本記事は歯科版の電子的歯科診療情報連携体制整備加算を解説します。令和8年(2026年)6月1日施行の本加算は、歯科初診料に加算1(9点)・加算2(4点)の2区分が設けられています。再診料は一律2点(区分なし)、入院加算は設定がありません。医科版(電子的診療情報連携体制整備加算)とは点数・区分の構成が異なります。旧加算からの自動移行はなく、再届出が必須です(届出期限:令和8年5月7日〜6月1日必着)。

※ 本記事は令和8年度(2026年)歯科診療報酬点数表 告示時点の情報をもとに作成しています。算定・届出前に厚生労働省の告示・保医発および管轄地方厚生局の最新様式で必ずご確認ください。

重要:旧加算からの自動移行はありません

歯科医療DX推進体制整備加算・歯科外来診療医療情報活用加算等をすでに届け出ている歯科診療所・歯科病院も、令和8年6月1日以降に本加算を算定するには改めて届出を行う必要があります。当初の届出期限は令和8年5月7日〜6月1日(必着)でした。期限を過ぎた場合も届出は可能で、受理された月の翌月1日(月の最初の開庁日に受理された場合はその月の1日)から算定できます(令和8年6月1日に遡っての算定は不可)。届出後の算定実務(初診・再診の算定ルール・月1回の数え方・レセプト)は「算定ガイド(算定編)」で解説しています。

この記事のポイント

✓ 歯科は初診2区分のみ(加算1=9点・加算2=4点)。医科の3区分(15/9/4点)とは異なる
✓ 再診料は一律2点(区分なし)・入院加算は設定なし
✓ 経過措置はCLINS接続IF(当分の間みなし)とウェブ掲載(R9.5.31まで)の2種類

1. 結論|電子的歯科診療情報連携体制整備加算1と2の違いを1分で把握

「電子的歯科診療情報連携体制整備加算1と2の違い」を最短で知りたい方向けに、まず全体像を比較表で示します。本加算は、旧「歯科医療DX推進体制整備加算」「歯科外来診療医療情報活用加算」等を廃止・統合した令和8年度の新設加算で、算定場面(初診・再診)によって区分の設け方が異なります。

項目 加算1 加算2
初診時(月1回) 9点 4点
再診時(月1回) 一律 2点(区分なし)
入院時 設定なし(歯科診療所・歯科病院に入院加算なし)
基本要件(要件1〜7) すべて必須 すべて必須
追加要件(要件8〜10) すべて必須(計10項目) いずれか1つ以上(計8項目)
届出様式 様式1の6+別添7「歯医DX1」
(様式第1-8-1号)
様式1の6+別添7「歯医DX2」
(様式第1-8-2号)

つまり、加算1と2の違いは「初診点数(9点/4点)」と「追加要件(要件8〜10)をすべて満たすか、いずれか1つ以上で足りるか」の2点に集約されます。加算1は基本要件(1)〜(7)+追加要件(8)〜(10)をすべて満たす計10項目、加算2は基本要件(1)〜(7)+追加要件(8)〜(10)のいずれか1項目の計8項目です。再診料は加算1・2の区分がなく一律2点です。

再診料の算定ルール

歯科再診料の電子的歯科診療情報連携体制整備加算は加算1・2の区分がなく一律2点です。また、初診料の加算を算定した月は、同月の再診料の加算は算定できません(逆も同様)。

2. 加算の全体像|旧加算統合と新設の背景

令和8年度改定では、歯科の医療DXに係る複数の加算が整理・統合されました。

  • 廃止:歯科医療DX推進体制整備加算(令和8年5月31日廃止)
  • 廃止:歯科外来診療医療情報活用加算(同日廃止)
  • 新設:電子的歯科診療情報連携体制整備加算(令和8年6月1日施行)

新加算は、オンライン資格確認の基盤整備にとどまらず、電子処方箋・電子カルテ情報共有サービス(CLINS)を活用した診療情報連携まで含む、より広範な歯科医療DX体制を評価するものです。歯科初診料においては、DXの進捗に応じて加算2(基礎)・加算1(上位)の2段階で評価されます。なお、医科の電子的診療情報連携体制整備加算は3区分(初診15/9/4点)・入院加算あり(A207-5)という異なる構成です。本記事が歯科向けの専用解説です。

医科版との誤混同にご注意ください

検索で「電子的診療情報連携体制整備加算」を調べると、医科版の記事が表示されることがあります。歯科の加算名は「電子的歯科診療情報連携体制整備加算」と異なります。医科版との点数・区分の比較は医科の電子的診療情報連携体制整備加算1・2・3の違いをご参照ください。

