読者の方から「今回改定された地域支援外来医薬品供給対応体制加算の届出書を探しているが、出てこない」というご質問をいただきました。結論から言うと、この加算の届出様式は特掲診療料の「様式38の3」(別添2と併せて提出)で、各地方厚生局の「特掲診療料の届出様式(令和8年度)」ページに加算名ではなく様式番号で掲載されています。本記事では、令和8年度改定で新設された本加算の位置づけ・算定要件・様式38の3の書き方を医科向けに整理します。
対象施設:診療所・病院(医科・外来)/情報時点:令和8年7月15日
⚠️ 名前がよく似た「別の加算」があります(お探しなのはどちら?)
- 医科(医療機関):地域支援・外来医薬品供給対応体制加算(1〜3)=本記事。届出は様式38の3
- 薬局(調剤):地域支援・医薬品供給対応体制加算(1〜5)=調剤基本料の加算。届出は様式87の3系 →「薬局向け解説はこちら」
検索するとこの2つが混ざって表示されるため、「届出書が見つからない」というお問い合わせが多い加算です。
この記事の3行まとめ
- 外来後発医薬品使用体制加算(廃止)の後継。点数は据え置き(1=8点/2=7点/3=5点)で、医薬品の安定供給に対応する体制の要件が加わった
- 区分は後発医薬品の使用割合で決まる:加算1=90%以上/加算2=85%以上90%未満/加算3=75%以上85%未満
- 届出は様式38の3+別添2。厚生局ページでは加算名で探さず「38の3」で探す
1. どんな加算か——外来後発品加算の後継+供給不安対応
後発医薬品の使用が定着する一方で、供給不安(出荷調整・限定出荷)により医療機関に追加業務が生じている状況を踏まえ、令和8年度改定で「医薬品の安定供給に資する体制を有する医療機関」への評価として新設されました。同時に、従来の外来後発医薬品使用体制加算は廃止されています。
| 改定前(〜令和8年5月) | 改定後(令和8年6月〜) |
|---|---|
| 外来後発医薬品使用体制加算1(8点) | 地域支援・外来医薬品供給対応体制加算1(8点) |
| 外来後発医薬品使用体制加算2(7点) | 地域支援・外来医薬品供給対応体制加算2(7点) |
| 外来後発医薬品使用体制加算3(5点) | 地域支援・外来医薬品供給対応体制加算3(5点) |
旧加算を届け出ていた場合も、新加算の届出が必要です。加算の名称・要件が変わった新設加算のため、様式38の3による届出を改めて行ってください。期限後の届出でも、受理された月の翌月1日(月の最初の開庁日に受理された場合はその月の1日)から算定できます。
2. 施設基準——「後発品の使用促進」+「供給不足への対応」の二本柱
(1)区分を決める要件:後発医薬品の使用割合
院内で調剤した「後発医薬品のある先発医薬品+後発医薬品」の規格単位数量に占める後発医薬品の割合で区分が決まります。
| 区分 | 点数 | 後発医薬品の使用割合 |
|---|---|---|
| 加算1 | 8点 | 90%以上 |
| 加算2 | 7点 | 85%以上90%未満 |
| 加算3 | 5点 | 75%以上85%未満 |
割合の算出方法(対象となる後発医薬品の範囲)は「新指標の割合の算出に当たって対象となる後発医薬品等について」(保医発0305第12号・令和8年3月5日)に従います(様式38の3の記載上の注意にも明記)。
(2)共通の体制要件(主なもの)
- 後発医薬品の採用体制——診療所では薬剤部門または薬剤師が、後発医薬品の品質・安全性・安定供給体制等の情報を収集・評価し、その結果を踏まえて採用を決定する体制があること(検討する委員会等の概要は届出時に添付)
- 掲示(2種類)——①後発医薬品の使用に積極的に取り組んでいる旨、②供給不足時の対応体制に関する事項+供給状況によって投与する薬剤が変更となる可能性があること・変更する場合は患者に十分説明すること、をそれぞれ院内掲示
- 供給不足時の対応体制——医薬品の供給が不足した場合に、処方等の変更等に関して適切な対応ができる体制(様式の注:これが「4 医薬品の供給に係る体制」欄の意味です)
- 流通改善への協力——価値・流通コストを無視した値引き交渉を慎む/原則すべての品目で単品単価交渉/卸への頻回配送・休日夜間配送・急配の過度な依頼を慎む/厳格な温度管理を要する医薬品等の返品を慎む
- 平時から地域の医療機関・薬局・医療関係団体と品目の情報共有等に取り組むことが望ましい(努力規定)
3. 届出書はここにある——様式38の3の探し方
