提出する必要があります。

パターン3:ウェブサイト掲載の更新忘れ

旧加算(医療DX推進体制整備加算)の文言のまま掲示・掲載を続けている場合、要件7を満たしていないと判断される可能性があります。新加算の名称・内容に合わせて院内掲示とウェブサイトの記載を更新してください。

パターン4:明細書発行体制等加算との重複

本加算と明細書発行体制等加算は同時に算定できません。電子システムで自動付与されている場合、本加算の届出後もレセコンの設定変更が行われておらず重複算定となるケースが想定されます。

パターン5:入院加算の区分誤り(加算3を算定しようとする)

入院加算(A207-5)には加算3は存在しません。外来の加算3と混同して入院加算3を請求するのは誤りです。入院算定できるのは加算1(160点)と加算2(80点)のみです。

パターン6:初診・再診両方の加算を同月に算定する

初診料の本加算と再診料・外来診療料の本加算は、同一月に両方を算定することができません。初診月に加算を算定した後、同月中に再診がある場合は再診料の加算を算定しないよう注意が必要です。

11. 関連書式・関連記事

関連記事・書式のご案内

関連記事:
電子的診療情報連携体制整備加算とは(記事03) — 加算の全体像・基本要件を解説
電子的調剤情報連携体制整備加算(記事02) — 薬局向けの対応加算について
一般名処方マスタ廃止2026対応(記事04) — 同時期に対応が必要な改定事項

届出サポート書式:
本加算の届出に必要なチェックリストは、当サイトの書式ダウンロードページをご活用ください。カスタマイズが必要な場合はお気軽にご相談ください。

届出区分の判断・届出書類の作成・ウェブサイト掲載対応など、電子的診療情報連携体制整備加算の実務でお困りの場合は、お気軽にお問い合わせください。施設の現状をお伺いしたうえで、最適な区分の選定・届出書類の準備をサポートします。

まとめ

電子的診療情報連携体制整備加算は、令和8年6月1日から算定が始まる新設加算です。重要なポイントをあらためて整理します。

  • 旧加算からの自動移行はなし:令和8年5月7日〜6月1日(必着)に再届出が必要
  • 初診料のみ1・2・3の3段階:再診料・外来診療料は一律2点、入院加算は1・2のみ
  • 加算3は共通要件(1〜7)のみ:加算2は追加要件8・9・10のいずれか1つ以上、加算1はすべて必要
  • マイナ保険証利用率30%が前提:算定月より3〜5か月前の実績で判定(先行対応が不可欠)
  • 経過措置は2種類:CLINS接続IF(当分の間)とウェブ掲載(R9.5.31まで)
  • 明細書発行体制等加算と重複算定不可:レセコン設定の確認が必要

施設のDX整備状況を正確に把握し、適切な区分で届出を行うことが、算定漏れ・査定リスクの回避につながります。ご不明な点は当サイトの関連記事や書式もあわせてご活用ください。

参考文献

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の告示」(令和8年3月公布)— 診療報酬点数表 区分番号A000 注15・A001 注19・A002 注10・A207-5
  • 厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月)
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定に関する疑義解釈資料の送付について(その1)」— 問3(再届出義務)・同月内算定ルール・電子処方箋の定義
  • 厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会「令和8年度診療報酬改定答申書」(令和8年2月)
  • 厚生労働省「電子カルテ情報共有サービス(CLINS)」関連通知・運用要領