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看護記録の効率化完全ガイド|おすすめシステム7選と時短テク5つ【2026年版】

2026/4/21|medicalcare-support編集部

看護記録の効率化で、毎日1〜2時間の残業をゼロに近づける

「記録が終わらなくて、毎日1〜2時間残業している。」

「患者さんのそばにいる時間より、パソコンの前にいる時間のほうが長い。」

そんな状況はありませんか?

看護記録は、安全な医療・看護を継続するために不可欠な業務です。しかし、記録に時間を取られすぎると、肝心な患者ケアの質が落ちるという本末転倒な事態が起きてしまいます。看護記録の効率化は、ケアの質を高めるための重要な経営課題でもあります。

看護記録にかかる時間の目安

  • 看護師の勤務時間のうち、記録業務が占める割合は約2〜3割とされる
  • 8時間勤務のうち1.5〜2.5時間程度をカルテ入力に費やしている現場も多い
  • 看護職の時間外勤務の主な理由として「記録業務」が繰り返し挙げられている

出典:日本看護協会「看護職の労働実態調査」等の各種調査報告に基づく概況(2024年時点)。施設・病棟により実態は異なります。

この傾向は、決して特定の施設だけの話ではありません。全国の多くの看護現場で、記録業務が業務時間を圧迫しています。

本記事では、看護記録を効率化するための具体的な手順と、2026年時点でおすすめの看護記録システムを分かりやすく紹介します。

看護現場でよくある記録の3つの課題

課題1:記録量が多く、業務終了後も時間がかかる

入院患者の状態変化・処置・患者の訴え・申し送り…。一勤務で記録しなければならない内容は多岐にわたります。

患者数が多い病棟や夜勤帯では、記録のピークが申し送り直前の1〜2時間に集中することも珍しくありません。

課題2:紙とシステムの二重入力が発生している

「メモ用紙に手書きしてから電子カルテに入力する」という二重入力は、多くの病棟で見られます。

令和5年医療施設調査によると、一般病院の電子カルテ導入率は65.6%、400床以上の大規模病院では91.2%に達しています。ただし、導入が進んでも運用が現場の実態に合っていないと、紙との併用がなくなりません。

課題3:記録内容の質にスタッフ間でバラツキがある

「何をどこまで書くか」の基準が統一されていないと、記録の量・質がスタッフによって大きく異なります。

詳しく書きすぎるスタッフがいる一方で、最低限しか書かないスタッフもいる。その結果、引き継いだ看護師が状況を把握しにくくなる、というケースも起きています。

なぜ看護記録の効率化が進まないのか?3つの根本原因

原因1:記録基準が統一されていない

「何をどのレベルまで記録するか」が病棟・施設内で明文化されていないことが最大の原因です。

個々の判断に任せると、過剰記録と不足記録が混在します。結果として、全体の記録業務量が増えてしまいます。

原因2:システムが現場の実態に合っていない

電子カルテを導入しても、画面の操作手順が多い・入力項目が業務の流れと合っていないなど、使いにくさが残るケースがあります。

システムが現場に合っていないと、「紙のほうが早い」という状況が生まれ、二重入力が常態化します。看護 電子カルテの比較検討時には、自施設の業務フローとの適合性を必ず確認することが重要です。

原因3:定型文・テンプレートが整備されていない

毎回ゼロから文章を考えて入力するのは、時間もかかり精神的な消耗も大きいです。

バイタル正常時・状態変化なし・食事介助など、繰り返し発生する場面の定型文を整備するだけで、入力時間を大幅に短縮できます。

看護記録の時短テク5つ|今日から使える効率化の実践方法

看護記録 時短テク5選

  1. 定型文ライブラリを作る
  2. SOAP・DARなどの記録形式を統一する
  3. 音声入力を活用する
  4. 記録の「書かなくて良い基準」を決める(CBE:例外記録法)
  5. AI記録支援ツールを試す

時短テク① 定型文ライブラリを作る

繰り返し使う場面の文章をあらかじめ作成し、病棟全体で共有します。

「バイタル正常時」「状態変化なし」「食事介助」などの定型文があれば、入力はコピー&ペーストと数値の差し替えだけで完了します。

定型文は個人で作るのではなく、病棟で統一して管理することで、記録の質も均一化できます。

定型文サンプル集(そのまま使えます)