3. 共通要件(加算1・2すべてに必要な基本要件)

加算1・加算2のどちらを算定する場合も、以下の7つの基本要件をすべて満たす必要があります。

番号 要件 補足
要件1 オンライン請求を行っていること
要件2 明細書を患者に無償で交付していること 明細書発行体制等加算との重複算定は不可
要件3 オンライン資格確認を行う体制を有していること
要件4 オンライン資格確認等システムで取得した診療情報を診察室等で閲覧・活用できる体制
要件5 マイナ保険証利用率が30%以上であること 算定月の3・4・5か月前のいずれかの実績で判定
要件6 マイナポータルの医療情報等に基づき、患者の健康管理相談に応じる体制
要件7 医療DX推進体制に関する事項等を院内の見やすい場所に掲示し、原則としてウェブサイトに掲載していること ウェブ掲載はR9.5.31まで経過措置あり
マイナ保険証利用率30%は先行対応が必要です

利用率は算定月より3〜5か月前の実績を使用します。6月算定開始を目指す場合は、1〜3月の実績が問われます。受付での声かけ徹底・カードリーダーの動線最適化など、早期から利用促進に取り組む必要があります。

4. 加算1と加算2の差分要件(追加要件8〜10)

加算2・加算1には、基本要件(要件1〜7)に加えて以下の追加要件が課されます。加算1と2の違いの核心はこの追加要件の充足範囲です。加算1は基本要件(1)〜(7)に追加要件(8)〜(10)をすべて加えた計10項目を満たす必要があり、加算2は基本要件(1)〜(7)に追加要件(8)〜(10)のいずれか1項目を加えた計8項目で算定できます。

番号 要件の内容 加算2 加算1
要件8 電子処方箋の発行体制(院外処方:電子処方箋または引換番号付紙で情報登録/院内処方:管理サービスへ登録) いずれか1つ以上 すべて必須
要件9 歯科電子カルテの導入(ア:安全管理ガイドライン準拠 / イ:電子処方箋管理サービス接続IF / ウ:CLINS接続IF / エ:厚労省認証歯科電子カルテ製品) いずれか1つ以上 すべて必須
要件10 CLINSから取得される診療情報を活用する体制、または「地域医療情報連携ネットワーク活用+診療情報提供料等の届出」 いずれか1つ以上 すべて必須

加算1と加算2の充足要件まとめ
・加算1(9点):基本要件(1)〜(7)+追加要件(8)〜(10)をすべて満たす(計10項目)
・加算2(4点):基本要件(1)〜(7)+追加要件(8)〜(10)のいずれか1項目を満たす(計8項目)

要件9ウ(CLINS接続インターフェース)の経過措置

電子カルテ情報共有サービス(CLINS)との接続インターフェースに係る要件(要件9ウ)については、当分の間、当該基準を満たしているものとみなす経過措置が設けられています。ただし、速やかに導入に努めることが求められます。地域医療情報連携ネットワークを活用することで代替要件を満たすことも可能です。

5. 届出・施設基準と算定の実務フロー

届出書類と様式

書類 主な記載内容・備考
様式1の6(共通届出書) 施設名・管理者名等の基本情報。医科・歯科共通の添付様式
別添7「歯医DX1」(加算1)または「歯医DX2」(加算2) 様式番号:加算1=様式第1-8-1号、加算2=様式第1-8-2号。オンライン資格確認状況・マイナ保険証利用率・CLINS接続状況・電子処方箋状況等を記載
院内掲示・ウェブサイト掲載の確認資料 掲示内容の写し・スクリーンショット等

届出先・届出期限

  • 提出先:歯科診療所・歯科病院の所在地を管轄する地方厚生(支)局 都道府県事務所
  • 届出期限:令和8年5月7日〜6月1日(必着)
  • 届出方法:保険医療機関等電子申請・届出等システム(オンライン)または書面
様式の根拠と最新版の確認について

本加算の届出様式(別添7「歯医DX1/歯医DX2」、添付 様式1の6、加算1=様式第1-8-1号/加算2=様式第1-8-2号)は、厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(医政発0305第8号・令和8年3月5日)に基づきます。様式の最新版は厚生労働省の改定特設ページおよび各地方厚生局のページで公開されています。

算定までの実務フロー

届出が受理された後、日々の診療で本加算を算定するまでの基本的な流れは次のとおりです。

受付(マイナ保険証の提示案内)
↓
オンライン資格確認(資格情報・診療情報の取得)
↓
診察室等で診療情報を閲覧・活用(取得情報を診療に反映)
↓
診療内容・活用状況をカルテに記録
↓
レセプトに本加算(初診または再診・月1回)を記載

