歯科医療機関連携加算1・2は、医科病院や診療所が歯科医療機関に患者を紹介した際に算定する加算で、いずれも100点です(医科点数表 B009 注14・注15)。加算1は口腔機能管理の必要があり紹介した場合、加算2は周術期等で口腔機能管理が必要かつ歯科受診日を予約した場合に算定します。両加算は同一月・同一患者で併算定可能で、同一法人内の歯科への紹介でも算定対象です。本記事では両加算の違い・算定要件・併算定可否・混同しやすい類似加算との違いを厚労省告示・通知ベースで解説します。

1. 結論|1分で分かる歯科医療機関連携加算1と2の違い

ポイント:加算1と加算2の核心的な違い

✓ 加算1(100点):口腔機能管理の必要を認め紹介。予約不要
✓ 加算2(100点):周術期等の口腔機能管理が必要かつ歯科受診日を予約して紹介
✓ 両加算は併算定可能(同日でも可・それぞれ患者1人月1回まで)
✓ いずれも医科側で算定(歯科診療を行う保険医療機関は算定不可)

2. 歯科医療機関連携加算1・2の基本情報

項目 内容
区分番号 医科点数表 第2章 第1部 B009「診療情報提供料(Ⅰ)」
注14(加算1)/注15(加算2)
点数 加算1:100点/加算2:100点
新設時期 令和6年度(2024年)改定で新設、令和8年度改定で維持
算定主体 医科側の保険医療機関(病院・診療所、歯科診療を行う保険医療機関を除く)
算定回数 患者1人につき月1回
施設基準・届出 不要(B009本体の算定要件を満たせば算定可)
📌 注意:歯科側のB009 注14・15は存在しない

「歯科医療機関連携加算1・2」は医科点数表のみに規定された加算で、歯科点数表側のB009(歯科診療情報提供料)には注14・15はありません。歯科側で算定するのは「電子的歯科診療情報連携体制整備加算」「周術期口腔機能管理料 I・II・III」など別の加算となります。

3. 加算1と加算2の詳細比較

項目 歯科医療機関連携加算1 歯科医療機関連携加算2
対象患者 口腔機能の管理が必要と認められる患者 周術期等における口腔機能管理が必要な患者
連携先 歯科診療を行う他の保険医療機関 歯科を標榜する他の保険医療機関
紹介状(情報提供) 必須 必須
患者同意 必須 必須
特有の追加要件 なし 歯科受診日の予約を行うこと(最大の違い)
点数 100点 100点
算定回数 患者1人につき月1回 患者1人につき月1回

違いの核心

  • 加算1:口腔機能管理一般の連携評価
  • 加算2:周術期口腔管理に特化+予約付き連携の追加評価

4. 加算1と加算2の併算定可否(重要)

結論:加算1と加算2は併算定可能(同日・同一月でも可)

B009 本文・注14・注15 のいずれにも「加算1と加算2の重複算定不可」とする規定はありません。両要件を満たせば、同一月内に両方を1回ずつ算定できます。

算定パターンの例

シナリオ 算定可否 合計点数
同一月内、別の目的で2回の歯科紹介
(月初:口腔機能管理目的/月中:周術期管理目的・予約あり)
✅ 加算1 + 加算2 併算定可 200点
周術期管理目的で歯科に紹介(予約あり) ✅ 加算2 算定 100点
口腔機能管理目的のみで歯科に紹介(予約なし) ✅ 加算1 算定 100点
同一加算(例:加算1)を同一月内に2回算定 ❌ 月1回まで(2回目は算定不可) 100点のみ
📌 実務上の運用

多くの場合、紹介の目的に応じて加算1または加算2のいずれか一方を選択します。ただし、同一患者でも紹介目的が明確に異なる別の紹介を行う場合(例:定期口腔管理目的の歯科紹介の後、別途手術前の周術期口腔管理目的で予約付き紹介を行う)、両加算とも算定可能です。

5. 算定対象患者の具体例

パターン1:周術期口腔管理(典型例 → 加算2)

