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介護業務を効率化するツールまとめ|介護ソフト比較【中小施設向け2026年版】

2026/4/21|medicalcare-support編集部

介護業務を効率化するツールはなぜ必要か——記録・シフト・連絡に追われる現場

入居者の介護記録をメモして、帰りに介護日誌に転記して、さらに支援経過に写して、月末は請求データに入力し直す。——そんな「何度も書く」作業を毎日続けていませんか?介護業務を効率化するツールの活用は、こうした二重・三重の転記から現場を解放するための第一歩です。

厚生労働省の調査によると、施設系介護職員が1日の記録・文書作成・連絡調整に費やす時間は平均38〜60分にのぼります。ICT未導入の施設では、記録業務だけで1日41〜62分かかっているという実証データもあります。

「ツールを導入したいが、どれを選べばいいかわからない」「費用が高そうで踏み切れない」——そのような声をよく聞きます。この記事では、介護記録システム・介護シフト管理ツール・スタッフ連絡ツールといった業務カテゴリごとの選び方と、中小施設向けの介護ソフト比較をわかりやすくまとめています。

介護現場でよくある3つの業務課題

課題1:業務ごとにバラバラなツールが乱立している

記録は紙、シフトはExcel、連絡は個人のLINE、請求は別ソフト——という状態の施設は少なくありません。ツールが分断されていると、同じ情報を複数箇所に入力する「二重・三重の転記」が常態化します。これが職員の時間と集中力を奪う大きな原因です。

課題2:導入コストと現場の負担感がネックになっている

「費用が高そう」「うちの施設には大げさかも」と感じて導入を見送るケースがあります。しかし、中小施設向けの低コストプランや、都道府県の補助金(補助率原則3/4、職員数31人以上の施設で上限260万円)を活用することで、初期投資のハードルは下げられます。

課題3:入力作業が多く、現場への定着が難しい

「システムを入れたが、半年後に紙に戻った」という失敗事例があります。多くの場合、現場の声を聞かないトップダウン導入や、Wi-Fi環境の未整備、ITリテラシーへの配慮不足が原因です。介護DXを進める上では、ツール選定と同じくらい運用設計が重要です。

なぜ介護の業務効率化が進まないのか——判断基準がないことが根本原因

介護向けのITツールは種類が多く、「どの業務から手をつければ効果が出るか」を判断するのが難しい状況です。厚生労働省のガイドラインでは、まず現状のボトルネックを特定し、業務プロセスを標準化してからツールを選定することを推奨しています。生産性向上の視点からも、タイムスタディによる実態把握がツール導入の出発点です。

また、タイムスタディ(業務時間の実測調査)を定期的に実施している施設は全体の22.6%にとどまります。自施設の業務時間配分を把握していなければ、どのツールが効果的かを判断することもできません。

V-1:施設系介護職員の1日の業務時間配分(目安)

以下は施設系介護職員1人・1日(480分)あたりの業務時間の目安です。

施設系介護職員1人・1日(480分)あたりの業務時間配分の目安
業務区分 時間(目安) 全体に占める割合
直接介護(身体介助・生活支援等) 232〜251分 約48〜52%
記録・文書作成・連絡調整 38〜61分 約8〜13%
その他(移動・準備・待機等) 168〜210分 約35〜44%

出典:厚生労働省「介護ロボット・ICT機器の導入効果に関する調査研究事業」をもとに作成。施設種別・規模により数値は異なります。

業務カテゴリ別|介護業務を効率化するツールの選び方と比較

介護業務の効率化は「一度にすべてをデジタル化する」のではなく、最もボトルネックになっている業務から段階的に着手することが重要です。ここでは介護記録システム・介護シフト管理・スタッフ連絡・介護請求・見守りといった業務カテゴリ別に、代表的なツールの特徴を整理します。

