2026年6月1日施行の診療報酬改定で「早期リハビリテーション加算」が大幅に変更されました。点数は1〜3日目60点・4〜14日目25点に段階化され、算定期間は「入院日から14日」に短縮、起算日も「入院日」に統一されました。一方「初期加算」は45点・発症等から14日以内のまま変更なし。本記事では両加算の違いを起算日・算定期間・点数の3軸で完全比較し、同時算定で最大105点/単位の上乗せを実現する実務ポイントを厚労省告示・通知に基づき解説します。

📋 関連記事:令和8年度改定における早期リハビリテーション加算の全体解説は「早期リハビリテーション加算 2026|算定要件・点数・対象疾患を完全解説【令和8年度改定】」でまとめて確認できます。

1. 結論|1分で分かる早期加算と初期加算の違い

ポイント:早期加算と初期加算の核心的な違い

✓ 早期加算:起算日は「入院日」、期間は入院から14日以内、1〜3日目60点・4〜14日目25点(令和8年度で大幅変更)
✓ 初期加算:起算日は「発症・手術・急性増悪の日」、期間は発症等から14日以内、45点(変更なし)
✓ 両加算は同時算定可能。入院1〜3日目は最大105点/単位の上乗せ。

2. 早期加算と初期加算の基本比較表

令和8年6月1日施行の改定後の規定で両加算を比較します。

項目 早期リハビリテーション加算 初期加算
区分(告示) 疾患別リハ料 注2 疾患別リハ料 注3
点数(令和8年度) 1〜3日目:60点/単位
4〜14日目:25点/単位
45点/単位(変更なし)
算定期間 入院した日から14日以内 発症等から14日以内
起算日 入院した日
(転院患者は前医入院日)
発症・手術・急性増悪の日
(呼吸器は治療開始日)
対象疾患別リハ料 H000 心大血管/H001 脳血管/H001-2 廃用症候群/H002 運動器/H003 呼吸器
施設基準 各疾患別リハ料の施設基準を届出済みであること(独自届出 不要)
令和6年→令和8年 大幅変更(点数・期間・起算日) 変更なし

3. 起算日の違い|最も間違いやすいポイント

両加算で起算日(カウントの起点となる日)が異なることが、誤算定の最大の原因です。令和8年度改定で早期加算の起算日が変更されたため、これまで「発症日起算」で揃えて管理していた医療機関は要注意です。

早期加算の起算日(令和8年6月以降)

シナリオ 起算日
通常の入院患者 自院に入院した日
他院から転院した患者 転院前の保険医療機関に入院した日(自院入院日ではない)
退院後に外来リハに移行 退院前の入院日

初期加算の起算日(令和6年・令和8年とも同じ)

疾患別リハ料 起算日
心大血管疾患リハ料(H000) 発症、手術または急性増悪の日
脳血管疾患等リハ料(H001) 発症、手術または急性増悪の日
廃用症候群リハ料(H001-2) 急性疾患等の発症・手術・増悪日、または廃用症候群の急性増悪の診断日(いずれか早い日)
運動器リハ料(H002) 発症、手術または急性増悪の日
呼吸器リハ料(H003) 治療開始日
⚠️ 転院患者の早期加算 起算日に要注意

令和8年6月以降、早期加算の起算日は「自院入院日」ではなく「転院前の保険医療機関に入院した日」です。自院入院日で計算すると14日を超えた超過算定(過誤請求)となります。転院受入時は必ず前医の入院日を確認してください。

4. 算定期間の違いと重なり

両加算とも「14日以内」ですが、起算日が異なるため、算定終了日も患者ごとに異なります。

4-1. 発症日と入院日が同日の場合(典型例)

日数 早期加算 初期加算 1単位あたり上乗せ合計
入院1〜3日目 60点 45点 105点
入院4〜14日目 25点 45点 70点
入院15日目以降 算定不可 算定不可 0点

4-2. 発症から数日後に入院した場合

発症3日後に入院した場合の例:

入院日からの日数 発症日からの日数 早期加算 初期加算 1単位あたり上乗せ合計
入院1日目 4日目 60点 45点 105点
入院2〜3日目 5〜6日目 60点 45点 105点
入院4〜11日目 7〜14日目 25点 45点 70点
入院12〜14日目 15〜17日目 25点 算定不可(初期加算終了) 25点
入院15日目以降 18日目以降 算定不可 算定不可 0点
📌 ポイント:入院日と発症日のズレで終了日が異なる

初期加算は発症日を起点に14日でカウントされるため、入院が遅れるほど算定可能日数は短くなります。一方、早期加算は入院日起点で常に14日確保されます。系統A(早期加算)と系統B(初期加算)は別管理表で運用するのが実務上の鉄則です。

5. 同時算定可否|両加算は併算定OK

結論:早期加算と初期加算は同一日・同一単位で併算定可能

両加算の要件を満たす期間内であれば、同じ単位で両方算定できます。入院1〜3日目は最大105点/単位の上乗せが可能です。

具体的な算定例(1日2単位を実施した場合)

パターン 1〜3日目/日 4〜14日目/日 15日目以降/日
脳梗塞(発症当日入院・翌日リハ開始) 210点(105×2) 140点(70×2) 0点
大腿骨頸部骨折術後(術後3日目に転院・転院当日リハ開始)
※前医入院日が早期加算起算日
—(前医算定済) 140点(70×2、自院1〜11日目) 0点
廃用症候群(急性増悪・当日入院・当日リハ開始) 210点(105×2) 140点(70×2) 0点
慢性呼吸器疾患の急性増悪(増悪日入院・治療開始日リハ開始) 210点(105×2) 140点(70×2) 0点

6. 令和8年度改定での変更点

6-1. 早期加算の主要変更(3点)

項目 令和6年度(旧) 令和8年度(新・2026年6月施行)
点数 25点/単位(一律) 1〜3日目60点/4〜14日目25点(段階化)
算定期間 発症等から30日以内 入院日から14日以内(短縮)
起算日 発症・手術・急性増悪の日 入院した日(転院は前医入院日)

6-2. 初期加算の変更

初期加算は点数・算定期間・起算日とも変更ありません(45点・発症等から14日以内・発症等日起算)。令和8年度改定で変更があったのは早期加算のみです。

6-3. 同時に新設・変更された関連加算

加算名 点数 限度 対象・特徴
急性期リハビリテーション加算(新設) 50点/単位 入院から14日 重症患者・常勤医師配置の施設限定。早期・初期加算と併算定可
早期離床・リハビリテーション加算(ICU専用) 500点/日 ICU入室後14日 ICU等で算定。算定日には疾患別リハ料・早期/初期加算とも算定不可
休日リハビリテーション加算(新設) 25点/単位 — 土日祝のリハ実施。早期・初期加算と併算定可
「離床を伴わないリハ」10%減算 -10% — 臥位中心のリハに減算。カルテに具体的離床記載が必要

7. 混同されやすい類似加算との違い

7-1. 急性期リハビリテーション加算(H000-3)との違い

項目 急性期リハ加算 早期加算 初期加算
点数 50点/単位 60/25点 45点
限度 入院から14日 入院から14日 発症等から14日
対象 重症患者(要件あり) 全入院患者 全入院患者
施設基準 常勤医師配置等 厳しい 各リハ料施設基準 各リハ料施設基準
同時算定 早期・初期と併算定可 急性期・初期と併算定可 急性期・早期と併算定可

7-2. 早期離床・リハビリテーション加算との違い(ICU専用)

⚠️ ICU早期離床加算と疾患別リハは同日算定不可

早期離床・リハビリテーション加算(500点/日)は、ICU・HCU・NICU・SCU等の特定集中治療室管理料を算定する患者が対象です。算定した日には疾患別リハ料(H000〜H003)と早期加算・初期加算のすべてが算定不可となります。ICU退室後に一般病棟でリハを再開した時点から早期加算(入院日起算)が算定可能です。

7-3. リハビリテーション総合計画評価料(H003-2)との違い

リハ総合計画書を多職種共同で作成・評価する場合の加算で、令和8年度より「初回300点」「2回目以降240点」と段階化されました。月1回算定で、疾患別リハ料・早期加算・初期加算とは別物です。

