歯科の読者の方から「電子的歯科診療情報連携体制整備加算の算定について詳しく知りたい」というご質問をいただきました。本記事は、届出が受理された後の日々の算定実務——初診・再診での算定ルール(月1回の数え方)、同月に初診と再診がある場合、歯科訪問診療の扱い、レセプトまわり——を、歯科点数表の告示(注)の原文に基づいて整理します。

加算1と2の違い・施設基準・届出様式(歯医DX1/DX2)については「電子的歯科診療情報連携体制整備加算1と2の違い」をご覧ください。本記事は「算定編」です。

対象施設:歯科診療所・歯科を有する病院/情報時点:令和8年7月12日

算定ルール早見表

初診時 加算1=9点/加算2=4点(歯科初診料 注14)。月1回に限り加算
再診時 2点(区分なし・歯科再診料 注11)。月1回に限り加算
入院 入院加算の設定なし(医科と異なる点)
同月の初診+再診 初診料の加算を算定した月は、同月の再診料の加算は算定できません(両方は取れない・医科と同型の排他構造)
算定単位 患者ごと・暦月ごとに1回(医療機関単位の届出区分に基づく)

1. 算定の前提——届出が受理されていること

  • 本加算は施設基準の届出制です。旧・歯科医療DX推進体制整備加算等を届け出ていた場合でも自動移行はなく、改めて本加算の届出が必要です(疑義解釈その1 問3の整理。詳細は「医療DX推進体制整備加算の廃止と移行まとめ」)
  • 当初の届出期限(令和8年6月1日必着)を過ぎた場合も届出は可能で、受理された月の翌月1日から算定できます(遡及不可)。未届出のまま算定すると返還対象になります
  • 要件・区分の判定・届出様式(歯医DX1/DX2)は「1と2の違い(届出編)」を参照してください

2. 日々の算定フロー

  1. 受付——マイナ保険証の利用を案内し、オンライン資格確認を実施
  2. 診療——取得された診療情報・薬剤情報等を閲覧・活用して診療を行う
  3. 記録——診療情報を活用した旨をカルテに記録(活用の実態が算定の裏付けになります)
  4. 会計・レセプト——初診なら届出区分の加算(9点/4点)、再診なら2点を、それぞれ月1回を上限に算定

3. ケース別の算定可否

ケース取扱いポイント
同月に初診→再診と続いた 初診時の加算(9点/4点)のみ。同月の再診料の加算(2点)は算定不可 初診加算を算定した月はレセコンで再診加算が立たないよう設定確認を
再診のみの月 再診料の加算2点を月1回算定 同月2回目以降の再診には加算されません
月が変わった 暦月ごとにリセット。翌月の最初の初診または再診で改めて算定 ―
患者がマイナ保険証を使わなかった 患者個々のマイナ利用は算定の条件ではありません。施設基準(届出区分)を満たしている限り算定できます マイナ保険証利用率30%は「施設基準側」の要件(月次モニタリング対象)
歯科訪問診療の患者 本加算は歯科初診料・歯科再診料の加算のため、歯科訪問診療料の算定時には加算されません 在宅側には別に「在宅医療DX情報活用加算」(歯科訪問診療の加算・月1回)の仕組みがあります。要件・点数は告示・最新の留意事項通知でご確認ください

カルテ記録のコツ:「オン資で取得した薬剤情報を確認し、抗血栓薬の服用を踏まえて観血処置の止血方針を検討した」のように、何を取得し、どう診療に活かしたかを一言残しておくと、適時調査・個別指導の際の説明が容易になります(記載例は架空のものです)。

4. マイナ保険証利用率が下がったとき——区分変更・辞退

  • マイナ保険証利用率30%以上は全区分共通の施設基準です。利用率が基準を割り込み要件を満たさなくなった場合は、速やかに区分変更または辞退の届出を管轄の地方厚生局へ提出してください
  • 要件を満たさないまま上位区分の請求を続けると、不当請求として事後返還の対象になり得ます
  • 利用率の算定期間(対象月)の考え方は、最新の施設基準通知・疑義解釈でご確認ください(「疑義解釈まとめ(その1〜9)」に関連問答を整理しています)

5. レセプト実務の注意

  • 初診の加算は届出した区分(加算1または2)で算定します。届出と異なる区分での請求は返戻・査定の対象です
  • レセプト電算処理コードの設定・摘要欄の記載要否は、レセコンベンダーの改定対応資料と審査支払機関の記載要領でご確認ください
  • 月1回制限はレセコンの自動チェックに頼りすぎず、月初の算定漏れ・月内の重複算定を点検リストに入れておくと安全です

FAQ|よくある質問

Q1. 同じ月に初診と再診があった場合、加算は両方算定できますか?

できません。初診料の加算(9点/4点)を算定した月は、同月の再診料の加算(2点)は算定できない排他構造です。初診加算のみを算定します。

Q2. 「月1回」はどの単位で数えますか?

暦月・患者ごとに1回です。月が変われば、その月の最初の初診または再診で改めて算定できます。

Q3. 歯科訪問診療では算定できますか?

本加算は歯科初診料・歯科再診料に対する加算のため、歯科訪問診療料の算定時には加算できません。在宅分野には別に「在宅医療DX情報活用加算」(歯科訪問診療の月1回の加算)の仕組みがあります。対象・要件が異なるため、算定を検討する場合は告示・留意事項通知の原文でご確認ください。

Q4. 患者さんがマイナ保険証を使ってくれない場合、その患者には算定できませんか?

算定できます。患者個々のマイナ保険証利用は算定の条件ではなく、届出した施設基準(体制)に対する加算です。ただし施設基準側にマイナ保険証利用率30%以上の要件があるため、施設全体の利用率向上の取組(声かけ・掲示)は継続してください。

Q5. 加算1で届け出ましたが、要件を満たせなくなりました。どうすればよいですか?

速やかに区分変更(加算1→2)または辞退の届出を管轄の地方厚生局へ提出してください。要件を欠いたまま上位区分で請求を続けると、事後返還の対象になり得ます。変更後の算定開始時期は厚生局の案内に従ってください。

参考文献・出典

  • 令和8年度診療報酬改定 歯科点数表(歯科初診料 注14・歯科再診料 注11——電子的歯科診療情報連携体制整備加算「月1回に限り」の規定)
  • 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(保医発0305・令和8年3月5日)
  • 厚生労働省 疑義解釈資料(その1 問2・問3 ほか)
  • 当サイト「電子的歯科診療情報連携体制整備加算1と2の違い(届出編)」

※ 本記事は令和8年7月12日時点の告示・通知に基づく整理です。レセプト記載の細目・個別ケースの算定可否は、審査支払機関の記載要領および管轄の地方厚生局でご確認ください。