<バイタル正常時>
バイタルサイン測定。体温○℃、血圧○/○mmHg、脈拍○回/分、SpO2○%。
いずれも基準範囲内。自覚症状の訴えなし。

<状態変化なし>
前回記録より状態変化なし。日常生活動作は介助なく実施可能。
本日の訴え・特記事項なし。

<食事介助時>
昼食介助。摂取量○割。嚥下状態良好。誤嚥・むせ込みなし。水分摂取○ml。

<申し送り事項あり>
○時、○○の訴えあり。バイタル確認(体温○℃・BP○/○)。
医師に報告、指示に従い○○実施。経過観察中。次勤務へ申し送り。

補足:定型文は「汎用性が高い表現」を使いつつ、患者ごとの個別情報(数値・訴えの内容)は必ず入力してください。コピー忘れによる誤記録を防ぐため、入力後の確認を習慣にしましょう。

時短テク② SOAP・DAR等の記録形式を統一する

記録形式がスタッフによってバラバラだと、読む側の理解に時間がかかります。

形式を統一することで、「何をどこに書くか」が明確になり、書く速度も上がります。

形式 構成要素 特徴 適した場面
SOAP Subjective(主観的情報)
Objective(客観的情報)
Assessment(評価)
Plan(計画)
問題解決型の思考整理に向く 長期的な看護計画の評価・複雑な病態の分析
DAR Data(データ)
Action(行動)
Response(反応)
事象に対して何を行い、どう変わったかを簡潔に記録 急激な状態変化への対応・処置中心の記録
Focus Charting 焦点(Focus)+DAR 患者の状態・出来事を「焦点」として設定。多職種に伝わりやすい 患者中心の叙述・多職種での情報共有

どの形式が自施設に合うかは、病棟の特性や使用する電子カルテとの相性によって異なります。まず1つの形式を選んで統一し、定着させることが重要です。記録形式の統一は、看護記録の時短だけでなく、看護の質の可視化にも直結します。

時短テク③ 音声入力を活用する

スマートフォンやタブレットの音声入力機能を使うと、キーボード入力より大幅に速く記録できる場合があります。

2026年時点では、医療用語に対応した音声認識エンジンの精度が向上しており、病棟環境でも実用的に使える水準のサービスが増えてきています。

移動中や処置直後に口頭でメモを取り、あとで電子カルテに貼り付けるという使い方から始めると導入しやすいです。

注意:音声入力を利用する際は、個人情報の取り扱い(クラウド送信の可否・録音データの保存場所等)を必ず確認してください。病院の情報セキュリティポリシーに従うことが前提となります。

時短テク④ 記録の「書かなくて良い基準」を決める(CBE:例外記録法)

CBE(Charting by Exception:例外記録法)は、「正常・標準範囲内の場合は詳細を省略し、例外的な事象のみ記録する」という考え方です。

具体的には、以下のような基準を病棟で合意・明文化します。

  • 「バイタルサインが基準範囲内の場合は数値のみ記録。詳細な経過記述は不要」
  • 「ルーチンケア(体位変換・口腔ケアなど)は実施チェックのみ。経過記述は不要」
  • 「前回記録から変化がない場合は『変化なし』の一言で可」

注意:CBEは、組織として合意・明文化した上で導入することが前提です。個人判断で「省略してよい」と解釈するのは、記録漏れ・法的リスクにつながります。導入前に看護部・リスクマネジャーと協議してください。

時短テク⑤ AI記録支援ツールを試す

AIによる記録支援は、2026年時点で急速に実用化が進んでいます。

主な機能は以下の通りです。

  • 音声から自動でテキスト化し、記録の下書きを生成
  • 1日の記録をAIが要約し、申し送り文や退院時サマリーの草案を作成
  • クリニカルパスの標準経過に沿った自動下書き生成

医療DX全般の基礎から体系的に学びたい方は、医療DXツール入門:電子カルテ・ICT活用の基本を解説もあわせてご覧ください。電子カルテやICTツールの選び方を全体像から整理できます。

補足(法令対応):AI下書きを活用する場合でも、最終的な確認・修正・署名は必ず看護師自身が行ってください。電子カルテの3要件(真正性・見読性・保存性)のうち「真正性」の観点から、作成責任者の明確化が求められています(厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」)。

