入退院支援加算1と2の違いを、点数・人員配置・連携機関要件の観点から比較表で整理します。「どちらを取得すべきか」の判断フローと、算定要件チェックリストも掲載。2026年4月現在、令和6年度改定の確定値を基準に解説します。

1. 結論|1分で分かる入退院支援加算1と2の違い

ポイント:加算1と加算2の核心的な違い

✓ 加算1:点数が高い分、要件が厳しい。専従配置+25機関以上との連携が必須。
✓ 加算2:専任配置(兼務可)で始められる。連携機関数の縛りなし。
✓ どちらも「退院困難な患者への計画的な入退院支援」という目的は同じ。

以下の比較表で主な要件の違いを確認してください。

項目 加算1 加算2
点数(イ:一般病棟入院基本料等) 700点 190点
点数(ロ:療養病棟入院基本料等) 1,300点 635点
算定タイミング 退院時1回 退院時1回
入退院支援部門の設置 必要(廊下等への掲示義務あり) 必要
看護師・社会福祉士の配置 専従1名+専任1名(別職種)のセット 専任1名以上(兼務可)
各病棟への配置 専任で1名ずつ(1人につき2病棟・計120床まで) 不要
連携機関数 25機関以上 規定なし
連携機関との面会頻度 年3回以上(ICT利用可) 規定なし
退院困難要因スクリーニング 入院後3日以内 入院後7日以内
患者・家族との面談 入院後7日以内 入院後7日以内
カンファレンス開催 入院後7日以内 入院後7日以内
介護支援等連携指導料の算定実績 一定数以上の算定が必要 規定なし

⚠️ 点数について(令和6年度改定確定値)令和8年度改定では「一部点数の引き上げ」が実施されることが公表されていますが、具体的な全区分の新点数は本記事作成時点(2026年4月)では未公表です。最新の告示・通知を必ず確認してください。

2. 入退院支援加算とは|目的と算定対象

入退院支援加算は、患者が安心・納得して退院し、住み慣れた地域で療養や生活を継続できるよう、入院早期から計画的な支援を実施することを評価する加算です。

加算の目的

  • 入院早期に退院困難な要因を持つ患者を抽出する
  • 多職種カンファレンスで退院支援計画を立案する
  • 地域の連携医療機関・介護事業所と「顔の見える関係」を構築する
  • 患者・家族が納得して退院できるよう意思決定を支援する

算定対象患者

「退院困難な要因」を有し、かつ在宅での療養を希望する入院患者が対象です。退院困難な要因には、以下のような状況が含まれます。

  • 悪性腫瘍・認知症・誤嚥性肺炎等を有する患者
  • 要介護認定を受けている患者
  • 緊急入院した患者
  • 一人暮らしまたは独居老人の患者
  • 障害者(身体・知的・精神)やその家族
  • 家族等との連絡が困難な患者(令和6年度改定で追加)

補足:令和6年度改定での追加要因「家族及び親族との連絡が困難であること」が退院困難要因(タ)として新たに追加されました。身寄りのない患者や、連絡が取れない家族がいる患者への支援も加算の対象となります。

なお、死亡による退院は算定できません。

共通の必須要件

  • 院内に入退院支援部門を設置すること
  • 看護師または社会福祉士を配置すること(専従・専任の別は加算区分による)
  • 退院困難要因のスクリーニングを規定期限内に実施すること
  • 退院支援計画を作成し、患者・家族に説明・文書交付すること
  • 特定の介護保険施設等への誘導による金品等の収受を行っていないこと

3. 入退院支援加算1の算定要件詳細【深掘り】

退院支援部門への人員配置(社会福祉士・看護師の専従要件)

加算1では、入退院支援部門に以下の職員を配置する必要があります。

  • 「専従の看護師」または「専従の社会福祉士」を1名以上配置する
  • 専従が看護師の場合は、専任の社会福祉士を別途配置する
  • 専従が社会福祉士の場合は、専任の看護師を別途配置する

