令和6年度診療報酬・介護報酬改定(2024年)において、薬局・薬剤師関連の加算は服薬管理指導料の区分整理・オンライン服薬指導の明確化など複数の変更が加えられました。本記事では、薬局薬剤師・病棟薬剤師が算定もれを起こしやすい加算を一覧化し、各加算の算定要件と見落としやすいポイントを具体的に解説します。日常業務のチェックリストとしてご活用ください。

対象加算 早見表

本記事で解説する加算の一覧です。点数・単位数は令和6年度改定後(診療報酬:令和6年6月施行、介護報酬:令和6年4月施行)の値です。

加算名 算定場所 点数・単位数 算定頻度
服薬管理指導料(区分1) 薬局 45点 処方箋受付1回につき
服薬管理指導料(区分2) 薬局 59点 処方箋受付1回につき
服薬管理指導料(区分3・施設) 薬局 45点 処方箋受付1回につき
服薬管理指導料(区分4・オンライン) 薬局 45点 処方箋受付1回につき
かかりつけ薬剤師指導料 薬局 76点 処方箋受付1回につき
かかりつけ薬剤師包括管理料 薬局 291点 処方箋受付1回につき
薬剤管理指導料(区分1・ハイリスク薬) 病院 380点 週1回・月4回まで
薬剤管理指導料(区分2) 病院 325点 週1回・月4回まで
病棟薬剤業務実施加算1 病院 100点 週1回
病棟薬剤業務実施加算2(ICU等) 病院 80点 1日につき
在宅患者訪問薬剤管理指導料1(単一建物1人) 薬局・診療所 650点 月4回まで
居宅療養管理指導費(薬局薬剤師・単一建物1人) 薬局 518単位 月4回まで
外来服薬支援料1(一包化支援) 薬局 185点 月1回
服薬情報等提供料3 薬局 50点 3か月に1回

情報時点の確認:本記事の点数・単位数はすべて令和6年度改定後の値です(診療報酬は令和6年6月1日施行、介護報酬は令和6年4月1日施行)。

服薬管理指導料の算定要件(令和6年度改定後)

区分と点数

令和4年度改定で「薬剤服用歴管理指導料」から「服薬管理指導料」へ名称変更・再編されました。令和6年度改定ではオンライン服薬指導(区分4)の要件が整備・明確化されています。

区分 対象 点数
区分1 原則6か月以内に再来局した患者(手帳提示) 45点
区分2 原則6か月以上来局なし、または初来局の患者 59点
区分3 特別養護老人ホーム等への施設訪問による服薬指導 45点
区分4 情報通信機器を用いた服薬指導(オンライン) 45点

注意:かかりつけ薬剤師指導料との重複算定不可
同一患者・同一処方箋受付でかかりつけ薬剤師指導料(または包括管理料)を算定した場合、服薬管理指導料の算定はできません。二重算定は返還の対象となります。

算定もれしやすいポイント

  • 区分1・区分2の判定漏れ:「6か月以内の来局歴」を薬歴システムで確認せずに区分1で算定してしまうケースがあります。来局日確認をルール化しましょう。
  • お薬手帳の活用実績確認:お薬手帳を持参していても内容の確認・活用記録がなければ要件不充足となる場合があります。
  • 区分4(オンライン)の算定漏れ:遠隔服薬指導実施後の算定記録を怠るケースがあります。オンライン実施後の算定フローを定めておきましょう。
  • 区分3の適用漏れ:施設訪問を行っているにもかかわらず、通常区分で算定しているケースがあります。令和6年度改定では短期入所生活介護(ショートステイ)にも対象が拡大されています。

ポイント:来局歴の確認フロー
受付時に「前回来局日」をシステムで確認し、6か月以内か否かを判定する手順を標準化することで、区分1・区分2の誤算定を防げます。

かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料の算定要件と服薬管理指導料との違い

点数

区分 点数 主な対象
かかりつけ薬剤師指導料 76点 外来患者(継続的に担当する患者)
かかりつけ薬剤師包括管理料 291点 地域包括診療加算・認知症地域包括診療加算等を算定している患者

かかりつけ薬剤師の5つの要件(必須確認事項)

担当薬剤師が以下の5要件をすべて満たしていることが必要です。施設基準の届出とは別に、担当薬剤師ごとの要件確認が必要です。

要件 内容
① 薬局勤務経験 保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験を有すること
② 勤務時間 当該保険薬局に週32時間以上勤務していること
③ 在籍期間 当該保険薬局に1年以上在籍していること
④ 研修認定 薬剤師認定制度認証機構が認証した研修認定制度等の研修認定を取得していること(または取得見込みであること)
⑤ 患者の同意 患者から文書による同意を得ていること

