令和8年度調剤報酬改定で、薬局の地域支援体制加算(1〜4)と後発医薬品調剤体制加算(1〜3)が統合・再編され、「地域支援・医薬品供給対応体制加算(1〜5)」が新設されました。本記事では、新しい5区分の点数と要件の二層構造、旧加算との対応関係、経過措置、届出のポイントを薬局向けに整理します。

対象施設:保険薬局/情報時点:令和8年7月15日

⚠️ 名前がよく似た「別の加算」があります(お探しなのはどちら?)

  • 薬局(調剤):地域支援・医薬品供給対応体制加算(1〜5)=調剤基本料の加算・本記事。届出は様式87の3系
  • 医科(医療機関):地域支援・外来医薬品供給対応体制加算(1〜3)=外来後発医薬品使用体制加算の後継。届出は様式38の3 →「医科向け解説はこちら」

この記事の3行まとめ

  • 構造は二層:土台の加算1(27点)=医薬品の安定供給体制(後発調剤割合85%以上+分譲実績等)、その上に加算2〜5=旧・地域支援体制加算1〜4の地域貢献要件を積む
  • 点数は加算1=27点/2=59点/3=67点/4=37点/5=59点(2〜5は「旧地域支援の点数+27点」の構造)
  • 経過措置あり:令和8年3月31日時点で後発医薬品調剤体制加算1〜3を届出済みの薬局は、令和9年5月31日まで後発割合要件をみなし

1. 何がどう統合されたのか

従来は「地域支援体制加算(地域医療への貢献)」と「後発医薬品調剤体制加算(後発品の使用促進)」が別立てでしたが、後発品の供給不安への対応も含めた「医薬品の安定供給」を土台の評価(加算1)として独立させ、その上に地域貢献の評価(加算2〜5)を重ねる形に再編されました。

新区分点数対象(調剤基本料)旧加算との対応
加算1(新設・土台) 27点 全薬局共通 後発医薬品調剤体制加算(廃止)の後継+安定供給体制の評価
加算2 59点 調剤基本料1 旧・地域支援体制加算1(32点)+加算1要件
加算3 67点 調剤基本料1 旧・地域支援体制加算2(40点)+加算1要件
加算4 37点 調剤基本料1以外 旧・地域支援体制加算3(10点)+加算1要件
加算5 59点 調剤基本料1以外 旧・地域支援体制加算4(32点)+加算1要件

加算2〜5の点数が「旧地域支援体制加算の点数+27点」になっているのが二層構造の表れです(例:旧加算1の32点+27点=加算2の59点)。

2. 土台となる加算1(27点)の要件——医薬品の安定供給体制

  • 後発医薬品の調剤割合85%以上(規格単位数量ベース)
  • 計画的な調達・在庫管理の実施
  • 他の保険薬局への医薬品の分譲実績(同一グループの薬局は除く)
  • 供給不安時の対応——患者への他薬局の紹介、または処方医への変更照会等の対応
  • 供給の確保が重要な医薬品について約1か月分の備蓄に努める
  • 流通改善——原則すべての品目で単品単価交渉/卸への過度な頻回・休日夜間配送依頼を慎む/返品を慎む

経過措置:令和8年3月31日において現に後発医薬品調剤体制加算1・2・3の届出を行っている薬局は、令和9年5月31日までの間、後発割合の要件(イ)に該当するものとみなされます。みなし期間中に85%到達への取組を進めてください(詳細は告示・経過措置規定の原文で要確認)。

3. 加算2〜5の要件——旧・地域支援体制加算の実績要件を継承

  • 加算2〜5は、加算1の要件を満たしたうえで、旧・地域支援体制加算1〜4から引き継がれた地域医療への貢献の実績要件(在宅薬剤管理・かかりつけ薬剤師・服薬情報等提供・休日夜間対応などの項目群)を満たす必要があります
  • 必要な実績の数は区分により異なります(指定項目を含む3項目以上、または7項目以上など)。実績項目の内訳・基準値は告示と届出様式で必ず確認してください(旧加算から基準値が見直された項目があります)
  • 調剤基本料1の薬局は加算2・3、それ以外(基本料2・3等)の薬局は加算4・5が対象です

4. 届出のポイント

  • 届出様式は様式87の3の1・様式87の3の2(別添2と併せて提出)。管轄の地方厚生局「調剤の届出様式(令和8年度)」ページで、様式番号で探すのが確実です
  • 旧・地域支援体制加算/後発医薬品調剤体制加算を届け出ていた薬局も、新加算としての届出が必要です(経過措置は後発割合要件のみなしであって、届出そのものの免除ではない点に注意。取扱いは管轄厚生局で要確認)
  • 期限後の届出でも、受理された月の翌月1日(月初開庁日受理はその月の1日)から算定できます
  • 実績要件(在宅・かかりつけ等)は前年実績で判定するものが中心のため、毎月の実績集計を年間管理に組み込みましょう(「届出・報告 年間スケジュール」の管理カレンダーが使えます)

5. 実務への影響——「分譲」と「単品単価交渉」が新しい宿題

  • 他薬局への分譲実績は多くの薬局にとって新規の要件です。地域の薬剤師会・近隣薬局との融通のルートを平時から作っておくことが、要件充足と地域の供給不安対応の両方に効きます
  • 単品単価交渉(原則全品目)は卸との価格交渉の見直しを伴います。総価取引からの移行は時間がかかるため、契約更改のタイミングで計画的に
  • 供給不安時の対応(他薬局紹介・処方変更照会)の手順は、スタッフ誰でも動けるよう文書化を。医科側の対応体制は「医科向け解説」を参照(処方元との連携がスムーズになります)

FAQ|よくある質問

Q1. 旧・地域支援体制加算はもう算定できませんか?

令和8年度改定で地域支援・医薬品供給対応体制加算(1〜5)に再編されました。旧区分のまま算定を続けることはできず、新加算の要件確認と届出(様式87の3系)が必要です。

Q2. 加算1だけを算定することはできますか?

できます。加算1(27点)は医薬品の安定供給体制のみを独立して評価する区分で、全薬局が対象です。地域貢献の実績要件を満たせる薬局は加算2〜5(加算1の要件を内包)を届け出ます。

Q3. 後発医薬品の調剤割合が85%に届いていません。

令和8年3月31日時点で後発医薬品調剤体制加算1〜3を届け出ていた薬局は、令和9年5月31日までの間、後発割合要件がみなしとなる経過措置があります。みなし期間中に85%到達の取組を進めてください(経過措置の適用条件は告示原文・管轄厚生局でご確認ください)。

Q4. 医科の「地域支援・外来医薬品供給対応体制加算」と同じものですか?

別の加算です。本記事の加算は薬局の調剤基本料に係る加算(1〜5・様式87の3系)、医科向けは医療機関の外来に係る加算(1〜3・8/7/5点・様式38の3)です。名称が酷似しているため、届出様式を探す際はご注意ください。

参考文献・出典

  • 令和8年度調剤報酬改定 告示・「調剤報酬点数表に関する事項」(地域支援・医薬品供給対応体制加算)
  • 調剤の届出様式(様式87の3の1・様式87の3の2)——地方厚生局配布
  • 経過措置:令和8年3月31日時点の後発医薬品調剤体制加算届出薬局に係るみなし規定(令和9年5月31日まで)

※ 本記事は令和8年7月15日時点の公表資料に基づく整理です。実績要件の項目・基準値・経過措置の適用条件は、必ず告示・通知の原文および管轄の地方厚生局でご確認ください。