「急性期リハビリテーション加算」は令和8年度診療報酬改定でも算定できる、疾患別リハビリテーション料の注4に規定された加算(1単位につき50点)です。入院中の重症患者等に対し、発症等から14日を限度に算定します。本記事では、点数・算定要件・対象患者・起算日・施設基準に加え、混同しやすい早期リハビリテーション加算・初期加算との違いと「同日併算定」の可否(最大180点の上乗せ)を急性期病院向けに整理します。
📋 リハ加算の全体像はこちら:回復期も含むリハビリ加算(早期リハ・初期加算・急性期リハ・強化体制・実績指数)の全体像は「回復期リハビリテーション 加算ガイド」、改定全体は「診療報酬改定2026 完全ガイド」でまとめて確認できます。
この記事のポイント
- 急性期リハビリテーション加算は疾患別リハ料の注4・50点/単位・14日限度
- 対象は入院中の重症患者等(バーセルインデックス10点以下など)
- 早期リハ加算・初期加算・休日リハ加算と同日併算定が可能(重複して上乗せ)
1. 急性期リハビリテーション加算(急性期リハ加算)とは(4系統の中での位置づけ)
急性期のリハビリ評価は名称が似た加算が多く、実務で混同が起きがちです。令和8年度改定では、疾患別リハビリテーション料に係る「早期介入」評価が次の4系統に整理されています。急性期リハビリテーション加算は、このうち重症患者に特化した系統C(注4)です。
| 系統 | 加算名 | 規定 | 点数(1単位) | 算定期間 | 主な対象 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 早期リハビリテーション加算 | 注2 | 1〜3日目60点/4〜14日目25点 | 入院日から14日 | 入院患者全体 |
| B | 初期加算 | 注3 | 45点 | 発症等から30日 | 入院患者全体 |
| C | 急性期リハビリテーション加算 | 注4 | 50点 | 14日 | 重症患者等 |
| D | 早期離床・リハビリテーション加算 | 特定集中治療室管理料等の注 | 500点/日 | 入室日から14日 | ICU等の患者 |
混同に注意:「急性期リハビリテーション加算(系統C・50点)」と、起算日が"入院日"で段階制となった「早期リハビリテーション加算(系統A・初期3日間は60点)」は、告示上まったく別個の加算です。両者は後述のとおり同一日に並行して算定できます。
2. 点数・算定要件・起算日・算定期間
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 規定 | 疾患別リハビリテーション料の 注4 |
| 点数 | 1単位につき50点(令和6年度から据え置き) |
| 算定期間 | 起算日から 14日を限度 |
| 起算日 | 発症、手術若しくは急性増悪、又は治療開始の日のいずれか早い日(※下記注記) |
| 単位数上限 | 標準的算定単位数(1日6単位。別に定める特定患者は1日9単位)の枠組みに準ずる |
※ 起算日の注記:急性期リハビリテーション加算の起算日は「発症・手術・急性増悪等」を基本とします。なお、起算日の厳密な運用(外来からの入院切替・転院時の扱い等)は、算定前に告示(令和8年厚生労働省告示第69号)・保医発0305第6号・疑義解釈で必ずご確認ください。4系統の起算日の違い・転院時の扱いは「リハビリ加算の起算日 完全ガイド」で整理しています。
3. 対象患者(重症者要件)
急性期リハビリテーション加算の対象は、リハビリを実施する日において、別に厚生労働大臣が定める状態(特掲診療料の施設基準等別表第九の十)に該当する重症患者です。次のいずれかに該当することが要件となります。
- バーセルインデックス(BI)が10点以下の状態にある患者
- 認知症高齢者の日常生活自立度がランクM以上に該当する患者
- 人工呼吸器、酸素吸入、持続緩徐式血液濾過等の処置が実施されている患者
- 感染対策が特に必要な感染症の患者・その疑似症患者(疑似症患者は初日に限り算定可)
注意:対象は「重症患者」に限定されます。入院患者全体が対象となる早期リハビリテーション加算(系統A)・初期加算(系統B)とは対象範囲が異なります。重症者要件を満たさない患者には急性期リハビリテーション加算は算定できません。
4. 施設基準・人員配置
急性期リハビリテーション加算(および初期加算)の施設基準として、次の医師配置が求められます。
必要な人員配置
- リハビリテーション科の常勤医師を1名以上配置していること
- 常勤代替:週3日以上かつ週22時間以上勤務するリハビリテーション科の非常勤医師2名以上を、常勤医師の勤務時間帯と同じ時間帯に配置する場合は、常勤配置の基準を満たすものとみなされます(令和8年度・保医発0305第6号で明文化)。
このほか、疾患別リハビリテーション料そのものの施設基準(区分(I)〜(III)に応じた専従の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の配置)を満たしていることが前提となります。
5. 早期リハビリテーション加算・初期加算との違い
3つの加算は「起算日」「算定期間」「対象患者」が異なります。混同による算定漏れ・過誤を防ぐため、対照表で整理します。
| 比較項目 | 早期リハ加算(A) | 初期加算(B) | 急性期リハ加算(C) |
|---|---|---|---|
| 点数(1単位) | 1〜3日目60点/4〜14日目25点 | 45点 | 50点 |
| 起算日 | 入院した日 | 発症・手術・急性増悪等 | 発症・手術・急性増悪等 |