注意:かかりつけ薬剤師不在時の算定は不可
かかりつけ薬剤師が休暇等で不在の日に別の薬剤師が代替で服薬指導した場合、かかりつけ薬剤師指導料は算定できません。この場合は服薬管理指導料(区分1または区分2)で算定します。代替算定による誤りは監査で頻繁に指摘される事例です。

算定もれしやすいポイント

  • ⑤文書同意の取り忘れ・保管不備:口頭説明のみで同意書を取得していないケース、または取得しているが保管していないケースがあります。同意書は患者ごとに薬歴ファイルに綴じて保管してください。
  • ②週32時間の要件不充足:時短勤務薬剤師をかかりつけ薬剤師として届け出ているケースがあります。産休・育休復帰後や時短勤務申請時は要件の再確認が必要です。
  • ③1年以上在籍の管理漏れ:中途採用薬剤師が算定開始できる時期(入職1年後)の管理が徹底されていないケースがあります。
  • 指導料と包括管理料の使い分け誤り:在宅患者に対して本来は包括管理料を算定すべき場面で、指導料を算定しているケースがあります。

ポイント:かかりつけ薬剤師の要件管理
担当者リストと各要件の充足状況を一覧表で管理し、年1回以上の定期確認を実施しましょう。特に②週32時間と③1年以上在籍は変動しやすい要件です。

薬剤管理指導料の算定要件(病棟薬剤師向け)

区分と点数

入院患者に対して病院薬剤師が直接服薬指導・服薬管理を行った場合に算定します。

区分 対象患者 点数
区分1 ハイリスク薬を使用している患者(特に安全管理が必要な医薬品) 380点
区分2 区分1以外の入院患者 325点

算定回数の上限:週1回かつ月4回まで
患者1人につき、同一週に複数の薬剤師が算定することはできません。麻薬が処方されている患者には麻薬管理指導加算(50点)を追加算定できます。

ハイリスク薬(区分1の対象薬剤)

以下の薬剤を使用している患者は区分1(380点)の対象です。持参薬を含め漏れなく確認することが重要です。

  • 抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)
  • 免疫抑制剤(タクロリムス、シクロスポリン等)
  • 不整脈用剤
  • 抗てんかん剤(フェニトイン等)
  • 血液凝固阻止剤(ワルファリン等)
  • ジギタリス製剤(ジゴキシン等)
  • テオフィリン製剤
  • カリウム製剤(注射薬)
  • 精神神経用剤(リチウム等)
  • 糖尿病用剤(インスリン等)
  • 膵臓ホルモン剤
  • 抗HIV薬

算定もれしやすいポイント

注意:病棟薬剤業務実施加算との関係
薬剤管理指導料と病棟薬剤業務実施加算は、同一患者・同一日に重複算定できない場合があります。加算の組み合わせルールを正確に把握し、算定フローを整理しておく必要があります。

  • 区分の誤り:ハイリスク薬投与患者に区分2を算定してしまうケースがあります。入院時の持参薬鑑別時にハイリスク薬確認をルール化しましょう。
  • 指導記録の不備:「服薬指導実施」のみの記録では要件を満たしません。指導内容(副作用説明・飲み方の確認・患者の理解度等)を具体的に記録してください。
  • 退院週の算定漏れ:週1回の制限を意識しすぎて、退院が近い週に算定を遠慮してしまうケースがあります。退院前指導時に算定できます。

病棟薬剤業務実施加算

区分 点数 算定頻度 主な要件
加算1(一般病棟) 100点 週1回 常勤薬剤師専従・週20時間以上の病棟薬剤業務・薬剤管理指導料の届出
加算2(ICU等) 80点 1日につき 特定集中治療室等への薬剤師配置
  • 週20時間のカウント誤り:「病棟薬剤業務」の時間に処方監査・調剤業務など病棟外での作業時間を含めてしまうケースがあります。病棟での直接業務(ベッドサイド指導・病棟内カンファレンス参加等)のみを計上してください。
  • 業務実績記録の不備:業務内容・実施時間の記録が不十分なため、指導監査で指摘されるケースがあります。日次の業務記録票を整備することを推奨します。