看護記録システムおすすめ7選|2026年版・電子カルテ比較表

ここでは看護記録システムのおすすめとして、現在国内で導入実績のある電子カルテ・看護記録システム7製品を紹介します。看護 電子カルテ 比較の際は、自施設の規模・予算・既存システムとの連携要件を踏まえてご検討ください。

# システム名 主な特徴 対象規模
1 HOPE LifeMark-HX
(富士通)
国内トップクラスのシェア。多機能かつAI入力支援が充実。大規模病院での実績が豊富 大・中規模病院
2 MegaOakシリーズ
(NEC)
看護師の視線動線を考慮したUI設計。看護必要度の自動集計機能を搭載 中・大規模病院
3 Medicom-HRf
(ウィーメックス/旧PHC)
シンプルな操作性と導入コストのバランスが良い。中小病院での採用実績あり クリニック・中小病院
4 MI・RA・Is/AZ
(ソフトウェア・サービス)
Webベースで動作。タブレットでの操作性が高く、ベッドサイド入力に向く 中・大規模病院
5 EGMAIN-GX
(日立製作所)
堅牢なセキュリティ基盤。研究・教育機関向けのデータ抽出・分析機能が充実 大規模・大学病院
6 OpenDolphin系
(LSC ほか)
オープンソース由来の高い拡張性。施設のニーズに合わせたカスタマイズがしやすい クリニック・小規模病院
7 カイポケ訪問看護
(エス・エム・エス)
訪問看護に特化。定額制プランがあり、オフライン対応も可能 訪問看護ステーション

補足:システム名・提供会社名は2026年4月時点の情報です。製品のブランド統合・改称が行われる場合があるため、検討時は必ず各社公式サイトで最新情報をご確認ください。価格・機能詳細も各社へ直接お問い合わせください。

看護記録システム選定で確認すべき5つの指標

システムを選ぶ際は、以下の5点を必ずデモや見積もりで確認してください。

  1. 操作性(UI/UX):デモ機で若手・ベテランの双方がクリック数・画面遷移を実際に体験する
  2. 連携性(Interoperability):HIS・RIS・PACS・検体検査システムとのデータ連携・API対応状況を確認する
  3. サポート体制:導入時のオンサイトトレーニング・障害時の代替機・法改正時のアップデート対応を確認する
  4. セキュリティ:厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」への準拠を確認する
  5. 費用対効果(ROI):残業代の削減効果・看護必要度の精度向上による入院基本料への影響を試算する

知っておきたい:看護記録の法的根拠と保存期間

記録業務の負担を減らす一方で、法的要件を理解しておくことも重要です。看護記録は、以下の法令・規則等により保存義務または保存慣行が定められています。

根拠法令等 内容 保存期間
医療法施行規則 第20条第10号 看護記録を「診療に関する諸記録」として明記 2年間
保険医療機関及び保険医療養担当規則 第9条 保険医療機関における帳簿・書類等の保存義務 3年間
実務上の標準 診療録(医師法により5年保存)に付随する諸記録として、5年以上保存する運用が一般的 5年間(推奨)

補足:看護記録自体を直接規定する独立した法律はありませんが、医療法施行規則・療養担当規則に基づき保存義務があります。なお、保健師助産師看護師法 第42条は「助産師による助産録」の作成・5年保存義務を定めた条文であり、看護師の看護記録を直接規定するものではない点に注意してください。

注意:看護記録は訴訟や事故調査の際に法的証拠となり得ます(日本看護協会「看護記録に関する指針」)。「記録されていない看護実践は行われなかった」と認定されるリスクがあります。記録を省略する際は、CBE等の組織的ルールに基づいて行ってください。

事例:定型文整備と記録形式の統一で残業が半減

補足:以下の事例は、複数施設での取り組みをもとに構成した架空の事例です。特定施設・個人を表すものではありません。

一般病棟(60床)の看護師長Aさんは、スタッフの残業の大半が記録業務によるものと把握していました。

まず着手したのは、「病棟共通定型文ライブラリ」の整備です。バイタル正常時・処置後・食事介助など10種類の定型文を作成し、電子カルテのテンプレート機能に登録しました。

次に、記録形式をDARに統一するためのミニ勉強会(15分×3回)を実施しました。

取り組み開始から2か月後、1日あたりの記録時間は平均2.2時間から1.1時間に短縮。時間外勤務も月平均で約15時間削減されました。

「最初は定型文を作る手間がかかりましたが、一度整備すると全員が楽になりました」とAさんは話しています。

看護記録の効率化に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 看護記録の効率化で、最初に取り組むべきことは何ですか?