V-2:業務カテゴリ別おすすめツール一覧

介護業務カテゴリ別おすすめツールと月額費用の目安
業務カテゴリ 主なツール例 月額費用の目安 選ぶ際のポイント
介護記録システム カイポケ、ケアコラボ、ほのぼのNEXT、Care-wing 2〜4万円〜/拠点 音声入力・LIFE対応・スマホ操作性
介護シフト管理 ケアシフト、勤次郎、SHAIN 400円/人〜・2.5〜3万円〜 AI自動割り当て・法定基準チェック機能
スタッフ間連絡 LINE WORKS、Chatwork 無料〜有料プラン 既読確認・セキュリティ基準(個人LINEは非推奨)
介護請求 カイポケ、ほのぼのNEXT、ファーストケア 1.5〜4万円〜/拠点 介護保険・自費対応・クラウド管理
見守り・センサー 各社センサー連携ソフト(ほのぼのNEXT等) 機器費用別途 夜勤負担軽減・転倒リスク検知精度

注:費用は2025〜2026年時点の概算です。施設規模・オプション・契約内容により大きく変動します。各社公式サイトで必ずご確認ください。

注意:個人向けLINEの業務利用は、個人情報漏洩リスクがあり非推奨です。法人向けサービス(LINE WORKSやChatwork等)への切り替えを検討してください。

V-3:中小施設向け 総合介護ソフト比較表(30〜50床規模)

記録・請求・連絡を一括管理できる総合介護ソフトは、複数ツールを使い分ける手間を減らします。以下は中小施設での介護ソフト比較を想定した一覧です。

中小施設(30〜50床規模)向け 総合介護ソフトの比較
製品名 対応サービス種別 30床規模の月額目安 操作性 サポート体制 特徴
カイポケ 全種別 2.5万円〜 高い(直感的) 充実(電話等) 3.6万事業所超・採用支援もパッケージ
ほのぼのNEXT 全種別 4万円〜 標準的(多機能) 非常に手厚い 国内最大級・音声入力・センサー連携
ケアコラボ 施設系・居住系 3万円〜 非常に高い 伴走型 家族共有機能・LIFE対応・成長著しい
ワイズマン 全種別・医療 要見積り 質実剛健 安定した保守 老舗の安心感・医療連携に強み
CAREKARTE 施設・通所中心 要見積り 高い(スマホ) 迅速な対応 大手法人への導入実績多数

注:費用は2025〜2026年時点の最小構成の概算です。施設規模・オプション・契約内容により変動します。各社公式サイトまたは担当営業にご確認ください。

ポイント:費用だけでなく「現場スタッフが継続して使えるか」が導入成功の鍵です。無料デモや試用期間を活用して、実際の操作感を現場リーダーとともに確認することをお勧めします。

V-4:介護業務効率化ツールの選定フロー

厚生労働省のガイドラインをもとにした、スモールステップでの導入フローです。

Step 1:ボトルネックの特定
タイムスタディで「どの業務に時間がかかっているか」を数値化する
↓
Step 2:業務プロセスの標準化(5S活動)
「何をどの順序でやるか」を紙でもよいので整理・統一する
↓
Step 3:最優先の1業務からスモールステップで導入
記録・シフト・連絡のうち最も負担の大きい1つを選ぶ
↓
Step 4:補助金・外部専門家の活用
都道府県の介護テクノロジー導入支援事業(補助率原則3/4・職員数31人以上の施設で上限260万円)やIT導入補助金を確認する
↓
Step 5:PDCAによる効果検証
導入3〜6か月後に業務時間・離職率・職員満足度を再測定し、改善を継続する

生産性向上推進体制加算で介護ソフトの導入コストを一部回収する

令和6年度介護報酬改定で新設された「生産性向上推進体制加算」を取得することで、介護記録システムや見守り機器などのツール導入コストの一部を加算収入で補うことができます。加算Ⅰと加算Ⅱは同時に算定することはできません。

生産性向上推進体制加算Ⅰ・Ⅱの単位数と主な算定要件
区分 単位数 主な算定要件
加算Ⅰ 100単位/月 加算Ⅱの要件を満たすこと、加算Ⅱで提出したデータにより業務改善の取組による成果が確認されていること、見守り機器等のテクノロジー(見守り機器・インカム・介護記録ソフト等)を複数導入していること、職員間の適切な役割分担(介護助手の活用等)の取組、1年以内ごとに1回の業務改善の効果データの提供
加算Ⅱ 10単位/月 利用者の安全・介護サービスの質・職員の負担軽減を検討する委員会の設置(3か月に1回以上開催)、生産性向上ガイドラインに基づく改善活動の継続、見守り機器等のテクノロジーを1つ以上導入、1年以内ごとに1回の業務改善の効果データの提供(オンライン提出)