在宅患者訪問薬剤管理指導料・居宅療養管理指導費

医療保険と介護保険の整理

在宅患者への薬剤管理は医療保険(在宅患者訪問薬剤管理指導料)と介護保険(居宅療養管理指導費)の両制度にまたがります。要介護・要支援認定を受けている患者については、原則として介護保険が優先されます。この優先ルールの誤認が重複算定・算定もれの最大の原因です。

医療保険:在宅患者訪問薬剤管理指導料

区分 単一建物の患者数 点数
区分1 1人 650点
区分2 2〜9人 320点
区分3 10人以上 290点

算定回数の上限:通常は月4回まで。ただし末期悪性腫瘍・麻薬注射・中心静脈栄養患者については週2回かつ月8回まで算定できます。月2回以上算定する場合は6日以上の間隔が必要です(特例患者を除く)。

麻薬が処方されている患者には麻薬管理指導加算(100点)、6歳未満の患者には乳幼児加算(100点)を追加算定できます。

介護保険:居宅療養管理指導費(薬剤師)

薬局の薬剤師(令和6年度改定後)

単一建物の人数 単位数/回 訪問回数の上限
1人 518単位 月4回まで
2〜9人 379単位 月4回まで
10人以上 342単位 月4回まで
オンライン服薬指導 46単位 月4回まで

病院・診療所の薬剤師(令和6年度改定後)

単一建物の人数 単位数/回 訪問回数の上限
1人 566単位 月2回まで
2〜9人 417単位 月2回まで
10人以上 380単位 月2回まで
オンライン服薬指導 46単位 月1回まで

令和6年度改定のポイント:オンライン服薬指導の要件緩和
薬局薬剤師によるオンライン服薬指導は月1回から月4回までに拡大されました。また、処方元での在宅時医学総合管理料算定要件が削除され、初回から複数薬剤師の対応も可能になりました。

算定もれしやすいポイント(医療・介護共通)

注意:医療保険と介護保険の重複算定は不可
要介護・要支援認定を受けている患者に医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定してしまうケースが後を絶ちません。訪問薬剤管理を開始する前に、必ずケアマネジャーへ介護認定の有無を確認してください。

  • 単一建物の人数カウント誤り:同一建物(集合住宅等)を複数の薬剤師が別々に訪問しているケースで、人数を合算せずに区分1で算定してしまうことがあります。
  • 医師の指示書の有効期限切れ:指示書の有効期限(原則6か月)の管理が徹底されていないケースがあります。定期的な更新確認が必要です。
  • 麻薬管理指導加算の算定漏れ:麻薬が処方されている在宅患者への訪問時に加算の算定を失念するケースがあります。
  • ケアマネジャーへの文書報告漏れ:訪問後のケアマネジャーへの文書報告が義務付けられています。口頭のみでは要件不充足です。
  • 末期がん等の特例(月8回)の活用漏れ:末期悪性腫瘍・麻薬注射・中心静脈栄養患者は週2回・月8回まで算定できますが、通常の月4回のままにしているケースがあります。

外来服薬支援料・服薬情報等提供料

区分 内容 点数 算定頻度
外来服薬支援料1 一包化等による服薬管理の支援(処方箋持参なし来局でも算定可) 185点 月1回
外来服薬支援料2 ブラウンバッグ指導等による服薬管理の整理・確認 34点 月1回
服薬情報等提供料1 医療機関へ文書で情報提供 30点 月1回
服薬情報等提供料2 介護事業者等(医療機関以外)へ文書で情報提供 20点 月1回
服薬情報等提供料3 患者・家族等からの求めに応じて情報提供 50点 3か月に1回

ポイント:外来服薬支援料1は処方箋なしでも算定可
患者が処方箋を持参せずに来局した場合(自宅保管薬の管理依頼等)でも算定できます。「処方箋がないから算定できない」と思い込んでいるケースが多い点です。ただし一包化加算との重複算定(同一薬局処方分)には注意が必要です。

  • 服薬情報等提供料3の要件見落とし:患者・家族から「求め」があったことの確認が必要ですが、口頭のみで文書化していないケースがあります。求めの記録を薬歴に残してください。
  • 調剤管理加算の算定忘れ:複数医療機関から内服薬6種類以上が処方されている患者に対する調剤管理加算(28日未満:3点、28日以上:4点)の算定漏れがあります。6種類のカウントに屯服・外用薬・注射薬は含まれません。