A. 定型文ライブラリの整備から始めるのが最も効果的です。バイタル正常時・状態変化なし・食事介助など、繰り返し発生する場面の定型文を10種類程度作成し、電子カルテのテンプレート機能に登録するだけで、1日あたりの記録時間を30分〜1時間短縮できる事例があります。システム変更より先に、既存環境でできる運用改善に着手してください。

Q2. 看護記録システムのおすすめは何ですか?病院規模ごとに教えてください。

A. 大規模病院ではHOPE LifeMark-HX(富士通)やMegaOak(NEC)、中小病院・クリニックではMedicom-HRf(ウィーメックス)、訪問看護ステーションではカイポケ訪問看護が代表的な選択肢です。ただし、製品名より「自施設の業務フローとの適合性」を優先して比較検討することが重要です。本記事内の「システム比較表」と「選定で確認すべき5つの指標」を参考にしてください。

Q3. 看護記録の時短を目的に音声入力を使っても問題ありませんか?

A. 個人情報の取り扱いルール(クラウド送信の可否・録音データの保存先)を病院の情報セキュリティポリシーに従って確認した上であれば、活用可能です。2026年時点では医療用語対応の音声認識エンジンの精度が向上しており、実用レベルで使えます。ただし、入力後の内容確認は必ず看護師自身が行ってください。

Q4. CBE(例外記録法)は法的に問題ありませんか?

A. 組織として基準を合意・明文化した上で運用する限り、法的な問題はありません。ただし、個人判断で省略することは記録漏れ・法的リスクにつながります。導入前に看護部・リスクマネジャーと協議し、「何を省略し、何は必ず記録するか」を明文化してください。

Q5. 看護 電子カルテの比較で最も重視すべきポイントは何ですか?

A. 操作性(UI/UX)と現場業務フローとの適合性です。機能の豊富さよりも、現場スタッフが日常業務で無理なく使えるかどうかを、デモ機を使った実地テストで確認してください。加えて、HIS・RIS・PACSとの連携性、法改正時のアップデート対応、セキュリティ(厚労省ガイドライン準拠)の3点も必ずチェックしましょう。

Q6. 看護記録の保存期間は何年ですか?

A. 医療法施行規則では2年間、保険医療養担当規則では3年間の保存義務があります。実務上は、診療録(医師法により5年保存)に付随する諸記録として5年以上保存する運用が一般的です。電子カルテで保存する場合は、真正性・見読性・保存性の3要件(厚労省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」)を満たす必要があります。

まとめ:看護記録の効率化は、ケアの質向上につながります

看護記録の効率化は、単に「作業を速くする」ことではありません。記録の質を保ちながら、患者さんのそばにいる時間を取り戻すことが本来の目的です。

今回紹介した5つの時短テクは、どれも明日から試せるものです。まずは定型文ライブラリの作成から始めてみてください。

  • 定型文ライブラリを作る
  • 記録形式を統一する
  • 音声入力を活用する
  • CBEで「書かなくて良い基準」を設ける
  • AI記録支援ツールを試す

システム選定や記録ルールの見直しについて、「どこから始めればいいか分からない」という場合は、お気軽にご相談ください。施設の規模や現状に合わせて、具体的な改善方法をご提案します。

看護記録の整備や手順書の作成についてお困りの場合は、お気軽にご相談ください。貴施設の状況に合わせた支援が可能です。

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参考文献

  • 厚生労働省「医療法施行規則」第20条第10号(診療に関する諸記録)
  • 厚生労働省「保険医療機関及び保険医療養担当規則」第9条(帳簿等の保存)
  • 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版」(2023年)
  • 日本看護協会「看護記録に関する指針」(2018年)
  • 厚生労働省「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」(電子カルテ導入率)
  • 参考:保健師助産師看護師法 第42条(助産録に関する規定。看護記録を直接規定するものではない)
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