  • 状況:がん手術予定患者の術前リスク評価
  • 対応:担当医が近隣歯科診療所に受診予約を入れ、紹介状を提出
  • 算定:歯科医療機関連携加算2(100点)
  • 補足:術後継続連携で月をまたぐ場合、翌月に再度算定可

パターン2:認知症患者の口腔管理連携(→ 加算1)

  • 状況:入院中の認知症患者の口腔状態悪化を認識
  • 対応:退院時に歯科訪問診療を行う近隣歯科診療所へ紹介状を送付(予約なし)
  • 算定:歯科医療機関連携加算1(100点)

パターン3:在宅療養患者の歯科訪問連携(→ 加算1)

  • 状況:在宅医が口腔ケアニーズを認める
  • 対応:地域の在宅歯科医師へ紹介状を送付
  • 算定:歯科医療機関連携加算1(100点・予約なし運用のため)

パターン4:両加算の併算定例

  • 状況:同一月内、同一患者の2回連携
  • 対応:
    • 月初:口腔機能管理目的で歯科A診療所へ紹介(予約なし)→ 加算1(100点)
    • 月中:周術期管理目的で別の歯科B診療所へ紹介(予約あり)→ 加算2(100点)
  • 合計:200点

6. 令和8年度改定での扱い

加算1・2 自体の変更

項目 令和6年度(新設) 令和8年度
点数 100点 100点(変更なし)
算定要件 —(新設) 変更なし
施設基準 不要 不要(変更なし)

関連する変更

令和8年度改定では、「入院時口腔管理連携加算(A233-3)」等の施設基準において、「歯科医療機関連携加算1 の算定実績」が必要条件として加えられたケースがあります。病院の施設基準に間接的に影響する場合がありますので、関連加算の届出時には事務連絡・疑義解釈で確認してください。

7. 混同されやすい類似加算との違い

7-1. 「歯科医療機関連携加算3」は存在しない

B009 の注は 14・15のみです。「加算3」と呼ばれる項目はB009には存在しません。誤解されやすい名称ですが注意してください。

7-2. 歯科医療機関連携強化加算(令和8年度新設・別加算)

令和8年度に新設された「歯科医療機関連携強化加算」は、「歯科医療機関連携加算1・2」とは別物の加算です。詳細な要件は厚労省通知でご確認ください。

7-3. 歯科診療特別対応加算との違い

項目 歯科医療機関連携加算1・2 歯科診療特別対応加算
算定主体 医科側(B009付随) 医科側(初・再診料注)
点数 100点 175点〜500点
対象 口腔機能管理需要患者 歯科受診が著しく困難な患者(障害者・認知症等)
性質 紹介連携の評価 困難ケース連携の評価

7-4. 電子的歯科診療情報連携体制整備加算との違い(令和8年度新設・歯科側)

電子的歯科診療情報連携体制整備加算は歯科側の加算(初・再診料に算定)で、医療DX体制(マイナ保険証利用等)の評価です。点数は初診時9点/4点、再診時2点。歯科医療機関連携加算1・2 とは目的・対象・算定主体が全く異なります。詳細は「電子的歯科診療情報連携体制整備加算1・2の違い」をご参照ください。

7-5. 周術期口腔機能管理料 I・II・III との違い

周術期口腔機能管理料は歯科側が、医科からの依頼に基づき管理計画を策定・実施した場合に算定する管理料です。医科側の「加算2(周術期)」と歯科側の「周術期口腔機能管理料」はセットで運用されるケースが多くあります。

7-6. 在宅患者歯科治療総合医療管理料(45点)との違い

歯科側の在宅医療管理料の1つで、紹介加算とは無関係です。歯科医療機関連携加算1・2 と混同しないでください。

8. 算定上の留意点・誤算定パターン

8-1. 同一法人内の歯科への紹介でも算定可

医科病院から同一法人内の歯科診療所へ紹介する場合でも、「他の保険医療機関」として紹介扱いで算定対象になります(地方厚生局確認例あり)。ただし、同一保険医療機関内の歯科部門への紹介は対象外です(同一医療機関内はB009本体も算定不可)。

