令和6年度の診療報酬改定で新設された「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」(120点/日)は、リハビリ・栄養・口腔管理の一体的な取組を評価するものです。

本記事では、この加算の算定要件・対象病棟・必要人員を解説するとともに、介護報酬側の関連加算(口腔連携強化加算・経口維持加算・口腔機能向上加算)もあわせて整理します。急性期病棟の管理者・管理栄養士・リハビリスタッフ・介護施設の担当者に向けた横断的なガイドです。

対象施設・サービス種別:急性期一般入院料・地域一般入院料(診療報酬)/特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・通所介護・通所リハビリテーション(介護報酬)

第1部:診療報酬 ― リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算

加算の概要(令和6年度新設)

令和6年度診療報酬改定により、入院患者に対するリハビリテーション・栄養管理・口腔管理の一体的な取組を評価する加算として新設されました。

項目内容
加算名リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算
点数120点/日
算定上限入院日から14日を限度
新設時期令和6年度診療報酬改定(2024年6月施行)

対象病棟

以下の入院料を算定する病棟が対象です。

  • 急性期一般入院料1〜7
  • 特定機能病院入院基本料(一般病棟7対1・10対1)
  • 専門病院入院基本料(7対1・10対1・13対1)
  • 地域一般入院料1〜3

補足:回復期リハビリテーション病棟入院料については、リハビリテーション・栄養・口腔の一体的な取組がすでに入院料の要件に包含されているため、本加算の対象外です。地域包括ケア病棟入院料についても、令和6年度時点では本加算の算定対象には含まれていません。

施設基準・人員配置

必要な人員体制:

  • 管理栄養士:専任の常勤管理栄養士を1名以上配置
  • リハビリ専門職(PT・OT・ST):疾患別リハビリテーションの届出に係る人員として配置されていること
  • 医師:リハビリテーション・栄養・口腔に関する計画の作成に関与
  • 歯科医師または歯科衛生士:口腔管理に係る評価・計画に関与(院内配置または歯科医療機関との連携)

算定要件の詳細

以下のすべてを満たす場合に算定できます。

  1. 入院患者ごとに、リハビリテーション、栄養管理、口腔管理に関する一体的な計画を入院後速やかに作成すること
  2. 計画は多職種(医師・管理栄養士・PT/OT/ST・歯科医師又は歯科衛生士等)の共同で作成すること
  3. 計画に基づき、定期的な評価(少なくとも週1回)を実施し、必要に応じて計画を見直すこと
  4. 入院時のADL・栄養状態・口腔機能のスクリーニングを実施すること
  5. リハビリテーション実施計画書、栄養管理計画書、口腔管理に係る計画書を一体的に作成し、患者または家族に説明・交付すること

注意:本加算は疾患別リハビリテーション料の算定がない患者には算定できません。リハビリテーションの実施が前提となります。また、栄養サポートチーム(NST)加算との同日算定はできません。

実務上のポイント

項目実務対応
入院時スクリーニング入院後早期(可能な限り48時間以内)にADL・栄養・口腔のスクリーニングを実施します
一体的計画の作成リハビリ・栄養・口腔の3領域を1つの計画書として作成するか、相互参照可能な形式で統合します
多職種カンファレンス少なくとも週1回の評価を行い、結果を記録に残します。ICT活用も可能です
歯科との連携院内に歯科がない場合は、近隣の歯科医療機関と連携体制を構築します。連携に関する協定書等を整備しておきましょう
記録・書式計画書・評価記録は監査に備えて患者ごとに整理・保管します

令和8年度改定での見直し(2026年6月施行予定)

最新情報(令和8年度改定):以下は令和8年度診療報酬改定に関する情報です。2026年4月時点の情報であり、告示・通知番号等の詳細は正式公布後に更新します。

令和8年度改定では、本加算の評価が見直され、2段階の評価体系に再編される予定です。

区分点数主な要件
加算1 150点/日(14日限度) 従来の要件を満たしたうえで、退院後の栄養・口腔管理に関する情報提供を行うこと(詳細要件は正式通知で確認)
加算2(新設) 90点/日(14日限度) 施設基準を一部緩和した要件(詳細要件は正式通知で確認)