ポイント:加算Ⅰ・加算Ⅱのいずれも「見守り機器等のテクノロジー導入」が要件に含まれます。介護ソフトの選定と加算申請を同時に進めることで、費用対効果を高めることができます。

導入事例:介護記録システム活用による業務削減と離職率改善

ICT導入の実証事業に参加した施設では、以下のような効果が報告されています。

  • ある社会福祉法人では、介護記録ソフトと見守りセンサーを組み合わせて導入した結果、夜勤の巡視時間が1,350分から1,130分に短縮。離職率も11.5%から6.1%に改善しました。
  • 別の施設では、月間の事務作業を10時間以上削減し、その時間を直接介護に充てることができました。

いずれの事例も「まず介護記録業務から着手し、慣れてから他の業務に広げた」という段階的な導入が功を奏しています。

補足:導入失敗の主な原因は「現場の声を聞かないトップダウン導入」「Wi-Fi環境の未整備」「教育コストの見落とし」です。導入前にインフラ整備と研修計画を立てることが重要です。

介護業務効率化ツールに関するよくある質問

Q1:中小施設でも導入できる介護ソフトはありますか?

はい。30〜50床規模の中小施設向けには、月額2.5万円〜から利用できるクラウド型の介護ソフト(カイポケ・ケアコラボ等)があります。IT導入補助金や都道府県の介護テクノロジー導入支援事業(補助率原則3/4)を併用することで、初期費用のハードルをさらに下げられます。

Q2:介護記録システムとシフト管理ツールは別々に導入すべきですか?

施設の規模と業務量によります。30床以下の小規模施設では、記録・請求・シフトを一括管理できる総合介護ソフトを1本導入する方が運用が楽です。50床以上で勤務パターンが複雑な施設では、シフト管理に特化したツール(ケアシフト・勤次郎等)を別途導入するケースもあります。

Q3:個人のLINEで職員間連絡をしていますが問題ありますか?

個人向けLINEの業務利用は、端末紛失時の情報漏洩リスクや退職者アカウントの管理難など個人情報保護の観点から非推奨です。LINE WORKS・Chatworkなど法人向けサービスへの切り替えを推奨します。

Q4:ツール導入の補助金にはどのようなものがありますか?

代表的なものは、都道府県の「介護テクノロジー導入支援事業」(補助率原則3/4・職員数31人以上の施設で上限260万円)と、経済産業省の「IT導入補助金」です。申請時期と対象機器が限定されるため、事前に都道府県の担当窓口で確認してください。

まとめ:介護業務効率化ツール導入の出発点は「ボトルネック把握」

介護業務の効率化は、ツールを選ぶ前に「どの業務に時間がかかっているか」を把握することが出発点です。タイムスタディで実態を把握し、最も負担の大きい業務から段階的に導入することで、現場への定着率が上がります。

補助金制度や生産性向上推進体制加算を組み合わせることで、中小施設でも費用を抑えながら介護ソフトの導入を進めることができます。

「どのツールを選べばいいかわからない」「自施設に合った介護ソフトを相談したい」という場合は、お気軽にお問い合わせください。施設の規模・種別・課題に応じたツール選定のご相談に対応しています。

関連記事もあわせてご覧ください:
・介護マニュアルの作り方・整備のポイント(業務プロセス標準化の参考に)
・医療DX入門:現場担当者が知っておくべき基本(医療側のDX戦略)

参考文献

  • 厚生労働省「介護ロボット・ICT機器の導入効果に関する調査研究事業」
  • 厚生労働省「介護現場における生産性向上の取組に関するガイドライン(第3版)」
  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関する審議報告」(生産性向上推進体制加算)
  • 厚生労働省「介護事業経営実態調査」(令和6年度)
  • 経済産業省「IT導入補助金」(中小企業・小規模事業者向け)
  • 各都道府県「介護テクノロジー導入支援事業」(補助率原則3/4・職員数31人以上の施設で上限260万円)
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