8-2. 紹介状の記載要件

  • B009本体と同様、患者の診療経過・診療情報を記載
  • 患者(または家族)の同意取得を明記
  • 口腔機能管理の必要性に言及(推奨)
  • 加算2 の場合は受診予約日を記載

8-3. 算定タイミング

  • 紹介状を作成・送付した月に算定
  • 入院中に紹介 → 退院月までに算定
  • 月末締めで処理

8-4. 算定不可なケース

  • 紹介せず患者が自ら別医院に受診した場合
  • B009本体の算定要件を満たさない場合
  • 同一保険医療機関内の歯科部門への紹介

8-5. 同一月内の重複算定

  • 同一加算(加算1または加算2の単体)は月1回まで
  • 加算1と加算2の組み合わせは併算定可
  • 同一紹介先・同一目的での月内2回算定は不可

9. よくある質問(Q&A)

Q1. 歯科医療機関連携加算1と加算2の最大の違いは何ですか?

A. 算定対象と紹介時の予約有無です。加算1は口腔機能管理一般が必要な患者を歯科に紹介した場合(予約不要)、加算2は周術期等の口腔機能管理が必要な患者を歯科受診日の予約を行った上で紹介した場合に算定します。点数はどちらも100点です。

Q2. 加算1と加算2は同一月の同じ患者で併算定できますか?

A. はい、併算定可能です。B009 本文・注14・注15 のいずれにも併算定不可の規定はなく、両要件を満たせば同一月内に両方を1回ずつ算定できます。同日に併算定することも可能です。

Q3. 加算1・2 は歯科診療所でも算定できますか?

A. いいえ、算定できません。歯科医療機関連携加算1・2 は医科点数表のみに規定された加算で、歯科診療を行う保険医療機関は算定主体から除外されています。歯科側で算定するのは「電子的歯科診療情報連携体制整備加算」「周術期口腔機能管理料 I・II・III」などです。

Q4. 同一法人内の歯科への紹介でも算定できますか?

A. はい、算定対象になります。同一法人内であっても「他の保険医療機関」として紹介扱いで算定可能です(地方厚生局確認例あり)。ただし、同一保険医療機関内の歯科部門への紹介は対象外です。

Q5. 加算1・2 と「電子的歯科診療情報連携体制整備加算」の違いは何ですか?

A. 算定主体と評価対象が全く異なります。歯科医療機関連携加算1・2 は医科側が紹介連携を行った際の評価(100点・B009付随)です。一方、電子的歯科診療情報連携体制整備加算は歯科側がマイナ保険証等の医療DX体制を整備した場合の評価(初診9点/4点・再診2点・初再診料に算定)で、令和8年度新設の別系統の加算です。

Q6. 令和8年度改定で点数や要件は変わりましたか?

A. 変更ありません。歯科医療機関連携加算1・2 は令和6年度改定で新設され、令和8年度改定でも点数100点・算定要件・施設基準(不要)のすべてが維持されています。ただし、入院時口腔管理連携加算(A233-3)等の施設基準で「加算1の算定実績」が必要条件となるケースがあるため、関連加算届出時には注意が必要です。

10. まとめ

記事のポイント

✓ 歯科医療機関連携加算1・2 は医科点数表 B009 注14・注15に規定(歯科側には存在しない)
✓ 両加算とも100点・月1回、令和6年度新設・令和8年度維持
✓ 加算1:口腔機能管理(予約不要)/加算2:周術期+予約必須
✓ 両加算は併算定可能(同日・同一月でも可)
✓ 同一法人内歯科への紹介でも算定可(同一医療機関内は不可)
✓ 歯科側の「周術期口腔機能管理料 I・II・III」とセット運用が多い

参考文献

  • 令和6年厚生労働省告示第57号(医科点数表)— 令和6年3月5日(B009 注14・注15 新設)
  • 令和8年厚生労働省告示第69号(医科点数表)— 令和8年3月5日(維持)
  • 保医発0305第6号(診療報酬の算定方法の一部改正等に伴う実施上の留意事項について)— 令和8年3月5日
  • 令和8年度疑義解釈資料(その1〜)— 令和8年3月23日〜
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」— https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html

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