- 管轄の地方厚生局サイトで「特掲診療料の届出様式(令和8年度診療報酬改定)」のページを開く(近畿厚生局の場合:施設基準等の届出について(令和8年度)→ 特掲診療料の届出様式)
- ページ内をブラウザの検索機能(Ctrl+F)で「38の3」と検索する——加算名では載っていないことが多いため、様式番号で探すのがコツです
- 「別添2(特掲診療料の施設基準等に係る届出書・表紙)」と「様式38の3(添付書類)」をダウンロードし、両方を提出する。届出番号の略号は「地外薬供」です
4. 様式38の3の書き方(実物の構成に沿って)
| 欄 | 記載する内容 | 実務メモ |
|---|---|---|
| 1 届出を行う区分 | 加算1・2・3のいずれか1つに○ | 直近の使用割合(下の「3」欄)と整合させる |
| 2 後発医薬品の使用を促進するための体制の整備 | 品質・安全性・安定供給体制等の情報を入手・評価する手順 | 採用を検討する委員会等の概要(名称・目的・構成員の職種氏名・検討内容・開催回数等)を添付(記載上の注意1) |
| 3 医薬品の使用状況 | 届出前3か月(開始年月〜終了年月)の①後発品あり先発+後発の規格単位数量 ②後発品の規格単位数量 ③割合(②/①) | 「規格単位数量」は薬価基準別表の規格単位ごとに数えた数量。レセコン・薬剤部門の帳票が月別に出る場合は3か月分を通算して①②を算出(算出ルールは保医発0305第12号)。端数・対象範囲で迷ったら管轄厚生局へ |
| 4 医薬品の供給に係る体制 | 供給不足時に適切に対応する体制の有無(1:有に○)/単品単価交渉の状況(□原則全ての品目について実施) | 「有」に○できる実態(対応手順・掲示)を先に整えてから届出 |
届出前チェック:①使用割合が区分の閾値を満たしているか(直近3か月)②委員会等の概要書類を用意したか ③2種類の掲示を院内に掲出したか ④供給不足時の対応手順を決めたか——この4点が揃ってから提出するとスムーズです。施設基準の掲示全般は「施設基準のウェブサイト掲載義務」も参考にしてください。
5. 算定・運用の注意
- 使用割合は変動します。区分の閾値を下回った場合は区分変更(または辞退)の届出が必要です。月次で割合をモニタリングする運用を(届出・報告の年間管理に組み込むと漏れません)
- 供給不足による処方変更の際は、掲示のとおり患者への十分な説明を行い、経緯をカルテに残しておくと適時調査・個別指導時の説明が容易です
- 一般名処方との関係:供給不安対応としての一般名処方の運用は「一般名処方マスタの解説」を参考にしてください
FAQ|よくある質問
Q1. 届出書(様式)が厚生局のサイトで見つかりません。
特掲診療料の「様式38の3」+「別添2」です。厚生局の一覧ページは加算名ではなく様式番号ベースのため、ページ内検索で「38の3」と探してください。届出番号の略号は「地外薬供」です。
Q2. 旧・外来後発医薬品使用体制加算を届け出ていました。そのまま算定を続けられますか?
旧加算は廃止されています。本加算は名称・要件が変わった新設加算のため、様式38の3による届出が改めて必要です。期限後でも届出でき、受理月の翌月1日から算定できます。
Q3. 使用割合はどの期間で計算しますか?
様式38の3では「届出前3か月」(開始年月〜終了年月を記載)の実績で、①後発品あり先発+後発の規格単位数量、②後発品の規格単位数量、③割合(②/①)を記載します。対象となる後発医薬品の範囲・算出方法は保医発0305第12号(令和8年3月5日)に従ってください。
Q4. 薬局向けの「地域支援・医薬品供給対応体制加算」とは何が違いますか?
別の加算です。本記事の加算は医科(医療機関・外来)の初診料等に係る体制加算で様式38の3、薬局向けは調剤基本料の加算(1〜5区分・様式87の3系)です。薬局向けは別記事で解説しています。
参考文献・出典
- 令和8年度診療報酬改定 改定説明資料「地域支援・外来医薬品供給対応体制加算の新設」(新旧対照・主な施設基準)
- 特掲診療料 様式38の3「地域支援・外来医薬品供給対応体制加算の施設基準に係る届出書添付書類」(地方厚生局配布・原文確認済み)
- 「新指標の割合の算出に当たって対象となる後発医薬品等について」(保医発0305第12号・令和8年3月5日)
- 近畿厚生局「施設基準等の届出について(令和8年度診療報酬改定)」
※ 本記事は令和8年7月15日時点の公表資料に基づく解説です。様式の最新版・記載の細目・使用割合の算出方法は、必ず管轄の地方厚生局および保医発通知の原文でご確認ください。