※ 上記フローは届出済み・要件充足を前提とした概略です。電子処方箋・CLINS活用など追加要件(要件8〜10)に係る運用手順、加算1・2の区分判定の詳細は、歯科の保医発(留意事項通知)および各ベンダーのレセコン設定手順でご確認ください。

届出前の確認チェックリスト

  • 【加算1・2共通(基本要件確認)】
    • オンライン請求の実施を確認している
    • 明細書の無償交付を実施している(明細書発行体制等加算は届出していない)
    • オンライン資格確認の体制が整備されている
    • 診察室等でオンライン資格確認の情報を閲覧・活用できる
    • マイナ保険証利用率30%以上の実績がある(算定月の3〜5か月前)
    • 患者の健康管理相談に応じる体制を整備している
    • 医療DX推進体制に関する事項を院内掲示している
    • ウェブサイトへの掲載を行っている(またはR9.5.31までの経過措置を確認している)
  • 【加算2のみ(追加要件確認)】
    • 要件8(電子処方箋)・要件9(電子カルテ)・要件10(CLINS活用等)のうち少なくとも1つを満たしている(計8項目)
  • 【加算1のみ(追加要件確認)】
    • 要件8・9・10のすべてを満たしている(計10項目)

6. 医科版(電子的診療情報連携体制整備加算)との違い

検索意図のミスマッチが最も起きやすいポイントです。「電子的歯科診療情報連携体制整備加算」と医科の「電子的診療情報連携体制整備加算」は、名称・点数・入院加算の有無・届出様式がすべて異なります。歯科の加算1と2の違いを医科の3区分と混同しないよう、対照表で整理します。

項目 歯科版(本記事) 医科版(参考)
正式名称 電子的歯科診療情報連携体制整備加算 電子的診療情報連携体制整備加算
初診点数・区分 加算1=9点/加算2=4点(2区分) 加算1=15点/加算2=9点/加算3=4点(3区分)
再診点数 一律2点(区分なし) 一律2点(区分なし)
入院加算 なし あり(A207-5:加算1=160点、加算2=80点)
対象施設 歯科診療所・歯科病院 一般医療機関(診療所・病院等)
届出様式(別添) 別添7「歯医DX1/歯医DX2」(様式第1-8系) 別添7「外医DX1〜3」(様式第1-7系)
施行日 令和8年(2026年)6月1日 令和8年(2026年)6月1日
医科版記事へのリンク

医科の電子的診療情報連携体制整備加算(初診3区分・入院加算あり)の1・2・3の違いは電子的診療情報連携体制整備加算1・2・3の違い(医科版)で詳しく比較しています。加算の全体像(医療DX加算群の位置づけ・基本要件)は電子的診療情報連携体制整備加算とは(医科版・全体像)をご参照ください。

7. 経過措置スケジュール

本加算の経過措置は「CLINS接続IFの当分の間みなし規定」と「ウェブサイト掲載のR9.5.31まで猶予」の2種類です。

時期 主な事項
2026年3月下旬 令和8年度診療報酬改定の告示・通知公布
2026年4月〜5月初旬 施設基準の確認・届出区分(加算1・2)の選定・書類作成
2026年5月7日 6月1日算定開始のための届出締め切り(必着)
2026年5月31日 歯科医療DX推進体制整備加算・歯科外来診療医療情報活用加算等の廃止
2026年6月1日 電子的歯科診療情報連携体制整備加算の算定開始
2027年5月31日 ウェブサイト掲載の経過措置期限(令和9年5月31日まで猶予)
期限未定(当分の間) CLINS接続IF(要件9ウ)の経過措置継続。地域医療情報連携ネットワーク等で代替みなし。速やかな導入に向けた準備が求められる
ウェブサイト掲載の更新を忘れずに

旧加算名(歯科医療DX推進体制整備加算等)の文言のままウェブサイトや院内掲示を継続している場合、要件7を満たしていないと判断される可能性があります。新加算の名称「電子的歯科診療情報連携体制整備加算」に合わせて記載を更新してください。経過措置期限(令和9年5月31日)を過ぎると、院内掲示のみでは算定が認められず、ウェブサイト掲載が要件となります。

8. よくある算定漏れ・査定パターン

パターン1:「旧加算の届出があるから大丈夫」と思い込む

令和8年5月31日以前に歯科医療DX推進体制整備加算を届け出ていても、令和8年6月1日以降に本加算を算定するには必ず再届出が必要です。届出なしに算定した場合は査定・返還の対象になります。届出期限(5月7日〜6月1日必着)を確認の上、早めに準備してください。