| 算定期間 | 14日 | 30日 | 14日 |
| 対象患者 | 入院患者全体 | 入院患者全体 | 重症患者等 |
| 転院時の起算日 | 転院前の入院日を通算 | 発症日等から算出 | 発症日等から算出 |
詳しくは:早期リハ加算の4系統の全体像は「早期リハビリテーション加算2026」、早期リハ加算と初期加算の起算日・点数の違いは「早期リハビリテーション加算と初期加算の違い」、ICU等での早期離床(系統D・500点)は「早期離床・リハビリテーション加算」で詳しく解説しています。
6. 急性期リハビリテーション加算の併算定【最重要】
急性期リハビリテーション加算は、早期リハビリテーション加算・初期加算・休日リハビリテーション加算と、それぞれの算定要件・算定期間を満たせば同一日に併算定できます。各加算は疾患別リハビリテーション料の独立した「注」に基づくため、相互に排除する規定はありません。
同日併算定の例(1単位あたり最大180点の上乗せ)
重症(BI10点以下)の脳梗塞患者が、発症当日かつ土曜日に入院し、同日に疾患別リハビリテーションを1単位実施した場合:
- 早期リハビリテーション加算(入院初日):60点
- 初期加算(発症日):45点
- 急性期リハビリテーション加算(重症者):50点
- 休日リハビリテーション加算(土曜):25点
合計で疾患別リハビリテーション料に 180点 を上乗せして算定できます。
| 急性期リハ加算と同日に | 可否 | 備考 |
|---|---|---|
| 疾患別リハビリテーション料 | ○ | 本体に上乗せ |
| 早期リハビリテーション加算(A) | ○ | 入院から14日以内 |
| 初期加算(B) | ○ | 発症等から30日以内 |
| 休日リハビリテーション加算 | ○ | 土日祝・発症等から30日以内 |
| 早期離床・リハビリテーション加算(D) | × | D算定日は疾患別リハ料(A・B・C含む)算定不可 |
排他に注意:ICU等で算定する早期離床・リハビリテーション加算(系統D・500点/日)を算定した日は、疾患別リハビリテーション料そのものが算定できないため、急性期リハ加算・早期リハ加算・初期加算も算定できません。ICU退室後に一般病棟へ転棟した際は、速やかに系統A・B・Cへ切り替えてください。
7. 離床を伴わないリハビリテーションの減算と除外
令和8年度改定では、離床(端坐位・立位・車椅子移乗・歩行等)を伴わずに行う個別療法に対する評価適正化(所定点数の100分の90への減算・1日2単位までの制限)が新設されました。ただし、早期リハビリテーション加算・初期加算・急性期リハビリテーション加算のいずれかを算定している患者(=急性期最前線の患者)等は、この減算の対象から除外されます。
この「いずれかを算定している患者は減算対象から除外」という規定は、3つの加算を1つしか算定できないという意味ではありません。減算の除外対象を定めたものであり、前述のとおり要件を満たせば併算定が可能です。
8. よくある疑問(FAQ)
Q. 急性期リハビリテーション加算は早期リハ加算・初期加算と同時に算定できますか?
A. できます。それぞれの算定要件・算定期間を満たせば、同一日に疾患別リハビリテーション料へ重複して上乗せ算定が可能です。重症患者が発症当日・土曜に入院した場合、早期リハ加算60点+初期加算45点+急性期リハ加算50点+休日リハ加算25点で、1単位あたり最大180点の上乗せとなります。
Q. 急性期リハビリテーション加算の点数と算定期間は?
A. 1単位につき50点で、起算日から14日を限度に算定します。令和6年度から点数は据え置きです。
Q. 対象となる「重症患者」とは具体的にどのような患者ですか?
A. バーセルインデックス10点以下、認知症高齢者の日常生活自立度ランクM以上、人工呼吸器・酸素吸入・持続緩徐式血液濾過等の処置中、感染対策が特に必要な感染症(疑似症は初日のみ)のいずれかに該当する患者です(別表第九の十)。
Q. 急性期リハビリテーション加算の施設基準は?
A. リハビリテーション科の常勤医師を1名以上配置することが必要です。週3日以上かつ週22時間以上勤務する非常勤のリハビリ科医師2名以上を組み合わせて配置すれば、常勤配置の基準を満たすものとみなされます。
Q. ICUで早期離床・リハビリテーション加算を算定した日に急性期リハ加算も算定できますか?
A. できません。早期離床・リハビリテーション加算を算定した日は疾患別リハビリテーション料が算定できないため、急性期リハ加算・早期リハ加算・初期加算も算定できません。
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急性期での早期介入は、回復期リハ病棟入院料のリハビリテーション実績指数の達成にも直結します。実績指数の試算やFIM評価には次のツール・書式をご利用ください。
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参考文献
- 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第69号)
- 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日 保医発0305第6号)
- 厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日 保医発0305第8号)
- 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その2)」(令和8年4月1日 事務連絡)