リハビリ関連の早期介入加算は4系統あり、それぞれ起算日が異なります。令和8年度改定で早期リハ加算の起算日が「入院した日」に変更されたことで、「発症日」「治療開始日」「入室日」と複数の起算日を並行管理する必要が生じ、算定ミス(過誤請求・返戻)の温床になっています。本記事では、4系統の起算日を1枚の表で整理し、疾患別リハ料ごとの違い、転院・外来からの入院・再入室などケース別の取り扱い、実務での管理方法をまとめます。
📋 各加算の詳細はこちら:点数・算定要件は「早期リハビリテーション加算2026(4系統の全体像)」「早期リハ加算と初期加算の違い」「急性期リハビリテーション加算」「早期離床・リハビリテーション加算」、全体像は「回復期リハビリテーション 加算ガイド」をご覧ください。
この記事のポイント
- 起算日は4系統で異なる:A=入院した日/B=発症等または治療開始日/C=発症等/D=入室日
- 系統Aの転院患者は「前医に入院した日」を通算(自院への転院日ではない)
- 系統Dの再入室・転棟は日数を通算(リセットされない)
- 入院日と発症日がズレる症例では、系統AとBの残日数が異なる=2軸管理が必須
1. 4系統の起算日 早見表
| 系統 | 加算名 | 起算日 | 算定期間 | 点数 |
|---|---|---|---|---|
| A | 早期リハビリテーション加算 | 入院した日(転院時は前医入院日を通算) | 14日 | 1〜3日目60点/4〜14日目25点 |
| B | 初期加算 | 発症・手術・急性増悪から7日目又は治療開始日のいずれか早い日(疾患別リハ料で異なる・§3参照) | 30日 | 45点 |
| C | 急性期リハビリテーション加算 | 発症・手術・急性増悪等(※厳密な運用は要確認) | 14日 | 50点 |
| D | 早期離床・リハビリテーション加算 | 治療室に入室した日(再入室・転棟は通算) | 14日 | 500点/日 |
なぜ起算日が重要か:起算日を誤ると「実際には算定期間を過ぎているのに算定し続ける」ことになり、返戻・過誤請求(自主返還)につながります。特に系統A(入院日・転院時は前医通算)と系統B(発症等)の混同が頻発ポイントです。
2. 系統A:早期リハビリテーション加算=「入院した日」
令和8年度改定で、早期リハ加算の起算日は従来の「発症等」から「入院した日」に変更されました(疾患別リハ料の注2)。入院1〜3日目は60点、4〜14日目は25点の段階制です。
転院患者=「前医に入院した日」を通算
最重要の注意:転院患者の起算日は「自院への入院日」ではなく「転院前の保険医療機関に入院した日」です。入院時に前医の入院日を必ず確認・記録し、残余の算定可能日数を計算してください。自院への転院日を起算日にすると過誤請求になります。
一方、新たな疾患の発症等により転院・再入院した場合は、その転院日・再入院日が新たな起算日になります(疑義解釈その6 問16)。「同一疾患での継続転院=通算」「新たな疾患での入院=新起算」と区別してください。
外来リハ患者が急性増悪で入院した場合
外来で疾患別リハを受けていた患者が急性増悪等で入院した場合、入院の契機となった疾患でリハの起算日が切り替わり、対象疾患の要件を満たせば、入院日を起算日として早期リハ加算を算定できます(疑義解釈その6 問17)。
経過措置(令和8年6月1日をまたぐ患者)
令和8年5月31日以前から算定している患者は起算日を変更しません。ただし6月1日以降の算定期間は起算日から14日間に整理されたため、6月1日時点で15日目以降の患者は6月以降算定できません(疑義解釈その2 問70)。
3. 系統B:初期加算=「発症等から7日目又は治療開始日の早い方」
初期加算(45点・30日)の起算日は、正確には「発症、手術若しくは急性増悪から7日目又は治療開始日のいずれか早いもの」です。系統Aのような「入院」ではなく医学的事象がトリガーである点が本質的な違いです。疾患別リハ料の区分によって実務上の起算日が異なります。
| 疾患別リハ料 | 対象疾患の例 | 系統B の起算日 |
|---|---|---|
| 脳血管疾患等リハ料 | 脳梗塞・脳出血・くも膜下出血・神経難病 等 | 発症、手術又は急性増悪の日 |
| 運動器リハ料 | 大腿骨頸部骨折・脊椎疾患・関節置換術後 等 | 発症又は手術の日 |
| 呼吸器リハ料 | 肺炎・COPD急性増悪・肺手術後 等 | 治療開始日 |
| 心大血管疾患リハ料 | 心筋梗塞・心不全・大血管手術後 等 | 発症又は手術の日 |
| 廃用症候群リハ料 | 長期臥床による廃用 等 | 廃用症候群評価日(急性増悪日) |
補足:廃用症候群リハ料の初期加算は「廃用症候群に係る急性増悪の診断日(評価日)」が起算日で、原疾患の発症日・手術日とは異なります。カルテの評価日記載と算定日の整合を必ず確認してください。
4. 系統C:急性期リハビリテーション加算=「発症等」