つまり、「専従1名+専任1名(別職種)」のセットが必須です。看護師だけ、社会福祉士だけでは要件を満たしません。

各病棟への配置

入退院支援部門の職員とは別に、各病棟にも入退院支援職員を専任で配置する必要があります。1人の職員が担当できるのは「2病棟・計120床まで」です。大規模病院では複数名の確保が求められます。

連携機関の確保(25機関以上)

転院・退院体制についてあらかじめ協議を行い、連携関係を結んだ機関を25以上確保する必要があります。

  • 急性期一般入院基本料等を算定する病棟がある場合:25機関のうち1以上が保険医療機関であること
  • 地域包括ケア病棟入院料等を算定する病棟がある場合:25機関のうち5以上が介護サービス事業者等であること

連携機関との面会(年3回以上)

入退院支援部門等の職員と各連携機関の職員が、年3回以上の頻度で面会し、情報共有等を行うことが要件です。

注意:「面会」の範囲に注意ICT(ビデオ通話等)によるリアルタイムの画像通信は「面会」として認められます。ただし、単なる電話やメールのやりとりは「面会」に含まれません。運用記録を残す際は方法を明記してください。

退院困難要因スクリーニング(入院後3日以内)

加算1では、原則として入院後3日以内にスクリーニングを実施する必要があります。加算2の7日以内より厳しい期限です。週末・休日に入院した患者のスクリーニング漏れに注意が必要です。

患者・家族面談・カンファレンス(入院後7日以内)

患者・家族との面談と、多職種カンファレンスはいずれも入院後7日以内に実施します。この点は加算2と共通です。

介護支援等連携指導料の算定実績

過去1年間の介護支援等連携指導料等の算定実績が、病床数に応じた一定数を上回っていることが加算1の届出要件のひとつです。算定実績の継続的な管理が必要です。

4. 入退院支援加算2の算定要件詳細

人員配置(専任の看護師・社会福祉士)

加算2では、入退院支援の経験を有する看護師または社会福祉士を「専任」で1名以上配置すれば足ります。兼務が可能なため、既存スタッフを活用しながら加算を開始しやすい区分です。

加算1とは異なり、各病棟への専任配置義務はありません。

退院支援部門の設置

院内に入退院支援部門を設置することは加算1と共通です。ただし、廊下等への掲示義務や個室要件については加算1固有の要件であり、加算2には課されません。

連携機関

加算2には連携医療機関数の規定はありません。地域連携の実績が少ない段階でも算定を開始できます。

スクリーニング・面談・カンファレンス

退院困難要因スクリーニングは入院後7日以内に実施します。患者・家族との面談と多職種カンファレンスも7日以内という点は加算1と同じです。

5. 加算3(小児・新生児)の概要(参考)

加算3は新生児特定集中治療室管理料等を算定したことがある患者を対象とした区分です。点数は1,200点。5年以上の新生児集中治療業務の経験を有し、小児患者の在宅移行に係る研修を受けた専任の看護師等の配置が必要です。NICU・GCUを持つ病院が主な対象となります。本記事では詳細は割愛します。

6. どちらを目指すべきか【判断フロー】

加算1と加算2のどちらを選択すべきかは、自院の病棟規模・スタッフ体制・地域連携の現状によって異なります。以下の判断フローを参考にしてください。

▶ どちらを目指すか 判断フロー

Q1. 入退院支援部門に「専従の看護師または社会福祉士1名」+「別職種の専任1名」を配置できますか?

├─ Yes → Q2へ

└─ No → 加算2を目指す(まず専任1名体制で実績を積む)

Q2. 地域に連携医療機関・介護事業所を合計25機関以上確保できますか?

├─ Yes → Q3へ

└─ No → 加算2を目指す(または25機関への拡大活動から着手)

Q3. 各連携機関と年3回以上の面会(ICT含む)を継続的に運用できますか?