8. よくある誤算定パターン

8-1. 起算日の混同(最頻出)

令和8年度以降、早期加算は「入院日」、初期加算は「発症日等」と起算日が異なります。両者を同じ日として管理すると算定漏れまたは超過算定が発生します。

📌 改善策

系統A(早期加算)・系統B(初期加算)・系統D(ICU早期離床加算)を別管理表で運用し、患者ごとに「早期加算終了日」「初期加算終了日」をカルテ表紙やリハ台帳に明記しておくと算定ミスを防げます。

8-2. 転院患者の早期加算 起算日誤認

転院患者の早期加算は「自院入院日」ではなく「前医入院日」が起算日です。自院入院日でカウントすると14日超過の過誤請求になります。転院受入時の情報提供書から前医入院日を必ず取得してください。

8-3. 経過措置の取扱い

2026年5月31日以前から既に早期加算を算定している患者については、起算日は変更しませんが、6月1日以降の算定期間は「起算日から14日間」に制限されます。長期入院患者で従前30日まで算定していたケースは6月1日時点で残算定日数の再確認が必要です。

8-4. 「離床を伴わないリハ」減算の見落とし

令和8年度新設の10%減算(離床を伴わないリハ)について、カルテに端坐位・立位等の具体的な離床記載がない場合、査定対象になります。病棟スタッフへの周知と記録様式の整備を推奨します。

9. よくある質問(Q&A)

Q1. 早期加算と初期加算の最大の違いは何ですか?

A. 起算日と点数体系です。早期加算は「入院日」起算で1〜3日目60点・4〜14日目25点、初期加算は「発症等の日」起算で常に45点です。算定期間は両者とも14日以内ですが、起算日が異なるため終了日が患者ごとに変わります。

Q2. 早期加算と初期加算は同時算定できますか?

A. はい、併算定可能です。両加算の要件を満たす期間内であれば、同一日・同一単位で両方算定できます。入院1〜3日目(発症等から14日以内)は最大105点/単位の上乗せが可能です。

Q3. 転院してきた患者の早期加算 起算日はどうなりますか?

A. 前医入院日が起算日です。自院入院日ではないため、転院受入時に前医の情報提供書から入院日を確認し、自院での算定可能日数を計算する必要があります。

Q4. ICU入室中も早期加算は算定できますか?

A. ICU早期離床・リハビリテーション加算(500点/日)を算定した日は、疾患別リハ料・早期加算・初期加算とも算定不可です。ICU退室後に一般病棟で疾患別リハを再開した時点から早期加算(入院日起算で残期間)が算定可能になります。

Q5. 令和8年度改定で初期加算の点数は変わりましたか?

A. 変更ありません。初期加算は45点/単位・発症等から14日以内・発症等日起算と、令和6年度から変更なしです。令和8年度改定で大幅変更されたのは早期加算のみです。

Q6. 発症から1週間後に入院した場合、初期加算は何日算定できますか?

A. 入院日から7日間まで算定可能です。初期加算は発症日から14日以内が算定期限なので、発症7日後に入院した場合、入院後の算定可能日数は14-7=7日となります。一方、早期加算は入院日起算なので入院後14日間算定可能です。

10. まとめ

記事のポイント

✓ 令和8年度改定で早期加算は大幅変更(点数段階化・起算日入院日・期間14日)
✓ 初期加算は変更なし(45点・発症等から14日・発症等日起算)
✓ 両加算は併算定可。入院1〜3日目は最大105点/単位の上乗せ
✓ 転院患者の早期加算 起算日は前医入院日(最頻出誤算定パターン)
✓ ICU早期離床加算(500点/日)算定日は疾患別リハ・早期/初期加算とも算定不可

参考文献

  • 令和8年厚生労働省告示第69号(医科点数表)— 令和8年3月5日
  • 保医発0305第6号(診療報酬の算定方法の一部改正等に伴う実施上の留意事項について)— 令和8年3月5日
  • 令和8年度疑義解釈資料(その1〜)— 令和8年3月23日〜
  • 令和6年厚生労働省告示第57号(医科点数表)— 令和6年3月5日
  • 保医発0305第1号(令和6年)
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」— https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html

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