令和8年(2026年)6月1日施行の診療報酬改定では、回復期リハビリテーション病棟の入院料引き上げと「回復期リハビリテーション強化体制加算(新設・80点)」、リハビリ実施計画書の署名ルール変更など、PT/OT/ST・管理栄養士の現場に直結する改定が多数あります。本記事では栄養・リハビリ関連の変更点を整理し、現場が混乱しやすいポイントを重点的に解説します。

施行日:令和8年6月1日。維持期・生活期リハビリ(要介護・要支援者への外来医療保険リハビリ)の経過措置は令和8年9月30日で終了します。

1. 栄養関連加算の変更

NST加算(栄養サポートチーム加算)

令和8年度改定では、NST加算(栄養サポートチーム加算)は概ね変更なしです。多職種チームによる栄養管理の現行体制を継続してください。

入院栄養管理体制加算

令和6年度に新設された入院栄養管理体制加算については、令和8年度改定で点数の変更はありませんが、算定要件の見直し・緩和が行われます。緩和の詳細については算定要件通知を確認してください。

補足:入院栄養管理体制加算の要件変更の詳細(緩和される人員・体制要件等)については、告示第70号・第71号および算定方法通知でご確認ください。

栄養食事指導料

栄養食事指導料(外来・入院・訪問)の点数は令和8年度改定で変更ありません。引き続き、外来・入院栄養食事指導料1初回260点、2回目以降200点、訪問栄養食事指導料530点で算定します。

2. リハビリ・栄養・口腔連携加算のADL計算ルール(★現場困惑ポイント)

リハビリ・栄養・口腔の一体的取組における、ADL低下患者割合の計算方法について、疑義解釈その2(令和8年4月1日)で整理されました。

評価ツールと評価タイミング

項目 内容
使用ツール BI(バーセルインデックス)またはFIM。院内で統一して使用(混在不可)
入棟時評価 入棟後7日以内に実施
退棟時評価 退棟前7日以内に実施
長期入院(90日超) 入棟後90日時点でも評価を実施

計算から除外される患者

  • 死亡退院した患者
  • 終末期がん患者(緩和ケアを目的とした入院)
  • その他、告示・疑義解釈で除外と定められた患者

⚠️ [要確認]:ADL改善のカットオフ値(BIまたはFIMで何点以上の改善をADL改善と判定するか)については疑義解釈その2の原文で確認してください。

ポイント:BIとFIMの混在は認められません。院内でどちらかに統一し、評価者・評価タイミングをプロトコル化してください。評価担当者が変わっても結果に一貫性が保てるよう、評価者訓練も重要です。

3. 回復期リハビリテーション病棟の改定ポイント

入院料の引き上げ

区分 改定前 改定後(令和8年6月〜) 増減
回復期リハビリテーション病棟入院料1 2,229点 2,346点 +117点
回復期リハビリテーション病棟入院料2 2,166点 2,274点 +108点
回復期リハビリテーション病棟入院料3 1,917点 2,062点 +145点
回復期リハビリテーション病棟入院料4 1,859点 2,000点 +141点
回復期リハビリテーション病棟入院料5 1,696点 1,794点 +98点

⚠️ [要確認]:上記の改定前点数は参考値です。告示第69号の確定値でご確認ください。

回復期リハビリテーション強化体制加算(新設)

入院料1を届け出ている病棟を対象に、「回復期リハビリテーション強化体制加算」(1日80点)が新設されます。

算定要件:

  • 回復期リハビリテーション病棟入院料1の施設基準を満たしていること
  • リハビリテーションの効果に係る実績指数が48以上であること
  • 退院前訪問指導について十分な実績を有していること
  • 排尿自立支援加算に係る届出を行っている保険医療機関であること

ポイント:実績指数48以上という要件は、現行の入院料1の基準値(42以上)より6ポイント高い水準です。高い機能回復実績を持つ病棟に対して、追加評価が得られる仕組みです。

リハビリ実績指数(FIM利得指数)の見直し

リハビリ実績指数の計算方法と基準値が見直されます。

計算方法の変更:

トイレ動作と歩行・車椅子のFIM項目について、「入棟時5点以下から退棟時6点以上に改善した場合」に、分子のFIM利得に1点を加算する方法に変更されます。日常生活の基本動作(排泄・移動)の自立を重視した評価に改善されます。

基準値の変更:

区分 改定前 改定後
入院料1 40以上 42以上
入院料2・4 (基準なし) 32以上(新設)
入院料3 35以上 37以上

実績指数算出時の除外基準の変更

除外要件 改定前 改定後
年齢による除外 80歳以上の患者を除外可 廃止(除外不可)
認知症患者の除外 FIM認知項目24点以下を除外可 14点以下に変更(除外対象が縮小)

注意:年齢除外(80歳以上)が廃止されます。高齢患者を多く受け入れている病棟では実績指数の計算結果に影響が出る可能性があります。自病棟の患者構成と現在の実績指数を事前に確認してください。

全病棟共通:FIM測定研修会の義務化

入院料1〜4すべての病棟で、年1回以上のFIM測定研修会の開催が施設基準に追加されます。評価者間の信頼性確保を目的とした要件です。

4. 疾患別リハビリテーション料の変更

令和8年度改定では、疾患別リハビリテーション料の体系(心大血管・脳血管等・廃用症候群・運動器・呼吸器の5区分)は維持されます。主な変更点は以下のとおりです。

  • 訓練内容に応じた評価の見直し(実施するリハビリの内容・質に応じた評価体系への改善)
  • 医療機関外での疾患別リハビリ料の上限単位数の見直し
  • 算定上限緩和対象患者の定義の見直し
  • 発症早期のリハビリ推進・休日リハビリの評価の充実