├─ Yes → 加算1を目指す

└─ No → 加算2を維持しつつ面会運用の整備から開始

病床規模別の傾向

  • 200床未満の中小病院:加算2から始め、地域連携実績を積んで加算1へ移行するケースが多い
  • 200〜400床規模の急性期病院:専従・専任スタッフを確保できれば加算1が現実的
  • 400床以上の大規模急性期病院:加算1が標準。各病棟への専任配置に必要な人数を試算しておく

ステップアップの考え方

加算2を取得した後、連携機関の拡大と専従スタッフの確保を計画的に進め、加算1へ移行する方法が現実的です。段階的な整備で算定継続の安定性も高まります。

事例:加算2から加算1へステップアップした300床病院

地域包括ケア病棟を持つ300床の急性期病院。加算2を3年間運用する中で以下の取り組みを実施しました。
①連携医療機関を10機関から28機関に拡大(訪問看護・居宅介護支援事業所との協定締結を推進)
②社会福祉士を1名から3名に増員し、専従配置に切り替え
③各連携機関との年3回以上の面会をICT活用で運用化
結果として1年後に加算1を取得。退院調整カンファレンスの件数は取り組み前と比べ1.6倍に増加しました。

7. 必要な人員配置と人件費の目安

多職種が関わる加算のため、必要な職種・配置要件を正確に把握することが重要です。

配置区分 加算1 加算2
入退院支援部門(看護師) 専従1名以上(専従の社会福祉士がいる場合は専任でも可) 専任1名以上(兼務可)
入退院支援部門(社会福祉士) 専従1名以上(専従の看護師がいる場合は専任でも可) 専任1名以上(兼務可)
各病棟への配置 専任1名(1人につき2病棟・計120床まで) 不要
常勤要件 要確認(届出様式・最新通知を参照) 要確認(届出様式・最新通知を参照)
補足:専従・専任の定義

専従:業務時間の概ね80%以上を入退院支援業務に充てること。他業務との兼務は原則不可。
専任:業務時間の概ね50%以上を入退院支援業務に充てること。他業務との兼務が可能。

人件費の目安

加算1を取得・維持するには、専従スタッフ2名(看護師+社会福祉士)+病棟担当の専任スタッフという体制が基本です。年間の増員コストと加算1による収益増(加算1イ700点 vs 加算2イ190点の差510点×算定件数)を比較した上で投資判断を行うことを推奨します。

8. 必要書類・記録様式

算定を開始・継続するために整備すべき書類は以下のとおりです。

算定準備チェックリスト

  • ☐ 退院支援部門の設置場所を確保した
  • ☐ 専従/専任スタッフの配置を決定した(職種・人数・専従専任の別を明確化)
  • ☐ 連携医療機関リスト(25機関以上)を作成した ※加算1の場合
  • ☐ 連携機関との顔合わせ面会を実施し、記録を保管した
  • ☐ 退院困難要因スクリーニングシートを整備した
  • ☐ 退院支援計画書の様式を整備した(患者・家族への交付用)
  • ☐ カンファレンス記録様式を整備した(参加職種・日時・内容を記載できるもの)
  • ☐ 院内ルール(スクリーニング期限・面談期限・カンファ期限)を文書化した
  • ☐ 関連職員へ研修を実施し、記録を保管した
  • ☐ 地方厚生局への届出様式を準備した

主な記録様式

様式名 記載内容 期限
退院困難要因スクリーニングシート 退院困難要因の有無・該当項目・担当者 加算1:入院後3日以内
加算2:入院後7日以内
退院支援計画書 退院先・退院条件・支援内容・多職種役割分担 退院時まで(7日以内に初版作成)
カンファレンス記録 参加職種・日時・検討内容・決定事項 入院後7日以内に初回開催
連携機関面会記録 面会機関名・日時・方法(対面/ICT)・参加者・共有内容 年3回以上(加算1のみ)