地域包括ケア病棟向け新設加算:令和8年度改定では、地域包括ケア病棟入院料を算定する病棟でもリハ・栄養・口腔の一体的取組を評価する加算(30点/日)が新設される見込みです(正式名称・要件は正式通知で確認)。

第2部:介護報酬 ― 関連加算の整理(令和6年度改定)

介護報酬においても、栄養・口腔・リハビリの連携を推進する加算が複数あります。

口腔連携強化加算(令和6年度新設)

項目内容
単位数50単位/回
算定頻度月1回を限度
対象サービス通所介護、通所リハビリテーション、介護老人福祉施設(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院 等
主な要件介護職員等が利用者の口腔状態をスクリーニングし、歯科医師・歯科衛生士・介護支援専門員等に情報提供を行うこと

ポイント:口腔連携強化加算は、歯科専門職が配置されていない施設でも、介護職員による口腔スクリーニングと情報提供の仕組みを整えることで算定できます。歯科医療機関との連携体制の構築がカギとなります。

経口維持加算

区分単位数主な要件
経口維持加算(I) 400単位/月 摂食・嚥下障害または誤嚥が認められる入所者に対し、多職種による食事観察(ミールラウンド)と経口維持計画を作成・実施すること
経口維持加算(II) 100単位/月 経口維持加算(I)を算定している場合に、協力歯科医療機関の歯科医師等が加わった食事観察・会議を実施すること(加算(I)に上乗せ)

対象施設:経口維持加算は主に介護老人福祉施設(特養)・介護老人保健施設(老健)・介護医療院が対象です。管理栄養士を中心とした多職種による月1回以上のミールラウンドが必要です。

口腔機能向上加算

区分単位数主な違い
口腔機能向上加算(I) 150単位/回(月2回限度) 言語聴覚士・歯科衛生士等による口腔機能改善管理指導計画の作成・実施・評価
口腔機能向上加算(II) 160単位/回(月2回限度) 加算(I)の要件に加え、LIFEへのデータ提出とフィードバック活用を行うこと

第3部:診療報酬・介護報酬をつなぐ連携のポイント

入院から在宅・施設へ ― 切れ目のない連携

フェーズ取組内容関連する加算
入院時 ADL・栄養・口腔のスクリーニング、一体的計画の作成 リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算(120点/日)
入院中 多職種カンファレンス(週1回)、計画の見直し 同上
退院時 栄養・口腔管理に関する情報を退院先に提供 退院時共同指導料、栄養情報提供加算 等
施設入所後 ミールラウンド、経口維持計画の作成・実施 経口維持加算(I)400単位/月・(II)100単位/月
通所利用時 口腔スクリーニング、口腔機能改善指導 口腔連携強化加算 50単位/回
口腔機能向上加算(I)150単位/回・(II)160単位/回

多職種の役割分担

職種主な役割
医師計画の総括、リハビリテーション処方、栄養・口腔に関する指示
管理栄養士(専任常勤)栄養スクリーニング、栄養管理計画の作成、ミールラウンドの実施
PT・OT・STADL評価、リハビリテーション計画の作成・実施、摂食嚥下評価(STの場合)
歯科医師口腔機能評価、口腔管理計画の作成、歯科治療
歯科衛生士口腔ケアの実施・指導、口腔スクリーニング
看護師日常的な口腔ケア、食事介助、全身状態の観察
介護職員食事介助、口腔スクリーニング(口腔連携強化加算)、日常のADL支援

算定に必要な書式雛形

当サイトでは、リハ・栄養・口腔の一体的取組に必要な書式雛形を無料で提供しています。

カスタマイズのご相談:「自施設の電子カルテに合わせた様式に変更したい」「NST加算との振り分けフローチャートも整備したい」といったご要望には、施設ごとのカスタマイズ対応も承っています。お気軽にお問い合わせください。

  • 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定について」(2024年3月)
  • 中医協総会資料「個別改定項目(入院医療)リハビリテーション・栄養・口腔」(2024年2月)
  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」(2024年1月)
  • 日本栄養士会「令和6年度診療報酬改定における栄養関連加算の解説」(2024年)
  • 厚生労働省「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算 施設基準(通知)」(告示・通知番号:正式公布後に追記)
  • 中医協「令和8年度診療報酬改定 答申」(2026年2月)※内容確認中