⚠️ [要確認]:各区分の具体的な改定後点数・新要件の詳細は告示第69号・保医発通知でご確認ください。特に「算定上限緩和対象患者」の定義変更は算定実務に直結するため、通知の内容を必ず確認してください。

早期リハビリ加算・初期加算

入院後早期に実施するリハビリに対する加算(早期リハビリテーション加算・初期加算)については、算定可能期間・起算日の考え方が整理されます。

⚠️ [要確認]:早期リハビリ加算の具体的な算定可能期間・起算日の変更は疑義解釈その1(令和8年3月23日)で確認してください。

離床を伴わないリハビリの算定ルール

ICUや術後早期など離床が困難な患者への「離床を伴わないリハビリテーション」の算定については、疑義解釈その2(令和8年4月1日)でケース別Q&Aが示されています。自施設の実態と照らし合わせて確認してください。

5. リハビリ実施計画書の署名ルール変更と具体的運用(★現場困惑ポイント)

変更の概要

項目 変更前 変更後(令和8年6月1日〜)
患者・家族への説明 書面での説明が必要 変更なし(引き続き必要)
患者・家族の署名 努力義務(「できる限り」) 原則必要(取得困難な場合は診療録に理由を記載)
署名困難時の対応 規定なし 診療録に理由を記載することで代替可
電子署名 認められる。詳細は算定要件通知でご確認ください。

職種ごとの役割分担

職種 説明の役割
医師 治療方針・リハビリの必要性・目標の説明、計画書への署名(必須)
PT/OT/ST リハビリの具体的な内容・目標・訓練メニューの説明
管理栄養士 栄養管理の目標・食事内容の説明(リハ・栄養・口腔連携を算定する場合)
看護師 日常生活における訓練の継続・介助方法の説明

記録の残し方

  • 説明実施日・説明者氏名・職種
  • 説明した内容(計画書の記載内容と一致していること)
  • 患者・家族の理解確認の状況
  • 署名が取得できなかった場合:その患者・その時点での具体的な理由(診療録への記載)

ポイント:「署名が取得できなかった理由」は毎回具体的に記録してください(例:意識障害のため、患者の拒否のため、等)。定型文のコピーではなく実態に即した記録が求められます。

疑義解釈ベースのQ&A

Q A
家族が遠方で署名を取得できない場合は? その旨を診療録に記載することで対応可能。郵送や電子署名での代替も検討できます。
認知症で意思確認が困難な患者は? 家族・成年後見人等への説明・署名取得を試みる。困難な場合は理由を診療録に記載。
計画書の更新頻度は? 入棟後早期(原則7日以内)に初回作成、以降はおおむね4週ごとに更新。

6. 維持期・生活期リハビリの算定要件変更

要介護・要支援者への医療保険による外来維持期リハビリテーションの経過措置は、令和8年9月30日をもって完全終了します。

重要:令和8年10月1日以降、要介護・要支援者への外来維持期リハビリは原則として医療保険での算定ができなくなります。該当患者については介護保険のリハビリサービス(通所リハビリ等)への移行を進めてください。

例外的に医療保険で算定できる場合

  • 急性増悪(状態の急変・入院後のリハビリ)の場合
  • 介護保険のリハビリサービスが未整備の地域に居住する場合
  • その他、告示・通知で定める例外要件に該当する場合

現場対応チェックリスト

管理栄養士・栄養管理部門

  • ☐ 栄養食事指導料は点数変更なし(初回260点、2回目以降200点、訪問530点)であることを職員に周知したか
  • ☐ 入院栄養管理体制加算の算定要件緩和の内容を確認し、未算定の場合は算定可能性を再検討したか
  • ☐ リハ・栄養・口腔連携加算のADL評価ツール(BIまたはFIM)を院内で統一したか
  • ☐ ADL評価の実施タイミング(入棟7日以内・退棟7日以内)が徹底されているか

PT・OT・ST・リハビリ部門

  • ☐ 疾患別リハビリ料の改定点数・要件変更(算定上限緩和対象患者の変更等)を確認したか
  • ☐ リハビリ実施計画書の署名ルール変更(原則必要)を職員に周知したか
  • ☐ 署名が取得できない場合の診療録記載方法を整備したか
  • ☐ 回復期リハビリ病棟のFIM実績指数の現状値を確認したか(年齢除外廃止・基準値引き上げの影響確認)
  • ☐ 年1回のFIM測定研修会の開催計画を立てたか
  • ☐ 回復期リハビリ強化体制加算(新設・80点)の算定要件(実績指数48以上等)を満たしているか確認したか
  • ☐ 要介護・要支援者の外来維持期リハビリ患者を把握し、介護保険への移行準備を進めているか(10月1日期限)

関連書式ダウンロード

口腔・摂食嚥下関連加算の一覧は加算算定サポートページもあわせてご覧ください。

補足:施設固有の様式へのカスタマイズ(項目追加・院内書式への統合等)は有料にて承っています。お気軽にご相談ください。

参考文献

  • 厚生労働省告示第69号「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年3月5日)
  • 厚生労働省告示第70号「基本診療料の施設基準等の一部を改正する件」(令和8年3月5日)
  • 厚生労働省告示第71号「特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件」(令和8年3月5日)
  • 疑義解釈その1(別添1 医科点数表関係)(令和8年3月23日)
  • 疑義解釈その2(リハビリ実施計画書・離床リハビリ等)(令和8年4月1日)
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47767.html