算定もれ防止チェックリスト

薬局での受付・調剤時

  • 前回来局日を確認し、服薬管理指導料の区分(1または2)を判定しているか
  • かかりつけ薬剤師担当患者の場合、当該薬剤師が在勤中か確認しているか
  • 要介護・要支援認定の有無を確認し、在宅訪問時の保険種別を誤っていないか
  • 麻薬が処方されている在宅患者に麻薬管理指導加算を算定しているか
  • 内服薬6種類以上の複数医療機関処方患者に調剤管理加算を算定しているか

かかりつけ薬剤師関連

  • 担当患者の同意書が取得・保管されているか
  • 担当薬剤師が5要件(週32時間・1年在籍・3年経験・研修認定・地域活動)をすべて満たしているか
  • かかりつけ薬剤師不在時に誤ってかかりつけ薬剤師指導料を算定していないか

病棟薬剤師向け

  • 入院時持参薬にハイリスク薬がないか確認し、区分1・区分2を正しく判定しているか
  • 薬剤管理指導記録に指導内容を具体的に記載しているか(「実施」だけの記録は不可)
  • 退院週に未算定の患者に対して退院前指導時に算定しているか
  • 病棟薬剤業務実施加算の週20時間に病棟外業務を含めていないか

書式雛形のご案内:当サイトでは薬剤管理指導記録表・服薬指導チェックシートの雛形を無料提供しています。施設の患者構成や運用に合わせたカスタマイズ版の作成をご希望の場合は、お問い合わせください。

経口維持加算・口腔機能向上加算・居宅療養管理指導など、食事・栄養に関する加算の算定要件解説と書式雛形も提供しています。

食事・栄養関連加算の一覧ページを見る →

令和6年度改定での主な変更点まとめ

変更項目 改定内容
服薬管理指導料・区分4の整備 情報通信機器を用いたオンライン服薬指導の区分が明確化(45点)
服薬管理指導料・区分3の対象拡大 短期入所生活介護(ショートステイ)等にも対象が拡大
居宅療養管理指導のオンライン要件緩和 薬局薬剤師のオンライン服薬指導が月4回まで拡大、要件も大幅に緩和
居宅療養管理指導の新加算 医療用麻薬持続注射療法加算(250単位)・在宅中心静脈栄養法加算(150単位)を新設
電子処方箋・電子薬歴対応 電子薬歴システムの活用推進と加算要件への組み込みが進展

よくある質問

Q. 服薬管理指導料とかかりつけ薬剤師指導料は同時に算定できますか?

同一患者・同一処方箋受付において、かかりつけ薬剤師指導料(または包括管理料)を算定した場合は服薬管理指導料を算定できません。どちらか一方のみの算定となります。

Q. 服薬管理指導料の区分1と区分2はどう使い分けますか?

原則として、直近6か月以内に同一薬局に来局した実績のある患者(手帳提示)が区分1(45点)、6か月超の間隔がある患者や初来局の患者が区分2(59点)です。受付時に薬歴システムで前回来局日を確認し、区分を判定する運用を標準化することを推奨します。

Q. 薬剤管理指導料の区分1(ハイリスク薬)の対象薬剤はどれですか?

抗悪性腫瘍剤・免疫抑制剤・不整脈用剤・抗てんかん剤・血液凝固阻止剤・ジギタリス製剤・テオフィリン製剤・カリウム製剤(注射薬)・精神神経用剤・糖尿病用剤・膵臓ホルモン剤・抗HIV薬が対象です。入院時持参薬を含め確認が必要です。

Q. 居宅療養管理指導と在宅患者訪問薬剤管理指導料は同月に算定できますか?

同一患者に対して、介護保険の居宅療養管理指導費と医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導料を同月に重複算定することはできません。要介護・要支援認定を受けている患者には原則として介護保険(居宅療養管理指導費)が優先されます。

Q. かかりつけ薬剤師不在時はどの加算を算定しますか?

かかりつけ薬剤師が休暇等で不在の日に別の薬剤師が服薬指導した場合は、かかりつけ薬剤師指導料ではなく服薬管理指導料(区分1または区分2)で算定します。不在時の代替算定によるかかりつけ薬剤師指導料の誤算定は監査で頻繁に指摘される事例です。

参考文献

  • 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定について」(令和6年3月)— 厚生労働省
  • 厚生労働省告示第57号「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和6年3月5日)
  • 保医発0305第4号「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和6年3月5日)
  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」(令和6年1月)— 厚生労働省
  • 厚生労働省告示第86号「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する件」(令和6年1月26日)