パターン2:医科版と点数・区分を混同する

医科版は初診3区分(15/9/4点)ですが、歯科版は初診2区分(9/4点)です。加算3は歯科には存在しません。「電子的歯科診療情報連携体制整備加算1と2の違い」を確認する際、医科のレセコン設定を参考に歯科の設定を組むと区分数の取り違えが起きやすいので注意が必要です。

パターン3:マイナ保険証利用率の判定時期の誤り

利用率は「算定月の3・4・5か月前」のいずれかで判定します。6月に算定する場合は1〜3月のいずれかの月の実績が必要です。当月や前月の数値を使おうとするのは誤りです。30%を下回る月が続く場合はランクダウンの変更届が必要です。

パターン4:明細書発行体制等加算との重複

本加算と明細書発行体制等加算は同時に算定できません。レセコンで明細書発行体制等加算が自動付与されている場合は、本加算の届出後にベンダーへの設定変更依頼が必要です。

パターン5:初診・再診両方の加算を同月に算定する

初診料の本加算を算定した月は、同月の再診料の本加算は算定できません。逆に再診料の加算を算定した月は初診料の加算が算定できません。同一月内はどちらか一方のみです。

パターン6:ウェブサイト掲載の更新忘れ

旧加算の文言のまま掲載を続けると要件未充足と判断されるリスクがあります。6月1日の施行前に、院内掲示とウェブサイトの記載を新加算名・内容に合わせて更新してください。

9. 関連書式・関連記事

届出サポートのご案内

本加算の届出に際して、当サイトの書式ダウンロードページをご活用ください。診療報酬改定届出書(Excel)は、施設基準届出の補助資料としてご利用いただけます。

届出区分の判断・届出書類の作成・ウェブサイト掲載対応など、電子的歯科診療情報連携体制整備加算の実務でお困りの場合は、お気軽にお問い合わせください。施設の現状をお伺いしたうえで、最適な区分の選定・届出書類の準備をサポートします。

関連記事のご案内

・電子的診療情報連携体制整備加算1・2・3の違い(医科版) — 医科版(初診3区分・入院加算あり)の点数・要件比較
・電子的診療情報連携体制整備加算とは(医科版・全体像と基本要件)
・歯科医療機関連携加算1と2の違い(医科側B009 注14・15) — 医科側が歯科に紹介した際に算定する100点加算の比較
・令和8年度診療報酬改定|DX施設基準まとめ — 医療DX関連加算の全体像
・一般名処方マスタ対応2026 — 同時期に対応が必要な改定事項

まとめ

電子的歯科診療情報連携体制整備加算は、令和8年6月1日から歯科診療所・歯科病院で算定が始まる新設加算です。「加算1と2の違い」を中心に、重要なポイントをあらためて整理します。

  • 歯科は初診2区分のみ:加算1=9点・加算2=4点(医科の3区分15/9/4点とは別物)
  • 再診一律2点・入院加算なし:再診は区分なし、入院加算は設定されていない
  • 加算1と2の違いは追加要件の充足範囲:加算1は基本要件(1)〜(7)+追加要件(8)〜(10)をすべて満たす計10項目、加算2は基本要件(1)〜(7)+追加要件(8)〜(10)のいずれか1項目の計8項目
  • 旧加算からの自動移行はなし:令和8年5月7日〜6月1日(必着)に再届出が必要
  • マイナ保険証利用率30%が前提:算定月より3〜5か月前の実績で判定(先行対応が必要)
  • 経過措置は2種類:CLINS接続IF(当分の間みなし)とウェブ掲載(令和9年5月31日まで猶予)

歯科診療所の規模やDX整備状況に応じて加算1・2のいずれかを選定し、届出期限に遅れないよう準備を進めてください。点数・要件の最終確認は、厚生労働省の歯科診療報酬点数表告示・保医発および管轄地方厚生局の最新様式でお願いします。

参考文献

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html)
  • 厚生労働省告示第71号「歯科診療報酬点数表」(令和8年)
  • 厚生労働省 通知「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(歯科)」医政発0305第8号(令和8年3月5日)
  • 厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会「令和8年度診療報酬改定答申書」(令和8年2月)
  • 東海北陸厚生局「令和8年度 基本診療料の施設基準等届出一覧(歯科)」(https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/shinsei/shido_kansa/shitei_kijun/kihon_shinryo_r08.html)
  • 厚生労働省「電子カルテ情報共有サービス(CLINS)」関連通知・運用要領