カンファレンス記録書の書式は、当サイトの既存テンプレートをご活用ください。

カンファレンス記録書(Excel)をダウンロード

9. よくある算定漏れ・査定パターン

パターン1:スクリーニング期限の超過

加算1では入院後3日以内という厳しい期限があります。週末・祝日に入院した患者への対応フローが整備されていないと、スクリーニングが「入院後4日目」になりやすく、査定の原因になります。休日対応フローを院内ルールとして文書化しておくことが重要です。

パターン2:カンファレンス参加職種の不足

「カンファレンスを開催したが、参加者が1〜2職種のみだった」というケースです。医師・看護師・社会福祉士に加え、リハビリ職・栄養士・薬剤師など退院後の生活に関わる職種の参加記録が残っていないと、多職種カンファレンスとして認められない可能性があります。

パターン3:連携機関要件の年度内維持(加算1)

25機関との連携関係は、届出時に確保すれば終わりではありません。連携機関が廃業・事業縮小した場合や、年3回の面会実績が積み上がっていない機関がある場合は要件を下回るリスクがあります。連携機関リストの定期見直しと面会記録の管理が必要です。

パターン4:退院支援計画書の患者交付漏れ

計画書を作成しても患者・家族への説明と文書交付が記録されていないと、算定要件を満たしていないと判断されることがあります。交付日・説明者を診療録に記載しておきましょう。

パターン5:死亡退院への誤算定

死亡による退院は算定対象外です。退院時の区分設定ミスに注意してください。

10. 同時算定可能な加算と算定不可の項目

算定不可(排他関係)

注意:以下の診療報酬項目は入退院支援加算と同時算定できません

  • 介護支援等連携指導料(排他関係)
  • 退院時共同指導料
  • 退院時リハビリテーション指導料
  • 退院時薬剤情報提供管理指導料

補足:介護支援等連携指導料との関係入退院支援加算(加算1)の届出要件として「過去1年間の介護支援等連携指導料等の算定実績が一定数以上」という要件があります。一方で算定日単位では同時算定不可という排他関係です。算定実績はカウントしつつ、退院時の算定区分の選択を誤らないよう注意してください。

同時算定可能・上乗せ項目

項目 点数 概要
入院時支援加算1 230点 入院前の患者情報収集・支援を評価
入院時支援加算2 200点 同上(要件が一部緩和された区分)
地域連携診療計画加算 連携パスを活用した計画的転院・退院調整
検査・画像情報提供加算 200点 退院先の医療機関等へ検査結果・画像情報を提供した場合
入院事前調整加算 200点 強度行動障害・コミュニケーション支援を要する患者の入院前調整

11. 当サイトの関連書式

入退院支援加算の算定に活用できる書式を無料提供しています。

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12. まとめ

入退院支援加算1と2の主な違いは、「人員配置の厳しさ」と「連携機関要件の有無」にあります。

  • 加算1:部門に専従1名+専任1名のセット、各病棟への専任配置、25機関以上との年3回以上の面会が必要。点数は700点(一般病棟)または1,300点(療養病棟)。
  • 加算2:専任1名(兼務可)で始められる。連携機関数の縛りなし。点数は190点(一般病棟)または635点(療養病棟)。

まず加算2で入退院支援の仕組みを整備し、スタッフ体制と地域連携の基盤ができた段階で加算1へのステップアップを検討するのが現実的なアプローチです。

ポイント:算定開始前の確認事項

・専従・専任スタッフの確保と配置計画を立てる
・院内のスクリーニング・カンファレンス・計画書作成フローを文書化する
・地方厚生局の届出様式と施設基準の最新版を必ず確認する
・令和8年度改定による点数・要件変更を最新の告示・通知で確認する

書式整備やマニュアル作成についてお困りの場合は、お気軽にご相談ください。

参考文献

  • 厚生労働省「診療報酬点数表」(令和6年度改定)
  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示)
  • 厚生労働省「疑義解釈資料(令和6年度)入退院支援加算関連」