急性期リハ加算(50点・14日・重症患者等)の起算日は「発症・手術・急性増悪等」を基本とします。系統B と同様に医学的事象がトリガーですが、算定期間は14日と短い点に注意してください。
※ 要確認:系統Cの起算日の厳密な運用(外来からの入院切替・転院時の扱い等)は、告示(令和8年厚生労働省告示第69号)・保医発0305第6号・疑義解釈で必ずご確認ください。対象患者(BI10点以下等の重症者要件)・併算定は「急性期リハビリテーション加算の解説」を参照。
5. 系統D:早期離床・リハビリテーション加算=「入室した日」
ICU等の早期離床・リハ加算(500点/日・14日)の起算日は当該治療室に入室した日です。
再入室・転棟は「通算」:対象ユニットを退室後、同一入院期間中に再入室した場合や、別の対象ユニット(例:ICU→脳卒中ケアユニット)へ転棟した場合も、それぞれで算定した日数を通算して14日が限度です(リセットされません・疑義解釈)。詳細は「早期離床・リハビリテーション加算の解説」を参照。
6. ケース別の注意:入院日と発症日がズレる症例の「2軸管理」
実務で最も混乱しやすいのは、入院日と発症日が異なる症例です。例えば「発症から5日後に入院」した脳梗塞患者では:
- 系統A(入院日起算・14日):入院日から14日間フルに算定可能
- 系統B(発症等起算・30日):発症からすでに5日経過しているため、残り約25日
逆に長期入院では、系統Aが先に終了しても系統Bが残る場合があります。系統A・B・Dの3つの起算日は別軸で管理し、電子カルテの加算管理機能等で「それぞれの残日数」を可視化するルールを医事課・リハ科で共有してください。
7. 過誤請求を防ぐ実務チェックリスト
- ☐ 起算日の判定ルール(入院日・発症日・手術日・治療開始日・評価日・入室日)を文書化した
- ☐ 転院患者の「前医入院日」確認フローを入院時業務に組み込んだ(系統A)
- ☐ 新たな疾患での転院・再入院は新起算になることを周知した(その6 問16)
- ☐ 呼吸器(治療開始日)・廃用(評価日)の起算日例外を算定担当が把握している
- ☐ 系統A・B・Dの残日数を別軸で管理している(電子カルテ・管理表)
- ☐ ICU等の再入室・転棟時は系統Dの日数を通算している
- ☐ カルテの発症日・評価日の記載と算定日の整合を点検している
8. よくある質問(FAQ)
Q1. 早期リハビリテーション加算の起算日はいつですか?
令和8年度改定により「入院した日」です(従来の発症等から変更)。転院患者は自院への転院日ではなく「転院前の医療機関に入院した日」を通算します。新たな疾患の発症等で転院・再入院した場合は、その転院日・再入院日が起算日になります。
Q2. 初期加算の起算日は「発症から30日」ですか?
正確には「発症、手術若しくは急性増悪から7日目又は治療開始日のいずれか早いもの」から起算して30日です。呼吸器リハ料は治療開始日、廃用症候群リハ料は廃用症候群評価日(急性増悪日)が起算日になるなど、疾患別リハ料で異なります。
Q3. 転院してきた患者の早期リハ加算は、転院日から14日間算定できますか?
できません。同一疾患での転院は「前医に入院した日」から通算します。前医で10日経過していれば、自院で算定できるのは残り4日分です。前医の入院日確認を入院時フローに組み込んでください。
Q4. ICUを退室して再入室した場合、早期離床・リハ加算の14日はリセットされますか?
リセットされません。同一入院期間中の再入室や、別の対象ユニットへの転棟でも、算定日数を通算して14日が限度です。
Q5. 「休日リハ加算」に起算日はありますか?
名前の似た2つの加算を区別してください。①急性期の休日リハビリテーション加算(25点・疾患別リハ料の1単位ごとの加算)は、それ自体に固有の起算日はなく、休日に実施した疾患別リハに対して加算するものです(併算定する早期リハ加算・初期加算等の期間は本記事の系統A・Bで判定)。②回復期リハ病棟の休日リハビリテーション提供体制加算(60点/日)は「毎日リハを提供する体制」への評価で、起算日の概念はありません。令和8年度改定で入院料1〜4では廃止(要件化)されており、詳細は「休日リハビリテーション提供体制加算の解説」をご覧ください。
参考・一次情報
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)疾患別リハビリテーション料 注2〜注4・A301注4
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(保医発0305第6号)
- 厚生労働省 疑義解釈資料(その2 問70/その6 問16・問17 ほか)—「疑義解釈(その1〜その9)重要Q&Aまとめ」参照
※ 本記事は令和8年度改定の整理に基づく解説です。系統Cの起算日の厳密運用等、細目は改定・疑義解釈で変動します。算定前に最新の告示・通知・疑義解釈でご確認ください。